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2012/09/04 雑記

タッチョーダイ

デパートの海産物売場でカラスミを物色していた時のこと。 贈り物にするのに型の良いのを探していたが、いかんせんカラスミであるがゆえサイズによって値段が違う。 大きいのもになればもう、手が出ない。 なんとか予算内で、型が良いものを……。

突如そこに現れたのは、買い物カゴを押しながら短パンにドクロの黒いTシャツを着たパンクなおじさん。 悩みこんでいるこちらをしり目に、さらりとカラスミを眺めてから「○◆×☆△■!」と言った。

「言った」と書いたが、何と言ったのかは聞き取れない。 店の人も同じようで「は、はいっ?」と口に出したっきり、氏の動向をただ見守るばかり。

しばらくして氏はまた言葉を発した。 今度は「タッチョーダイ」と聞こえた。 店員はまた「はい?」と返事したっきり、どうしてよいのか分からないでいる。

彼はまた言葉を発した。 今度はゆっくり、まるで幼児へ話しかけるように「ゥタッチョーダイット」と。

「うたっちょーだい?」 カラスミ選びの最中だったがそんな事はもはやどうでもよい。 おじさんが気になってそれどころではなくなった。

続けて氏は「タッチョーダイ、タツ」と言いながら店員にピースサインをした。 ああなるほど、もしかして「たっちょーだい」って「二つちょうだい」って事かも?

恐れ入りながら店員が確認したところによると「たっちょーだい」はやはり「二つください」という意味だった。 で、何を二つちょうだいなのかというと、長崎県産のボラ真子を使用した超形の良いからすみを、二つちょうだいと言っているのだ。

ひとつが4万ちょっとなので計8万円のお買い物。 これを即決したのだこのおじさんは。 小さいのをひとつ買うのにウジウジ悩んでいたこちらはド胆を抜かれてしまった。

さらにおじさんは、カラスミ以外にも気になるものがあるらしく、品物を指さしては「たっちょーだい」、手にとっては「たっちょーだい」と、次々に二つずつジャンジャン買い物をしてゆくのだった。

そりゃ店員も驚きを隠せない様子だが、あたかも冷静を装いながら、もはやおじさんの付き人みたいになり、他の客そっちのけで対応している。 そりゃそうだ。 そして、その店員が勧めるものを次々と躊躇なく「たっちょーだい」と二個ずつ買い物してゆくのだった。

すごすぎる…一体いくら分の買い物だろうか、きっと何十万にも上るだろう。 私もドクロTを着たら豪快に「タッチョーダイ」する事ができるようになるだろうか。 ひとまず今度何かを二個買う場面がきたら「タッチョウダイ」と言ってみよう。

ところでカラスミはまた今度、出直そう。

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