あの店どの店
「たまに飲み行ってた小料理屋が無くなってたんだよね」
という話を行きつけの酒屋でこぼした。
酒屋(以下A):「ん、もしかして初天神の事それって?」
オイ(以下Z):「どうしてわかったの!?」
A:「あそこね、ウチから酒取ってたのよ。 最近閉めた店といったら、あそこしかないかなって」
Z:「なるほどね。 でも結構流行ってたんでしょ、どうして閉めちゃったのかしら?」
A:「それがねえ、これウチのお客さんから聞いた話なんだけど、なんでも北海道で店出したらしいのよ」
Z:「へー! なんでまた北海道に?」
A:「それがね、コレができてその人がムコウの人で、そのままついて行っちゃったって話」
Z:「なるほどねえ! で、どうなんだろうムコウでは?」
A:「そこそこ頑張っているみたいよこれもお客さんに聞いた話だけど」
A:「でもしかし、あの大将も変わった人だったよなあ」
Z:「え、オレ以外にもそう思ってた人いたんだ(笑)」
A:「あの店に行った事ある人なら皆言ってるよ(笑)」
Z:「たしかにねー、変わってた。 初めて店に入った時、色々聞かれたんだけど、次第に酒の銘柄の話になってきて。 『これ飲んだ事あります?』 『あります』 『これは?』 『あります』 と、ことごとく飲んだことのある銘柄ばっかりだったのよ。
そしたら先方ムキになってきて、店の酒ありったけ引っ張ってきては『飲んだことありますかコレ?』 と聞くもんだから『あります』 と答えたら今度は『本当に飲んだことあるんですか、じゃあどんな味でしたか(青筋)?』みたいに突っかかってくるものだからメンドウになって『やっぱり無かったかな』と伝えたところでやっと尋問が終わってね、ウザい店だなあ、って思ったの(笑)」
A:「ウチなんかね、まだ取引はじめて間もない頃ね、配達終わった後で電話がかかってきたから何かと思いきや、ウチの店の近所に住んでいるお客さんが昨晩来たらしく、その際会計を余計頂いちゃったから、その差額分を立て替えて、返却しといてくれないかなあ、て言うんだよ。 普通そんな事人に頼まないでしょ(白目)」
A:「そういえばウチのお客さんが言ってたけどね・・・」
話題が尽きない・・・・・・つまり愛されていた店だったんだなあと。