海苔増増(ノリマシマシ)
海苔増増…とついには丼を一回りさせてしまった状態。
ゲンコツ、鶏ガラを一度ゆでこぼしてからじっくりと煮詰めて白濁スープを抽出し、それに目ん玉飛び出るぐらいの昆布、カツブシを投入した醤油ダレをあわせる。 表面に鶏油をたらす。 少し太めの麺が手に入れば言うことないのだが……。
雪虎
「もう店、閉めようかなー」
と、通いだして1年ばかりになる料理屋の大将が言う。 「なに言ってんスか。 この前やっと3周年だとかで喜んでいたじゃないスか。 ようやく黒字になってきたって喜んでいたじゃないですか。 内装にもっとこだわらねばならん。 商売は演出だ!と叫んでいたじゃないスか。 3周年記念で生ビール一杯100円にしたら、生の注文ばかり多くて採算合わんと嘆いていたじゃないスか。 がんばりましょうよ。」と、少し励ましてみる。
どうせやめないに決まっている。 そう簡単にやめられても困る。 飲む場所が減るのはイヤだ。 それはさておき注文しておいた軽めのつまみを早くだせ。 なんじゃこりゃ、厚揚げじゃねえか。
目の前に出されたのは、厚揚げに大根おろしがたっぷりかけられたものだった。 これに醤油をかけてつまむのだという。 ふーん、大根おろしが胃にやさしそうだね。
ひとくちぼうばると、うーんなんちゅうかこう、地味に滋味があふれていてウマイというかなんというかもっと別の・・・・・・という感じだった。
この料理どこかで見たような気がするな、と考えていたら、ホラ、揚げだし豆腐に似ているでないの。 醤油がつゆで、厚揚げが豆腐なわけだ。 なーるほどーと、ひとり納得していたところ、思い出した。
この料理、魯山人味道で読んだことがある。 「これって魯山人先生の本に書いてあったような気がするんですが。」と聞いてみると、ネタモトはやはり魯山人だったのだ。
さっそく帰宅し魯山人味道を探し出す。 パラパラとめくる。 みつけた。 この料理の名前は、『雪虎』である。
揚げ豆腐の五分ぐらいの厚さのものを、餅網にかけて、べっこう様の焦げのつく程度に焼き、適宣に切り、新鮮な大根おろしをたくさん添え、いきなり醤油をかけて食う。
北大路魯山人-魯山人味道-より
とある。 焼いた揚げ豆腐に白い大根おろしが降りかかっている様を雪虎と言ったまでと書いてある。 なーるほどー。 この料理が魯山人先生に由来するものだということがわかり、なんだか自分でも作ってみたくなった。
あいにく厚揚げが売り切れであり、厚手の薄揚げ(はっきりしろ)というものが売られていたので、それで代用することにする。 大根のかわりにネギを振り掛けると竹虎であると書いてあった。 厚い薄揚げ(はっきりしろ)をサッと炙り、上から大根おろしをかけて、ネギを散らしてみた。
雪虎竹にしたって勝手である。
雪虎
缶詰で一杯(赤貝とサバ)
この前クジラを全種類目の前に並べて食べたいという話を書いた。 しかし、いざそれを実行するとなると、一体幾らぐらい必要なのか検討もつかない。 だから夢なのである。
最近ぷちぐるの掲示板で、3種盛り(酒盗、チーズ、アボカド)の書き込みがあり、急に酒盗を食べたくなった。 スーパーに買出しに行き、缶詰コーナーへ向かう。 ちなみに酒盗を食べる際は、東海林さだおさんによる旧友再開漬にしたほうが塩気も少なくなり、風味も増す。
桃屋の酒盗を買い物カゴに入れて、さて次は精肉コーナーへ向かおうとしていたところ、「赤貝の缶詰」が目に飛び込んできた。 「赤貝の缶詰特売! 1缶89円!!」と、黄色くて細長い紙にデカデカと赤いマジックで書かれているものだから、イヤでも目につくわけだ。 なんだか懐かしいようなそうでないような気がして、一缶カゴに入れる。 やけに甘ったるくて、シコシコとした食感の、赤貝とはいうものの、おたくは本当は何者? というような貝の姿が思い出される。 ビールのつまみになるかもしれん。
さばの水煮を発見する。 そのとなりには、サバの味噌煮の缶詰が積まれている。 うーん、どちらにしようか・・・・。 サバ関係には見た瞬間に購入を決意させる何かがある。 味噌煮、といきたいところだが、あのやけに柔らかくて噛むとホロホロ崩れおちる「骨」を楽しむとするならば、やはり水煮か。 いやでも・・・。
