とうさん
「オイくん元気しとるねー」
はい
「子供は大きゅーなったやろうねー」
はーい。
「タマネギのいっぱいできとるけんがもっていかんねね」
ありがとうございますいつも。
「もーこん前はね、このタマネギばさ、父さんの全部抜いてしもうてからさ、しっこてこ怒りとばしたとよ。 最近父さんはね、なんか好かん事のあれば庭に植えとる花とか野菜ば全部引っこ抜いてしまうとさね、もー腹ん立って涙の出るとばい」
「こん前はさね、息子がどっかから貰うてきたヒノキの切り株ばさ、庭に置いとったとの皮ば全部剥いでしもうてさ、息子に怒りとばされとるとよ。 そいでもヨソのごとしとるけんがまた腹の立つとさねーもう涙の出るとばい」
「いきなり大声ば出したりもするとやもんね、ちょっとおかしゅーなりよるとよ最近。 鍋も焦がすしねーもう。 毎朝神棚の前に立って手ばパンパン叩いてからブツブツ何か言いよるけんさ、父さん何ば言いよるとね、て聞いたらさ、ナンマンダブナンマンダブて言いよるとていうとさ」
「だけんが父さん、神棚にはナンマンダブては言わんとばい、っていくら教えたっちゃさ、毎朝毎朝ブツブツ言うとやもんねー腹の立つ」
「でも父さんの年金のあるけん、こうやって二人で食べていかれるとやもんね、ありがたくて涙の出てくるとよ、父さんありがとう」