メニュー

2007/11/17

七味唐辛子の全て

七味唐辛子

七味唐辛子をご存知であろうか。

前に「聖徳太子を知っているか?」と聞かれて激怒した人をウェブ上で見かけたことがあるが「七味唐辛子を知っているか?」という質問も、それに匹敵するくらいの威力を持つ質問ではなかろうか。

しかし「七味唐辛子を構成する7種とは何か?」と聞かれて、即答できる人はなかなかいないであろう。

七味唐辛子

香辛料の一。 唐辛子に胡麻、陳皮、ケシ、菜種、麻の実、山椒などを砕いて混ぜたもの。 なないろとうがらし。

広辞苑

とある。 とにかく唐辛子を含めて7種のものが合わさり、七味唐辛子となるのだ。 

しかし、近頃次々と摘発される食品偽装により、オイは食品があまり信じられなくなってきた。 自分自身で感じ取ったものしか信用できないのだ。 ということで、手許にある七味唐辛子が、本当に七味含まれているのかを調べてみることにした。

某有名商店の七味である。 原材料の欄には「唐辛子焼き粉、赤粉、黒胡麻、温州みかん陳皮、ケシの実、麻の実、青さ」と記されている。 白い皿の上で七味唐辛子の瓶を5回ほど振り、中身を出して、選別してみる。 も、すぐに断念する。 だって、メンドクサイじゃないか。 性に合わん。 このような場合は、嫁に話を振ってみると、以外や以外、興味津々だったりする事もある。 今回の「七味を構成する7種を選別する」というプロジェクトは、なかなかツボにハマったようで、快く引き受けてくれた。 変わった嫁である。

オイが日本酒をグビグビ飲っている横で、まるでスイスの時計職人のように小皿の上の七味を選別している嫁の姿は異様である。 よくもまあ、こんなに地味で、つらい、きつーい仕事をやれるものだね、ハハハなんておちょくっている間に「選別完了!」と声高々に宣言する。

「オイ、よーく見てよ、ホラ1234…5……67!」 おー7種あるじゃん!

まるで自分のことのように嬉しくなり、早速記念撮影をする。 七味唐辛子を7種に分けてしまうとは…おそらく町内始まって以来の快挙だ。 嫁さんでかしたよ! でもさ、ケシの実って、どれなん?

七味

そうなのだ。 7種にわけることができても、一体どれがケシの実でどれが麻の実かがはっきりとしないのである。 多分、そうであろうと思われるものは、まず黒胡麻、そして青さの2つだけである。 残り5種のことがわからない。 ネット上を駆け巡ってなんとか判明したのが、⑤は麻の実であろうということだ。 あとはイマイチハッキリとしない。 

「焼き粉」というのは、焼き唐辛子のことらしいので、赤いハズだ。 なので④かと思われる。 しかし、赤粉の可能性もあるのではないか? 陳皮はミカンの皮らしいので、おそらく②か③だと思われる…すると⑦はケシの実?

というように、それぞれがどれにあたるのかがわからなくて、七味を7種にキチンと選別してみよう計画は、あえなく頓挫した。

ちなみに今回使用した七味唐辛子は「やげん堀 中島商店」のもので一級品である。 そもそも七味唐辛子というものは、1625年(寛永2年)に初代辛子屋徳右衛門が考案し、江戸の薬研堀(やげんぼり)で売りだしたのが最初であるそうな。

2007/11/16

鴨南うどん

鴨南うどん

前回飲んだ後の「シメ」について書いたが、合鴨鍋を作れば、その心配はない。 鍋食っている間に、シメの準備が着々と進行していくのだ。

合鴨鍋を楽しんでいる最中、3、4枚の合鴨肉をのけておく。 ネギの青い部分をみじん切りにしておく。 合鴨鍋を食い終わった頃には、鍋に合鴨の脂がじんわりをたまっていることであろう。 この脂をみすみす捨ててしまうわけにはいかない。