ホワイトアスパラガスの缶詰も地味にウマイんだよね。 アンチョビもハズせないな。 出たーっ、サンマの蒲焼缶詰。 これはイッとかないといけないでしょう。 あ、そうそう、シーチキンにマヨネーズを入れて、手巻き寿司を子供に作ってあげよう。 まてよ、缶詰というものはそもそも保存食であるわけだから、この際まとめ買いしておくというテもあるな。 というように、缶詰でカゴが一杯になってしまった。
サバの味噌煮と、赤貝の缶詰をテーブルに置き、キンキンに冷えたビールを冷蔵庫から取り出す。
サバの味噌煮をパカッと開ける。 「おぉー、こういうものだったっけなー」というのが第一声である。さらに赤貝の缶詰を開けようとプルトップを探すが、ない。 サバは引っ張って簡単に開けることができたが、赤貝はそういうわけにはいかないのだ。 赤貝の缶詰は古いタイプの缶詰なのである。 缶切りで周囲をキコキコとやらなければ開かないのである。
そもそも缶切りなんてあったっけ? 家中探してようやく見つけ出したのがビクトリノックスのスイスチャンプであった。
三十数種類ある機能のうちに、たしか缶切りがあったはずである。 ほらね、あった。 早速赤貝の缶詰にそれをあてがい、キコキコと押し進む。 ギザギザと、蓋が切り取られていく。 この際、蓋の全てを切り離さずに、若干本体とつなげておいて、ハシを突っ込んで食うのが美味い食い方のような気がする。 これはカップラーメンを食べる際もそう思える。
赤貝もサバの味噌煮も想像通りの味がしてしみじみウマカッタ。 ビールにも・・・・・合う。
安キャバクラにて
浮ついている。
声が、である。
イトウミサキ似の女を前に、嬉しそうにMBTの話をしている男の顔は終始たるんだノモヒデオのようだ。
MBTとはマサイ ベアフット テクノロジーのことで、詳しい話はこのサイトを見ればわかる。
ミサキ嬢は職業上、どうでもよい話でもあたかも興味があるかのように熱心に聞き入る態度をとり続ける必要がある。 MBT男は、その靴をまるで自分が開発したもののように、鬼の首とったように、自ら履いている靴を片方手にとり、ためつすがめつしながら、熱心にその長所を語り続けている。 姿勢がよくなるとか腰の負担を軽減するとか歩く姿が美しくなるとか、なによりもその厚底のために足長効果が得られるのだとか(どうやらそこが一番嬉しいようだ)。
終始半ニヤケ状態で、男は延々とMBTの良さを語り続ける・・・・。
薄すぎる水割りを飲んだか飲んでないかわからないぐらい口にあて、薄暗い店内を見渡す。 薄毛の50代の男が、マツタケを買い占めた話をしている。 マツタケ山の持ち主と交渉して山を2、3個押さえ、マツタケ業者が介入しマツタケの相場が上がるのを阻止しているのだとか。 ふ-ん。 これとよく似た話を飲み屋で2、3度聞いたことがある。 日本人はやはりマツタケが大好きなのだ。
また別の男は、来週から明石に寿司を食いに行くそうだ。 彼が今一番言いたいことは、作ってから6時間以上経過した豆腐は、どんなに上等なものでも食えたものではないということらしく、もう3、4回同じ話を繰り返している。
オイと同行した女によると、初めてお酒を飲まされた際、目薬が大量に投与されていたという話を後で聞かされて激怒したらしく、でもちっともなんともなかったそうだ。 この前焼酎を飲みすぎてツブレタそうで、それ以来焼酎のことは避けているのだとか。 へーえ。(いつも潰れているじゃないか)
MBT男はどうしても「ソンナノカンケエネェ」をやりたいらしくて強引に連呼しまくる。 もうしばらくしたら「ドンダケー」とか言い出すに違いない。 このような客にイチイチ対応しなければならないお姉さま方々は本当に大変なお仕事をされておられる。
オイは、さっき入った寿司屋で客に横柄な態度をとり続ける雇われ店長のことを思い出しつつ、やけにマズかったニギリの一体どのへんが一番問題だったのかを隣に座る自称アユに似ているというネエチャンのことをシカトしながら模索中であった。 やはりシャリか。
鯨の給食再び
