タッチョーダイ
デパートの海産物売場でカラスミを物色していた時のこと。 贈り物にするのに型の良いのを探していたが、いかんせんカラスミであるがゆえサイズによって値段が違う。 大きいのもになればもう、手が出ない。 なんとか予算内で、型が良いものを……。
突如そこに現れたのは、買い物カゴを押しながら短パンにドクロの黒いTシャツを着たパンクなおじさん。 悩みこんでいるこちらをしり目に、さらりとカラスミを眺めてから「○◆×☆△■!」と言った。
(more…)とうさん
【カラス】空中戦【トンビ】
よく晴れた日、草っぱらに寝転がって京の町屋の写真集を眺めていた時の話。 少し目が疲れたので空を仰ぐと、突如視界にカラスが入ってきた。 続いてトンビがやってきた。 どうやら両者はケンカをしているらしい。
トンビのほうが体が大きく優勢な様子。 カラスは下から突き上げられそうになり、思わず体を反らす。 すると今度は背後に回られ上から押し付けられそうになる。 防戦一方の展開だ。
(more…)自作PC
朝起きていつものようにPCの電源を入れると、起動してくれない。 ランプが点灯しているところをみると、通電はしている様子なのだが。
(more…)あまカラ
素材
(more…)『父の詫び状』向田 邦子
薩摩揚
土地の人たちは薩摩揚とはいわず、「つけ揚げ」という。 シッチャゲと少々行儀の悪い呼び方をする人もいた。
骨湯
(more…)煮魚を食べ終ると、残った骨や頭に熱湯をさし、汁を吸うのである。 私の体が弱かったせいもあって、滋養になるからと祖母はかならず私に飲ませた。 私は目をつぶって飲んでいた。 今はこんなことをする年寄りも少ないと思うが、昔の人間は塩気を捨てることを勿体ながり、祖母は小皿に残った醤油まで湯をさして飲んでいた。
【安い】有田陶器市【体験記】
子供たちを連れて有田陶器市へ向かった。
雨模様にも関わらず、あちこちに設けられている駐車場はいっぱいで、人があふれかえる会場。 道の両側にずらりと並ぶ陶器店に圧倒される。 2割引、3割引は当たり前で、中には「全品半額」との張り紙もみえる。 人それぞれに、陶器の入ったビニール袋を重たそうに提げて、次はこの店に、いやあっちに行ってみようと、まるでテーマパークにでもいるかのように、楽しんでいる様子がうかがえる。 中にはコンテナを三段積んだ台車を持ち込んで、その中に買った陶器を山のように積んで押している人もいた。
子供たち三人は、はぐれないよう手をつなぎ合いながらオイの後ろをだまってついてくる。 と、思いきや面白そうなものを見つけると皆でそこへ飛んでいってしまうので目が離せない。 陶器は見たいし、でも子供からは目が離せないしで、忙しいったらありゃしない。 こうなることは楽に予想できたから、一人で来ようかとも考えたのだが、子供たちに陶器市の経験をさせてやりたかったのだ。
今回のお目当ては、いや今回もと言ったほうが正しいが、酒器と肴を盛り付けるための器である。 子供たちがまだ小さいので、普段使いの器はシンプルで形の統一されたものを使わざるをえないが、一人でゆっくり酒を飲んだり、来客時に格好をつけるための器というのも必要なのだ。
(more…)たたみいわし
タタミイワシは、イワシの稚魚を生のまま薄く板状に並べて干したもの。 東海地方の特産品である。 聞くところによれば、この製法を思いついたのは海苔職人だという。 シーズンオフでヒマな時、イワシの稚魚を海苔を作る時のように扱ったところ、「たたみいわし」が誕生したらしい。
(more…)はだしの一歩
深酒の普段より遅く起きた。
少し頭痛がするので風呂を沸かし、心臓がドクドクしてくるまでじっくりと浸る。 汗がにじんでくるまで熱い湯に浸かり、出て冷水シャワーをかぶり、また浸かって・・・と繰り返せばアルコールなんて飛んでいってしまう。
スッキリとしたところで風呂からあがり、バスタオルでザッと体を拭いてから、そのままタオルを腰に巻いた。 体中から汗が吹き出てくる。 クールダウンするために窓を開け放つと、一面雪だらけなもんだから驚いたというか、今日そんな天気予報だったっけ?
はげしく降り注ぐ雪。 みるみる積もってゆく雪。 その光景を眺めていたら、つい外へ出てみたくなってきた。 こんだけ降っていれば人なんて歩いていないだろうし、車はチェーンを巻かねば走行不能だろう。
身に着けているものはタオル一枚。 素足で、雪の上へ第一歩を踏み出した。 のぼせるほど温まっているので、まったく冷たさを感じない。 そのまま数歩進んでみる。 当たり前だが、雪に残る足跡は、素足の形である。 そういえば、雪の上に裸足の人間の足跡がある光景ってはじめてだ。 記念に撮影でもしておこうかと思いつくやいなや、急に寒さが襲ってきた。 冷凍人間になっちまう、急いで家に戻った。
(more…)辻静雄:史上空前の饗宴
辻静雄は、辻調理師学校の創設者である(1993年死去、享年60)。
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