>うどんのツユを用意しておき、鍋に合鴨鍋の脂を適量投入する。 のけておいた合鴨肉数切れもうどんと共に煮る。 仕上げにネギを散らす。

うまいに決まっている。 無論、蕎麦でもよい。

2007/11/15

シメに苦労した末しめしめ

シメそうめん

この黄金色をした麺は、一体何なのか? これを語るには、まず昨晩の事を説明しなければならない。

炙りシメサバで奥播磨をたらふく飲って、満足だ。 ヘタな料理屋に通うくらいならば家で飲んだほうがマシだ、さ、シメ食って晩酌を終えよう。

何でシメようか…。 スープはなにもないし、そもそも麺がないな…。 チッ…ソーメンしかないではないか。 うーんどうしても今日はソウメンという気分ではない。 がしかしシメを食わねばしまらぬわけであり…でもしゃーない、今日は素麺でよい。

でもいつものように出汁とって醤油たらしてという味付けはどうもピンとこない。 どうすっか。 あ、そうだ、デタラメ麺を作って遊ぼう。 デタラメ麺とは「オイのみ」食べることが許される限定料理であり、大変危険なものである。 日によってその内容は変わり、コンセプトはあるものの、作り方はデタラメだ。 当然マズいこともあるが、激ウマな場合もたまにある。 (一例:心平そーめん

たとえば残った鶏がらスープにマルタイの棒ラーメンを放り込み、付属の粉末スープを適量入れて、チューブ入りのラードをありえないぐらい、常軌を逸した分量投入して世のベタカタラーメンにどの程度脂が含まれているのかを調査してみてみたり、同じように作ったデタラ麺に、化学調味料を一瓶の半分くらいドッサリと盛りいれてみて、食べてみたり。

いずれも想像するよりも以外や以外、食える代物が出来上がるというのが恐ろしいことであり、喜んでいいものか 、嘆いてよいものかを深夜、キッチンで一人ポツンと悩んだりするわけだ。 当たり前のことではあるが、この麺を、嫁や子供、ましてや他人に食べさせることはできない。 オイ自身がモルモットと化さねばならないのだ。

そして今晩、どんなデタラメ麺を作って遊ぼうかとしばらく思案した後に思いついたのが、ソーメン甘醤油風味である。 スープもない、出汁もない、ソーメンしかない。 この状況で、まずオイは湯を沸かした。 そしてその中にソーメンを放り込み、適度に湯がいた。 そしてそこへミリンをドボドボと注ぎ込み、さらに醤油をたらしこんだ。 少し味見してみるが、甘味をまるで感じない。 さらにミリンを追加投入する。 この麺の目指している風味は、某有名ラーメン店のスキヤキのような甘めの醤油味で、何度か食ったらやみつきになるかもしれないよ、という風味である。

甘味がそれらしくなったところで、豚肉か何か投入してコッテリさせたかったのだがあいにくそれがない。 なので、サラダ油を小さじ一杯たらした。 醤油ベースのスープだと、意外と脂が目立つ。 これにて完成とする。

酒が回っているので、ネギを切って散らしたりとかいう小細工はできない。 そのまま丼に盛る。 ススル。 これがまた、意外と食えたので驚く。 スープは一切使っていないので手抜きもいいところだ。 なのに、マズイ醤油ラーメンを食うよりはよほどマシな、しっかりとした味があるのだ。

たとえばこれに、カツブシの一番出汁を加えてカツオの風味をプラスしたら………きっと、あのラーメンよりも美味しいはずだと、酔った頭は考えた。 シラフのときは作ってみようとも思わないし、味の保障はできない。 もしもオイと同じような暴挙に挑戦するならば、全て自己責任でお願いしたい。 深夜と、酒が、オイにデタラメ麺を作らせるのである。

2007/11/13 酒肴

ホタルイカの沖漬け

ホタルイカの沖漬け

ホタルイカの沖漬けというものを頂いた。

ホタルイカとは何か? 小型の光る烏賊で、国の特別天然記念物らしい。 特別天然記念物を食べてもよいのか? よいのだ。 特別天然記念物に指定されているのは、富山湾で群遊している様に限定されるようだ。

沖漬けとは一体どういうものなのか? 以前、富山のホタルイカ漁に同行したことがあるという人物に聞いたところ、漁師がホタルイカを獲り、生きたまま醤油の中に投げ入れる。 ホタルイカがビックリしてもがいてうちに、全体に醤油風味が浸透していく、というものらしい。 獲ったその場で醤油に漬けるから沖漬けなのだとか。