長崎市内の小学校給食で鯨が29年ぶりに復活したそうだ(4月のこと朝日新聞より)。
捕鯨が盛んだった頃の食文化を子供たちに伝えるのが狙いだそうで、近年調査捕鯨の拡大による鯨の市場価格の低下も追い風になってるのだとか。 給食でクジラが食えるなんて、実に、実にうらやましい。
最早給食を食べることは不可能だから、せめて毎日の食卓に一品鯨モノを出せるぐらいに、もう少し安くなってくれるとうれしいのだがムリか。 せっかく調査捕鯨拡大したんだから。
「昔は鯨は安かった」「昔くじらを食べ過ぎたのでもう食べたくない」このような話をいままで幾度となく先輩方に聞かされてきたわけだが、もしかすると今給食で食べてる小学生も、大人になったときに自分の子や孫にそういうのかもしれない。 いや、もしかするとこれ以降さらに調査捕鯨が拡大され、昔のように鯨が安くなっていくのかもしれない。 そうなると一体どういうことになるのか。 「鯨が給食に出されていたのを知らない世代」という言い方よりも「鯨が給食に出されなかった時代があったのだかつて」なんて言われるのかもしれない。
現在は鯨の価値が最高潮の時代であり、あと6、70年もすると、昔のように鯨食べ放題(だったのか)の時代がやってくるのかもしれない。 そう考えると、今という時代を生きねばならないオイその他鯨フリークは身がよじれる思いを死ぬまで持ち続けなければならず、死んでも死にきれないという話になってくるのではなかろうか。
東海林さだおさんが丸かじりにて「卵の美味しさは異常だ、皆安いから有難がっていないが、卵の美味しさからすると、もう少し値段が高くてもよいのではないか」というような話があったように記憶しているが、鯨の美味しさはどうであろうか。 値段と旨さのバランスはとれているのだろうか。 妥当にも思えるし、高すぎるようにも思えなくもない。
オイには夢がある。 鯨の各部位おおよそ食える部分全部(すえひろ、べーこん、赤身、オバ、さえずり、百尋、尾の身等)を目の前にズラリと並べ、いっぺんに、それを少しずつ味わいながら、チビチビ酒を飲むことである。 それには最低いくらぐらい必要なのかを、特売のベーコンをつまみながら少し考えた。
※この前寿司屋で鯨のあご肉の煮付けを食べた。 甘辛に煮付けてあり、どこか獣のにおいがした。
小倉トースト
前に書いたカフェに「サンドイッチを作らせたらスタッフ一」という姉ちゃんがいるという情報を聞きつけ、いち早く駆けつけた。
「一軒のカフェに勤務するスタッフの中で一番サンドイッチを作るのが上手だ」という情報を得たところで、いち早く駆けつける必要はないようにも感じられる。 世界一サンドイッチを作るのが上手なわけではなく、日本一でも九州一でも長崎一でも町内一でもなく、一軒のカフェ一なのだ。
オイが駆けつけたときにはすでにサンドイッチ名人はスタンバっていて、すぐに作り始める。 何か変わった作り方をするのであろうかと、作っているところを覗き込んだら「見るな」と言われる。 作り方は企業秘密なのだとか。
ものの数分でサンドイッチは完成し、目の前に運ばれてきた。 一見普通のサンドイッチである。 トマト、レタス、蒸し鶏、その他がはさまれている。 うん、美味しい。 でも特別美味しいってワケじゃない。 普通においしい。 どの辺が特徴なのか?と尋ねると、「サンドイッチの密着具合」だという(味ではないのか)。
手に持ってもバラけず、食べ終わるまで乱れないサンドイッチだというところがウリなのだとか。 ちなみに今回の出来は75%らしい。 いつもはもう少し密着しているらしい。 へーえ。 としか感想の言いようがない。
名古屋には小倉トーストという食べ物があるそうだ。 名古屋の喫茶店ならばこれが無い店は無いといっても過言ではないらしい。
小倉トーストはどういうものかというと、パンをトーストした後にバターを塗り、上から粒餡をかなり厚く塗り、もう一枚のパンではさんだものらしい。 粒餡をはさんだ後小倉トースト全体をもう一度トーストする場合もあるそうで、家庭で作る場合は、アンコをお湯で少しゆるめるとよいそうだ、と東海林さだおさんが書いてた。
トラキチ君:竹下製菓
風邪引いてチョコ食ってムギーッ!
