稲水器 あまてらす

「日本酒の品揃えが豊富な酒場」というのも昨今増えてきた(ザンネンながら長崎の話ではない)。 もはや銘酒をズラリと並べておくだけでは競争に勝ち残れない。
「稲水器 あまてらす」も又、日本酒にめっぽう強い店である。 この東池袋一帯は、最近新宿で飲む機会が多かったせいか、とても落ち着いて見える。 店に入ると客も静かにグラスを傾けているしっとりした空間だった。
(more…)職人~出禁の流儀

職人:「ホラ、あの店行った事ある? あの地下降りてって右の、狭い・・・」
オイ:「二三回ありますかね」
職人:「あの店酒の揃えも良くていつも混んでてネ、良い店なんだけどネ、出禁なのよ俺(笑顔)」
オイ:「なな何があったのです?」
(more…)店も水物

「あれ? こんな店だったっけ」
大好きだったあの店も、気が付けばなんか、前より居心地良くなく次第に足が遠のいて、ついに全く行かなくなる。 こういう経験をした事がある方も多いだろう。
以下最近の実例をふたつ。
そこまで出しゃばるか
燗酒専門店である。 珍しい業務形態だがいつもお店は賑わっている。 店主は酒に博識な上律義で人当たりも良く料理も旨い。
ところが近々、会話に割って入られる事が増えてきて、めんどうなので行かなくなった。
ビールの温度について
ビアバーで飲んだ、エビスがやけにぬるかったという話をしていた時の事である。
(more…)当たられ屋

ホロ酔い気分の3人は、飲み屋街を歩いていた。
そのうち初老のひとりが、階段を下りた勢いでよろけ、目の前の看板を足でひっかけ倒してしまった。
幸い本人も看板も、ダメージはない。 ひとりは看板を元のように起こし、もうひとりは初老の脇を抱えて立ち上がらせた。 そして再び三人は、楽しく肩を並べて練り歩く。
突如背後から威勢の良い声がした。 よく耳をそばだてると「オイ、ちょっと待て!」と言ってるようだ。 どうやら我々に向かって発しているらしい。 振りかえれば、男が二人走ってきた。
(more…)餃子の清ちゃん

メニューはビールと餃子のみ。 ハツラツとしたオカミさんがひとりで切り盛りして早51年、これぞ広島屈指の人気店、清(せい)ちゃんだ。
昔は旦那がやってた店なんだけど、亡くなってからは私一人でやっとるんよ(ニコッ)。
5時の開店を見計らいその30分前に予約の電話を入れるもつながらず。 そこで開店して即電話したらオカミさんが出たものの「ゴメン今日一杯なんよ~」と入店すらできず早2年。 ついにチャンスは巡ってきた。 もはや、
(more…)ピェンローがマズい? その作り方間違ってますよ

冬の激旨鍋としてすっかり市民権を得たピェンローです。 ところが11月~2月のシーズンたけなわの時期よく耳にするのが、
ピェンロー作ってみたけど全然美味しくない・・・。
という声です。
そこでピェンロー歴15年になるわたくしが、あなたのピェンローをお直しいたします。 まずはよく聞く声と、その対応策を列記します。
(more…)横浜 ラーメン 事変

家系
毎年二月に横浜で用事があり、つい吉村家の、のれんをくぐること早10年。 ところがこないだ、まだ早い時間だというのに呑んだ後向かえば閉まっており。 オカシイなと検索すれば、閉店時間が22:00へと変更されたらしい。 夜中も行列ができていたのに、一体どういった経営転換なのだろう吉村さん。
(more…)スパイス小瓶問題

まず写真を見てください。 左は、某国内メーカーが市販しているナンプラーの小瓶だ。 口がパックリ開いているが、ずばりナンプラーには大きすぎる口である。 ナンプラーは魚に塩して自己分解させたのち出てきた汁であり、とても塩辛い。 トムヤムクンなどに少したらしてその妙味を楽しむものである。
それを瓶に不相応な大口開けちゃって、一体どういうつもりなのと。 一振りで一瓶使っちまうわと。 たらすには腱鞘炎になるほど緻密な前腕動作が必要になる。 これもひとえに、ただ単に沢山消費してもらいたいからなのでないの? と、つい勘ぐりたくなってくるほど口がデカい。
(more…)サザエ談~サザエはこうすると殻からスルリ取り出しやすい

それは年末、雪まじりの小雨降る中、逃げるように酒場の暖簾をくぐった時の事でした。 七輪でキノコを焼いてつまんでいたんです。 すると突如、となりに座る初老の男性が話しかけてきましてね。
越中さん(仮名 以下K):「寒いねー」
オイ(以下O):「ですねー」
K:「それ何焼いて食べてんの?」
O:「エリンギです」
K:「旨そうだねー。 同じように七輪でね、トリガイ焼いても旨いんだなぁ・・・レモンをジュッと絞ってね」
O:「聞いてるだけでヨダレでます」
(more…)やきとり浜ちゃん

以前中野にお気に入りの焼き鳥屋があった。
鬼瓦みたいな顔をしたぶっきらぼうで、少しシャイな店主の焼く鶏は、どれも旨かった。 酒がまた良い。 「酒人」を名乗る彼だけに、おびただしいレア銘柄が壁一面を埋めつくしている。 酒を注文すると「もっと良いのあるよ」と、奥から見たこともない酒瓶を提げてくる。 酒飲みの心は酒飲みにしかわからないのだ。
呑んでいて時折「シューッ」と、まるで圧力鍋を炊いているような音が聞こえてくるのは、店主が串を焼きながら立ち上る炎を息を吹きかけ消す音だ。 その姿をカウンター越しに眺めていると、「早くその串よこせ」とノドが鳴ってくる。
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