瓶から丸ごと一匹のホタルイカをつまみ出し、口に入れる。 イカの塩辛が薄味になったような風味であり、やけに瑞々しい。 酒肴にはもってこいだというしかない。 酒肴によいということは、ご飯のおかずにも最適だということだ。

キラキラ光るホタルイカを眺めてみたい。

ホタルイカミュージアム

2007/11/12 果物

柿取人

柿取人

息子と二人きりでドライブをしながら、早くもクリスマスプレゼントについての議論を交わす。

オイ「んで、何が欲しいんだねキミは」

息子「ドラゴンボールのケーキとコジマヨシオのパンツ」

オイ「……」

とにかく某パンツ一丁男の人気はすごくて、息子の通う保育園ではどの園児もカンケイナイカンケイナイ、と地団太をふんでいる。 親としては、甚だ迷惑なことである。 でもしかし、赤いパンツを買い与えることは何も悪いことではない。 クリスマスプレゼントは赤パンに決定! なんだか安すぎて息子に悪い気もするが、本人が決めたことだ。

突如目の前に柿の木が現れ、すぐにはるか後方に流れていった。 一瞬なのでハッキリとはしないが、柿の木の下に男がいてかがみこんでいた気がする。 気になったことはすぐに確かめなければならない。 柿の木までUターンする。

男は柿の木に竹ざおを伸ばし、熟した柿の枝にそれをからませる。 枝がポキリと折れて、柿を収穫することができた。 黙々と、その作業を繰り返している。 オイと息子は、その光景を黙って見続けている。

男は「柿泥棒」ではないようだ。 作業が手馴れているうえに、堂々と収穫している様は、きっとこの柿の木のオーナーに違いない。

柿取竿

しかしよくもまあ、あんな竹ざおいっちょで、こうも簡単に柿を取ることができるものだね。 あの竹ざお、一体どうなってんだ? 息子と二人、凝視する。

竹ざおの先端部分、真ん中にちょうど切れ込みが入れられており、その切れ込みに柿の枝を挟ませておいて、一気に竿を回転させる。 すると、枝はポキリと折れるものの、枝自体を竿がしっかりとホールドしているので、落とさない。 まさに簡易版高枝切ハサミのようだ。

このように分析しながら、柿を収獲する様子をじっと眺めていたら、さすがに柿取男も我々の視線に気づいたらしく、手を休め振り返った。 我らはペコリ、こんにちは!と挨拶をする。 人と目が合ったら、挨拶をしなければならない。 できれば先に挨拶をすることが望ましい。

「あーら見てたのね」どこかで聞いたことのあるような受け答えをする柿取人。 「柿食べる?」と聞かれたので「はい!ハイッ!」と返事をする。 柿が竹竿で?がれるまで待ち、手を伸ばしてそれをもらう。 計20個ぐらいはもらった。

「最後にひとつだけお願いです。 一度、その竹竿でオイも柿を取ってみたいのです。 やらせてくれませんか?」

すんなり承諾を得て、よころんで柿を収獲した。 楽しかった。 おわり。

柿

2007/11/11 酒肴

超旨葱料理

超ウマネギ料理

まずネギが悪いということだけ申し上げておきたい。

オイは一体何をつまみあげているのか? それは長ネギの白い部分である。 ネギを3.5センチに切り、中身を抜いて、筒にする。 そこへ、コンビーフを詰め込んで、オーブンでこんがりと焼く。

これは東海林さだお氏が「ネギでお腹いっぱい@おでんの丸かじり」で披露しているオリジナルのネギ料理なわけだがビールとイケル。

これを沢山作ってつまもうと、長ネギを求めてスーパーへ向かう。 だがしかし、長ネギの質が悪い。 長ネギが2本束になって298円。 普段ならばせいぜい158円ってところが298円。 どーしたんだ長ネギ。 天候の影響なのか。 長ネギ買うのに300円支払うというのもなんだか勇気が必要とされるが、仕方がない。 美味しいネギ料理のためだ。 298円の長ネギを手に取る。

