辻静雄:史上空前の饗宴
辻静雄は、辻調理師学校の創設者である(1993年死去、享年60)。
フランス料理についての著書は多数、趣味はフランス料理の歴史を古文献を読みあさり調べることや、家具食器の蒐集、シャンソンだったという。 そして飲まず、打たず、買わず。
そんな辻さん宅で、ある日「史上空前の饗宴」を行った。 その顔ぶれは、開高健夫婦、阿川弘之夫婦、谷沢永一夫婦、陳舜臣夫婦、等。
朝の11頃から開始して、夜の11時頃終わるもの。 朝食、昼食、夕食の3ラウンド。
第一ラウンド
- クロワッサンまたはブリオッシュ
- 紅茶またはコーヒー
- フレッシュ・バター
- ストロベリー、ラズベリー、ブラックベリー、プラム、トマト、キウイのジャム
第二ラウンド
- 小エビ添えサヤインゲンのサラダ
- ペリゴー風ソースのウズラの熱いパテ
- クレソン添えのスズキのクーサン
- シャンピニオンを工夫したヒラメのフィレにバターのフォンデュをかけたもの
- レモンのシャーベット
- カルヴァドスを工夫したカモのささ身
- ボルドレーズ風ソースで牛肉の小さなソテー
- サルディニヤ風ジャガイモ炒め
- アンディーヴのムニエール
お菓子類
- イチゴのタルト
- レモンのタルト
- モカのガトォ
- 大統領のガトォ
- アップェルストルーデル
- フルーツのサラダ
- パリ・プレスト
- 栗のアイスクリーム
- ヴァニラのアイスクリーム
ぶどう酒
- ピュリニー・モンラシェ 71年
- コルトン・シャルルマーニュ 70年
- グラン・エシェゾォ 70年
- ロマネ・コンティ 70年
- ランソン。 シャンパン。 赤ラベル 69年
第三ラウンド
- ジェリーにくるんだ生のフォアグラ
- ソーテルヌを工夫した川ザリガニの身
- グリモ風ニワトリのフリアンティーヌ
- アーモンドのポタージュ
- コンソメのジェリーにキャヴィア
- ドボォジュ風伊勢エビの煮込み
- オルレアン風のヒラメとカキ
- シャンパンのソルベ
- ガストロノーム風仔牛のフィレ
- アミアン風仔ガモのパテ
- コムピエーニュ風の牛の肋肉
- 花咲けるサラダ
お菓子類
- チーズのタルト
- 梨のタルト
- イチゴのバガテル
- ガトォ「黒い森」
- カルディナルシュニッテン
- アーモンドのピチヴィエ
- 東洋風オレンジ
- 赤ぶどう酒を工夫した梨
- モカのアイスクリーム
ぶどう酒
- シャトォ・ディケム 71年
- ミュールソー 71年
- シャッツサーニュ・モンラシェ 69年
- シャトォ・フィジャック 69年
- シャトォ・ラトゥール 66年
- シャトォ・ラフィット・ロトシルド 45年
- アベル・レピトル 69年
- シャトォ・カイユー 29年
以上の料理を作るのに動員したコックは21人だったという(開高健『最後の晩餐』より)。
※辻さんの日常における個人的な食生活では、おにぎりやおかかが、涙が出るほど嬉しかったのだとか。
※辻さん家の大テーブルは、フランスのナラ材の一枚板で作られており、これを運び込み、据えつけてから部屋の壁を作ったという代物。