ピェンローがマズい? その作り方間違ってますよ
冬の激旨鍋としてすっかり市民権を得たピェンローです。 ところが11月~2月のシーズンたけなわの時期よく耳にするのが、
ピェンロー作ってみたけど全然美味しくない・・・。
という声です。
そこでピェンロー歴15年になるわたくしが、あなたのピェンローをお直しいたします。 まずはよく聞く声と、その対応策を列記します。
ピェンローがマズいという声
- 味がしないもしくは塩辛い・・・
- 肉がクタクタです・・・
- マズくはないけど一度食べたらもうイイかな
対策1.味がしないもしくは塩辛い
ピェンローを食べてこう言い放つ人は、たぶん人生で起こるどんな問題に対しても同じように自分でなくて周りが悪いとゴネている人だと思います。 ご存じのよう、ピェンローの最終調味は食べ手自身が塩と一味で行います。
言うまでもありませんが、味がしないのは塩が足りないからで、辛いのは入れすぎです。 これには対策がありません自分の意思で解決してください。
対策2.肉がクタクタです
これには二つの対策があります。 まず、ピェンローは白菜を食べる鍋である! と割り切れば、肉はダシの仕事を全うすれば良いワケですからクタクタになるのも当然です、というかむしろ、鶏肉に関しては個人的にクタつくまで煮たほうが旨いと思っています。
もうひとつは、肉の投入を二段階式にするという技です。 白菜の根のほうを煮る段階では鶏、豚とも用意した分量の半量を投入し、いざ食べる30分程前になったら、残りの肉を加えて火を通す、という手法です。 これだとジューシーな肉も楽しめます。
ウェブ上でよく目にするのが「あなた本当にピェンロー作った事あります?」といういかにも的外れな謎識者による助言です。
間違ったアドバイス
- 味が足りないなら、トリガラスープの素を入れてみては?
- 何か美味しくないなら、上質な材料で作ってみては?
- 妹尾河童氏の製法以外は邪道である
謎助言1.トリガラスープの素を入れてみては?
こんな事するなら別の鍋を作って食べる事をお勧めします。 仮に小さじ1杯でも用いれば、ベテランの私でも修復不能な味になります。 一切無視しましょう。
謎助言2.上質な材料で作ってみては?
的外れすぎです。 なんでも上等な物こそ旨いという夢に囚われた人の一句でしょう。 これまで日本最高峰の食材を用いて幾度となく試作してきましたが、ピェンローに関しては、安い食材を使ったほうが、まったくピェンロー然とした味になります。 上質な食材を使うほどに、味をまとめるのが難しくなります。
たとえばカナメの胡麻油。 これをあまりにも上等なものを使ってしまうと、たらしてもゴマの風味が弱いためドボドボ投入する事になり、「これだ!」という好みのゴマ風味になった頃には油だらけで舌がベトつく、残念な鍋になってしまいます。 なのでくれぐれも、スーパに売ってる普通の胡麻油で作りましょう。
謎助言3.妹尾河童氏の製法以外は邪道である
すぐ邪道扱いする人がよく居ますけど、そもそも調理に邪道もクソもありますか。 自らの舌が納得できるのならばそれで良いのです。 妹尾河童さんにしても、その他偉大な食通にしても、決して「こうでなければならぬ」という言い方はしないものです。 なぜならば、料理とはそのように四角四面の弁当箱みたいなモノではなく、マシュマロみたいに柔軟性に富むものだと捉えている方がほとんどだからでしょう。
一味がなければ七味で良いじゃないですか。 そこは葉の部分であり、根幹さえ守っていれば、あとはアレンジ次第です。
私が心がけている3つのコツ
- あせらない
- 煮立てない
- 胡麻油の量を恐れない
コツ1、あせらない
ピェンロー作りにアセリは禁物です。 だって、干し椎茸を戻すのにすら最低3時間は必要となりますからね。 これをどこかの民放でやってた裏技とか使って早く戻そうとかするからだんだんおかしくなってくるんです。 人の都合なんてピェンローには関係ありません。 あなたが急ごうが急ぐまいが、ピェンローはずっと昔からそこに有ったのです。
まずはじっくり腰を落ち着けて、宴の為に心を込めて鍋の準備を始めましょう。
コツ2、煮立てない
これもコツ1と同じ考えです。 生き急いで早く仕上げようと強火でグラグラ煮立てると、仕上がりの黄金色したスープが実現できなくなります。 料理は見た目も重要な要素ですからね、これはピェンローにとっては致命的な手落ちとなります。
弱火でコトコト煮ながら、次第に透き通ってくる白菜に目を凝らしましょう。
コツ3、胡麻油の量を恐れない
お玉一杯の胡麻油のどこが恐ろしいのでしょうか。 我々が普段口にしている外食に比べたら可愛いものですこんな量。 用いる白菜の分量を考えればむしろ、たったこれだけの胡麻油でこんなに美味しい思いをしても良いのだろうか、と感激するべきなのです。 上にも書きましたが上等すぎる胡麻油を使えばおのずと量を使わねば味が成立しなくなりますから、くれぐれも特売の胡麻油で仕込んでみてください。
まとめ
さて、あなたはもう何も恐れる事はありません。 美味しいピェンローの道は目の前に堂々開かれております。 さあ、あと数歩前へ! その他ピェンローに関する不明な点や質問がありましたら、どうぞお気軽にお問合せくださいね。
ぷちぐるでピェンローを知り、以来10年以上作っています。
先日、もも肉に代えて親鳥で作ってみたら、これも美味かったです。
今シーズンも存分に楽しみました!