コンビーフ

カゴに入れようとした瞬間、長ネギの異変に気がついた。 長ネギがなんだか、スカスカのゴワゴワなのだ。 よく見ると長ネギの表面は張りがなく、乾燥気味だ。 おそらく、この長ネギを鍋ものに使用すると、外側が固くて食べきれないと思われる。 多分年をとった長ネギなのだ。 なので使用する際は、長ネギ自体を一皮むいてから調理しなければならない。 一皮むくと、一回り小さくなる。

298円ネギのとなりには、普段見かけない中ネギというものが並べられている。 これはまさに長ネギを一皮むいた中身であり、一皮むくことによって小さくなった分、値段も安くなっている。 一束158円だ。

いやまてよ、298円ネギの一皮は、食用に適さない一皮なのであり、その一皮分を中ネギとの差額から算出すると298-158=140円となる。 長ネギの乾燥した分厚い一皮は、140円なのだ。

長ネギを298円で購入してもどうせ一皮むかねば食べることができないわけで、140円分の外側は廃棄処分となる。 中ネギは長ネギを一皮むいた状態で勝手にスーパーがそう名づけて販売しているのであり、丸ごと調理に使うことができる。

ただ、ネギコンを作るにあたり、中ネギ程度の太さでは、いささか具合が悪い。 コンビーフを詰め込みにくいのだ。 しかし長ネギを購入したところで、実際使える部分は中ネギと同じ部分になるわけだし…。 

このような葛藤から作られたのが、ページトップの写真である。 中ネギで作ったので、旨いけど細い。 コンビーフをコツコツと詰め込んでいくうちに上手くゆかずイライラしてくる。 こんなに苦労しなければならないのは、長ネギの外側がゴワゴワだからであり、ゴワゴワの長ネギを一束298円で売るとはなにごとか、という怒りがこみ上げてきて、いっそうのこと、上等の長ネギを探す旅に出かけてみたいような気さえしてくる。 なのでこの一品は、上質な長ネギがあることを確認した上で作りはじめなければならない。

飲んでいるうちにメンドクサくなってきて、焼いた長ネギの上にコンビーフをのっけてつまむ、という風に調理法が変わってきた。 どっちにしてもウマカッタ。 長ネギのバカ。

2007/10/22 野菜

トマトのおでん

トマトのおでん

「トマトのおでん」と聞くとすこし驚いてしまうが、実際おでん種として存在するのだという。

その元祖は目白にある関西風おでん屋の「田のじ」らしいが、現在はコンビニのおでんにも見られるそうだ。

この話は東海林さだおさんの「コロッケの丸かじり」にあったもので、それをつい先日読み返し、早速作ってみようと思い立ったわけだ。 作り方といっても簡単。 まずいつものようにおでんを作る。 トマトが食べたくなったら、トマトのヘタをとり、反対側に十字に切れ目を入れて、おでんのツユの中に放り込む。 5分経過したらトマトを引き上げ、小鉢に盛り、トマトが半分隠れるぐらいにツユを入れる。 ただそれだけ。

トマトを何時間もグツグツ煮込むわけではないのだ。 なのでトマトにおでんの味は染み込んでいない。 皮はズルむけている。 見慣れない光景にすこしとまどいながらも、とりあえず箸でトマトを突き崩し、食べてみる。

アウ。

カツオ出汁と醤油で作ったおでんダシと、トマトの酸味、いやそれ自体の味が妙に合う。 なんでか? 聞くところによると、トマトは旨味成分であるグルタミン酸の濃度が非常に高いそうだ。 

同じく昆布にもグルタミン酸が豊富に含まれており、カツオ出汁は昆布と鰹節でとったものであるからして、鰹節にはイノシン酸が含まれているわけだし、その両者が相見えると、素晴らしい相乗効果を発揮するとかいう話をラーメン作りの時に学んだような気がする。 とにかく、ウマイ。

東海林さんは全27冊に及ぶ(07/10/22現在)丸かじりシリーズで度々おでんのことを書いている。 「おでん」と題目のついたものをザッと調べてみると以下の通りだった。

