大野ガンバレ! 平成29年全日本柔道選手権大会
いよいよ明日、大野将平は伝説になる。
個人的に大応援しているのが大野選手だ。 先の五輪でも、久しぶりに見た外国人選手に力負けしない圧倒的強さと技の切れに感動した。 今大会、全参加選手の中最軽量となる大野選手だが、きっと大活躍する事だと期待している。
組み合わせ
組み合わせを見たところ、大野選手が優勝するとして、まず第一のヤマとなるのが二戦目に対戦濃厚なウルフ・アロン選手だろう。
今回ケガにより欠場のベイカー選手と似た感じのパワー柔道で、技より力で相手をねじ伏せるタイプである。 彼のスタイルに付き合えば、いくら重量級に負けぬパワーを持つ大野選手でもひょんな所で持っていかれてしまうだろう。 経験をたよりに頑張ってほしい。 と書いてから組み合わせを見直すと、となりのブロックに原沢選手がいたりして、見れば見るほど大変なメンバーの中に中量級の選手が紛れ込んでいる形になっている、見ているだけで背筋が寒くなる。
「自分の物差しで測ったときに、無差別でも強いことが男として目指すべきところじゃないですか」
こう大野選手は言い放った。 あなたならきっと頂点に立てる。 明日が楽しみでならない。
追記:観戦後の感想
大野 vs 池田
体格差のある相手に序盤からガップリ組み合っての大技連発の大野選手。 これ、これが見たかったんだ。 半ば強引な内また。 ガップリ組み合っての大外刈り。 ポイントにはつながらなかったものの、技の勢いは一本である。 会場も大いに沸いた。
最後はスタミナ切れで一本負けを喫した大野だが、中盤まで池田は「巴投げのかけ逃げ風の技」しか繰り出せないほど、押された展開だった。 勝利した瞬間のややホッとした、それでいて「見たことか!」というプライドの垣間見える表情には、それだけプレッシャーが強かったのだという事がうかがえる。
ちなみに大野、中盤までは本気で一本勝ちするつもりだったのだろう。 まさに横綱相撲状態だった。 勝にこだわれば楽に勝利できた相手だったと思うが、潔い大技で仕留めねば、大野にとっては柔道とは呼べないのだろう。 畳の上の全選手は参考にするべき魂である。 ぜひウルフ選手との対戦を見たかった。
決勝:王子谷 vs ウルフ
王子谷選手はとにかく決勝までまったく心に乱れがなく、常に平常心だと感じた。 対するウルフ選手は勝つ気にあふれていた(若いって良い)。 試合は開始早々王子谷が良い手を持つと、 「やべえ!」とばかり必死に切ろうとするウルフが印象的だった。 40kg程重たい相手にも関わらず、ウルフはやはり力が強い。
試合後半、度々ウルフが王子谷の背中をつかむ場面があった。 それがめっぽう嫌らしい王子谷が目だった。 最後は両者少々負傷し、 処置のためしばらく時間の空いた所、王子谷は再び積極的な柔道をしかけ、ウルフに指導が行き、王子谷の二連覇達成となった。
七戸 vs 王子谷
王子谷選手はまったく問題にしていないが、一方七戸選手のほうは苦手意識があるのではなかろうか。 昨年も豪快に投げられた所、今年の抑さえこまれるまでの、持っていかれ方には相当力の差を感じた。
原沢 vs 百瀬
鮮やかな絞め技を見せた百瀬選手。 全日本で絞め技一本なんてそうめったにない事ではないか。 原沢選手を見ていていつも思うのは、色々考えすぎなんだと思う。 彼の試合を見てきてこれまで一番良かったのは、対リネール戦だろう。 相手が相手だけに吹っ切れて、自分らしい柔道ができたのではなかろうかと思う。
慎重になるのもわかるのだが、「なるようになるさ」とやや力を抜いたほうがもっと強い、と思う。
※ベイカー茉秋
ケガによる欠場となった今大会。 ぜひ王子谷選手との一戦を見てみたかった。 ところで数日前のテレビ番組で彼を見かけた所、むちゃな重さのダンベルを片手で肩上まで持ち上げていたが(その時右手は負傷中で左手だった)、あんな事していたらケガは尽きないと思われる。 パワーにあふれている事はステキだが、故障してしまってはどうしようもない。
総評
とにかく大野選手のあの柔道をやれば、今以上に人気スポーツになると思う。 解説の穴井氏もぼやいていたが、勝ちたい気持ちもわかるが勝負に徹して相手の反則を誘うよりも、 組み合って、堂々と投げ合ってほしいと。