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何気に腕をさすると掌に当たるものがある。 目を凝らしてみると、小さなイボがあった。
珍しさから家内に見せたら「そんなの皮膚科に行けばポロよポロ」という。 早速病院へ行くと「ああイボですね、他の場所にうつったりもするので取っちゃいましょう」と先生。 イボに効く薬は無いので焼いて取らねばならないのだという。 「え、焼くてどうやって!?」
「焼く」という言葉にかなり反応したが、何もイボを火あぶりにするのではなく、液体窒素を使うらしい。 液体窒素といえばアレだ。
その液体窒素をイボにくっつけて、ヤケド状態にして息の根を止めるそうだ。 「じゃ、液体窒素持ってきて」と先生が言うと、こなれた様子で紙コップを手に棚の下にあるメタリックな球体へ歩み寄る看護師。
そして紙コップを床に置き、球体を持ち上げて中に液体窒素を注ぐ。 瞬間白煙が立つ。
もうもうと白煙のあがる紙コップのフチを親指と人差し指ではさみ持ち、何気に椅子に座るオイの真横を通り過ぎていく。 もしも看護師がくしゃみでもして中身がオイにふりかかってきたらどうなるんだろうか、という恐ろしい妄想をする。
先生は綿棒の先を液体窒素に浸し、イボにチョンチョンとくっつける。 初めは冷たく、次に鈍痛がして、次第にヒリヒリしてくる。 これで治療は終わり。 そのうち皮がむけるが、それにくっついてイボもとれてしまうらしい。 いや勉強になった。