鯛ヤキの丸かじり

  • おでん屋襲撃:韓国ではなんでもかき混ぜて食べる。 ではおでん屋に…という話。

駅弁の丸かじり

  • おでん革命:おでんのツユは和風ダシに醤油と決まっている。 が、このままでいいのかという話。

タケノコの丸かじり

  • おでんをいじめる?:おでん食い方とか作り方がいじめるでどうとかいう話。

パンの耳の丸かじり

  • 冷やしおでん見参:冷たいおでんの話。

おでんの丸かじり

  • 「静岡のおでん」は…:静岡のおでんは串が…という話。
  • 難物、おでんの袋もの:ためつ、すがめつ、袋ものを注文した男の観察記ほか。

パイナップルの丸かじり

  • 自販機からおでん:秋葉原での話。

コロッケの丸かじり

  • 韓国おでんの串は:新宿コリアンタウンで食べたデッカイおでんの串がどうのこうの…という話。
  • トマトのおでん:この記事の話。

以上9題

このように東海林さんは再三にわたりおでんを語っておられる。 東海林さんのおでんに対する情熱が伝わってくる。 情熱は伝染する。 だからあなたもひとつトマトのおでんを実行してみるべきである。

※さらにこのあと東海林さんはコンソメスープでトマトを同じように煮てみたら美味しいということを発見し、飲んだあとのシメとして大いに期待できると書いておられる。 オイはまずはじめにごく普通におでんを楽しみ、中盤でトマトのおでんを食べて、あとに残るトマト色に染まったおでんダシに、色んな種を浸してトマト風味をプラスし、再びおでんを楽しむという食べ方が好きだ。

2007/10/14 菓子

サクマドロップ火垂るの墓バージョン

サクマドロップ

サクマドロップについては以前も掲載していたのだが、まさかこのようなバージョンがあったなんて…。

アニメ版火垂るの墓は大好きなのだが、見れない。 ある意味トラウマとなっているのだ。 いやでもしかし、見なきゃイカン、正視せねばならんのかもしれん。

サクマドロップを食べようとして、まさかこんなにヘコむとは想像すらできなかった……。

2007/10/11

ふぐ料理のお店

知り合いのそのまた知り合いに元プロ野球選手がおり、彼行きつけのふぐ料理屋が美味しいという話なのでひとつオイも行かないかという誘いをうけて、同行した。 ふぐならば旨いに決まっているでしょう。

近くまでタクシーで移動して、そこからしばらく歩くと河豚屋に着く、という話だったのだが、歩いても歩いても辿りつかない。 元プロは道を間違えたのではなかろうか? と考え始めた頃、ようやくフグ屋についた。 こじんまりとしているが、立派な建物である。

一人ではとても入れそうにない。 一見さんお断りとか言われそうだ。 皆一列に並び、店内へ入っていく。 「いらっしゃいませー」と女将さんが出迎えてくれる。 年の頃は70ちょっとで品格がある。 L字型のカウンターに順番に座る。 椅子の背もたれがやけに長くてウケル。

女将さんは奥から順番に名刺を渡しはじめる。 そしてその後、店の歴史を語りはじめる。 「この店は最初屋台から始まり、今年で40年になります。 最初の頃は…」と、以外に長話だった。 皆、一応敬意を示すために「ほー、へぇー」とかうなずきながら上手に話しを聞いた。

「さて、皆さんお飲み物はビールでよろしいでしょうか?」

「はい。 皆ビールでお願いします」 とひとりが代表して答えた次の瞬間、キツネ目の男が「ワシ風邪引いているからお茶でよろしく」という。 フグを、お茶と、食べるのか…・

突然、和服姿の女が入ってきた。 「いらっしゃいませ」というからにはこの店の者なのであろうが、その顔立ちや動作にはなにやらかすかな怒りが見え隠れするような気がする。 女将の隣に立ち、一同に挨拶をする。 若女将なのだ。 女将と若女将はなにやら小声でやりとりをしたあと、サーバーからジョッキへビールを注ぎ始める。

女将は先ほどからジョッキにビールを注いでいるのだが、どうにも泡ばかりである。 半分、いやもしかすると6割は泡?という生ビールを客に差し出す。 ジョッキを持つ手がブルブルと震えているので、コースターの上はビールだらけになる。 どういう反応をすればいいのか一瞬考える。

次の瞬間、若女将が女将の持つジョッキを取り上げて、自らビールを注ぎはじめた。 ファンデーションを厚塗りしているにもかかわらず顔色はどす黒く変色しており、誰がどうみても怒っている。 女将さんはバツが悪そうに別の作業に移る。 若女将の気持ちもわからんでもないが、客の前でそんなにトゲトゲしくされても困るわけで…。

「さあ皆さん、まずはクエの薄作りを召し上がっていただきましょう!」

気をとりなおした女将がクエの大皿を運んでくる。 なにやら足元がおぼつかなくて、見ていてドキドキする。 どうか一刻も早く、カウンターの上に大皿を設置し終えますように、と祈らずにはいられない。 ホッ。 無事に大皿設置完了。 ハラハラさせやがって、飯どころじゃねぇぞまったく。 「しかしウマソウなアラですね、アラの刺身なんてなかなか口に入りませんからね、ハハハ。 えーっとポン酢はどこにあるのかなー…」

丸くていかにも高価そうな大皿に薄切りのクエがズラリと並べられており、中央にネギ、ミョウガ、紫蘇、もみじおろしなどの薬味がこんもりと盛られている。 おもわず生ツバがでるが、とり皿と、ポン酢がない。 しばらくして女将はそれに気づく。 「あー、すいませんでした。 皿とポン酢がありませんねー」

カウンターの下は食器入れになっており、そこから8枚皿を取り出す。 そして一枚ずつ我々の前に皿を出そうとした瞬間、前につんのめって皿を客に投げてしまった。 そしてその皿は突き出しの入った小鉢に衝突し、割れて、飛び散った。 一同、唖然とする。

女将は一瞬焦りを色を見せたが、すぐさまとりなおして、割れた皿を片付けて、皿を一枚一枚配り終えた。 そして、自慢の手作りポン酢をもってきた。 イロイロあったけれど、これでようやくクエが食べられるというわけだ。 みんなはじめは恐る恐る一枚ずつクエを箸でつまんでは口に運び、かみしめ、喜びの声を上げていたのだが、誰かがクエをゴソッと箸ですくい上げ、ポン酢に浸してムシャムシャ食ったのをキッカケに、我もクエをごっそりと、我もクエをごっそりと、という風に奪い合いになった。 一瞬で、クエは無くなってしまった。

次に危なっかしく運ばれてきたのは待望の河豚刺しであり、クエと同じように盛り付けられている。 皆箸を手に大皿の到着を待ち構えており、カウンターに置かれた瞬間、ヌーっと8本の腕が大皿に伸びた。 当たり前だが美味しい。

さて。 ここらで日本酒でも飲みながら河豚つまみたいですな。 女将さん、なにか日本酒ございますか? と尋ねると「あー、お酒ですね、取って置きの焼酎、魔王がありますよ、人気ですよ」と言う。 うーん、魔王はさておきオイらは日本酒を……でもまあいいか。 じゃ魔王をくださいな。 ロックで。

女将は危なっかしくロックグラスを取りだし、魔王を棚から危なげに持ってきて、厨房に氷を頼み、時間をかけて魔王の封をあけて、魔王のロックを作ってくれた。 ロックっていうか、氷はほとんど入っておらず、並々と魔王が注がれている。 うーん、まあいいかグビッ。

皆それぞれ飲みながら、河豚をつまみながら、楽しい宴を満喫していると、女将が現れて「穴子の刺身食べませんか?」と言う。 美味しそうだ、満場一致でお願いすることにした。 と、思ったら、一人穴子の刺身は食えないとかいうヤツがいる。 以前別の店で穴子の刺身を食べてアタッタとかで。 これを聞いた女将は今までにない俊敏な動きでイケスから穴子を救い出して我々に見せる。 「ホレ、活きてる穴子なんですよ。 当たるわけないでっしゃろ」

穴子食えない氏は、仲間からもダメダシをされる。 食えないならだまって食わぬならよいだろうが、オマエが食わなくたって皆が食うに決まってんだろ。 穴子氏はこの件について我らの長老から4時間にわたる説教を受けるハメになった。

この長老というのがまたやっかいな人で、食い物にウルサイし、他のことにもウルサイ。 たらふく食って飲んだ後にだされた味噌汁に使われている鰹節がイケナイということで、わざわざ女将にそう言う。 使っている鰹節を見せやがれ! と段々エスカレートしてくる。 女将もシカトしておけばよいものをこれがまた正直に使っている鰹節を持ってきてしまう。 それを見た長老は、女将を目の前に、右手で鰹節を握り締めながら、どこがイケナイだの、どこそこの鰹節を使うようにしろだの、たまに穴子食えない氏のほうを向いて怒鳴ったり、大変な騒ぎになった。

本当の話だが、女将は我々が食事をしている間に計4回、食器を派手に割った。 若女将の態度から推測すると、これはいつものことなのかもしれない。 できることならばお店には立ってもらいたくないのかもしれない。 もう引退してもらいたいのかもしれない。

でも女将が商売を始めて40年。 はじめはリヤカーを引いた屋台から初めて、頑張って、ビルを建てた。 今では多くの客に贔屓にされて、本当に嬉しい。 今こうして皆さんに会えるのも、一番つらい時期に、○○銀行がお金を貸してくれたからだ。 だから○○銀行のほうに足を向けて寝れない。 ほんと辛かった。 らしい。 5、6回同じことを聞いたので覚えてしまった。

河豚も美味しいが、憎めない女将さんのいるフグ屋だった。

2007/10/01 webで買い物

ししゃも(本物):大野商店

ししゃも

ししゃもを食ったことがない人はいないと思うが、本当のシシャモを食べたことがある人はどれぐらいいるのだろうか。

「シシャモには本物とそうでないものがある」という話は、以前テレビかなんかで見たか聞いたかしたことがあるのだが、実際本物を味わう機会がなかったわけだ。

スーパーにいけば、少なくとも2、3種類はししゃもが置かれているという経験に基づく事実がある。 そのどれもが、真のししゃもではないのだという。 日本国内に流通している「子持ちシシャモ」の9割は、ししゃもの代用魚であるカペリンという魚だったのだ。

消費者をだましてもよいのか。 鯛として売られているものが、本当はイサキだったら問題になるのではないか。 ヒラメとして売られているものが本当はカレイだったとしたならば、世の奥様方は激怒するのではないか。 責任者、でてこい!と。

このようにシシャモ問題が社会問題にならなのは何故なのか? まずはししゃもを知ることから始めなければならぬ。 グーグルで、ししゃもを検索する。

シシャモとは?

シシャモは世界的にも貴重な北海道の特産種です。 全国でシシャモとして販売されている中で、北海道産シシャモの割合は、なんと10%以下なのです。

カラフトシシャモ (カペリン)

カラフトシシャモ (カペリン)は北極海などに分布しているマロータス属の魚で、学術的、生態的にはかなり大きな違いのある魚です。

北海道むかわ町HPより

ということらしい。 カペリンをししゃもとして売っているのだ……。

このようにシシャモが気になったわけは、「本物のシシャモ」を食べたからである。 本物のししゃもは「ししゃもの町北海道鵡川」のししゃも専門店から送られてきたものである。 何故シシャモが送られてきたのかというと、それは買ったからである。

雄と雌をそれぞれ購入してみた。 シシャモのサイズがいくつかあるが、大きいほうが美味しいらしい。 ていうかそもそもシシャモにオスメスがあることすら今まで考えたことがなかったことに気づいた。

シシャモ串刺し

焼く際はホットプレートもしくはフライパンの上にクッキングシートを敷き、その上で凍ったししゃも を弱火で焼けばよいそうだ。 オスは狐色に変わる位、メスは卵が硬くなった頃が焼きあがりらしい。

まずはオスを一本食べたあと、メスを一本食べてみる。 もう一度繰り返す。 雄のほうが、美味い。 普段食べている実はカペリンししゃもとは身の味がまったく違う。 タマゴがない分、ししゃもを食べているという気がしない。

メスはメスで旨いはウマイがオスと比べるとやはりオスが美味しい。

シシャモ:オスメス

ししゃもを購入したのは大野商店で、その道では結構知られている店らしい。

マーク中

ぷちぐる本

最近の記事

2024年5月6日 new!!

月例報告2404

一日一日を大切に生き

続きを読む

電線のスズメ 2024年4月4日

月例報告2403

四月は良い事がいつも

続きを読む

人気記事

月別アーカイブ

カテゴリー
メモ
最近のコメント
タグクラウド
フェイスブックページへ ツイッターへ RSS 問い合わせ

ページトップへ