2、3日前からどうもノドが痛むと思っていたら、熱がでた。 風邪だ。 こんな時は卵酒作って飲んで、風呂入って大量に汗かいて毛布かぶって寝るとすぐ直る・・・・・ハズだったが治らなかった。 長引いたらメンドクサイし時間の無駄だ、一刻も早く健康体に戻らねばならぬ。 朝一で病院へ向かう。
「あーこれは痛いでしょう喉真っ赤になってますよ。 抗生剤だしときますね」と先生に言われる。 もしかすると注射をされるのではないかと警戒していたのだが、薬だけでよいそうだよかった。 待合室に戻る。
受付でおじいさんが何やらモゴモゴと言っている。 受付のオバチャンは少し困惑した様子で電話の受話器を取る。 「あ、○○様ですか、今おじいちゃんが病院に来ていて、診察も終わりこれから帰るところなのですが、どうしてもバスで帰りたいとおっしゃってます。 しかし当院としましては、血圧が非常に高かったものですからバスで帰るよりもタクシーで帰るかもしくはお迎えに来ていただいたほうがよいかと考えているのですが。 ハイ、ハイ・・・・・わかりました。 そのように伝えますガチャリ」
受話器を置いた受付おばさんはおじいさんに言う。「おじいちゃん、今おうちのほうに連絡したらね、タクシーで帰ってきてって言ってましたよ。 タクシー呼びますからそうしましょうよ。」 そういわれて、素直におじいちゃんはうなずいた。 オイの予想では、このおじいちゃんは頑固者で「バスで帰るったら帰る。 タクシーでは絶対に帰らんのじゃー」とか言いそうだよな、もうひとモメあるな、なんて思っていたらすんなり言うことを聞いた。 そう、タクシーのほうがイイですよ。
支払いを済ませ、薬局に薬を取りに行く。 薬局は、病院の隣だ。 自動ドアが開くと、薬剤師がいて、処方箋を渡し、しばらく腰掛けて待つ。 さっきのじいさんが入ってきた。
右手にはすでに薬の沢山入ったビニール袋を持っている。 そこから一束の薬を取り出して、薬剤師に渡す。 そして「胃薬は家に沢山あるから要らん」と言う。 しかし家にある胃薬とこの胃薬はまた別のものなので、是非この胃薬も飲まないといけないのだと薬剤師は言う。 さっきはすんなりバスからタクシーへと帰り方を変更したにも関わらず、今回の胃薬不要問題では一向に折れる気配がないおじいさん。 とにかく家に大量の胃薬があるので、その胃薬を飲んでから、また新しい胃薬を頂戴したい、と言っているのだ。 こればっかりはどうにも譲れないらしい。
一見、おじいさんは正しいことを言っているようにも思えるが、どうやら胃薬は胃薬でもまた別の胃薬らしく、とにかく家にある胃薬のことは置いといて、とりあえず飲んで欲しいのが今回の胃薬なのだと必死で薬剤師が説明するも、なかなか自説を曲げないおじいさん。 横でそれを眺めながら、これは少し時間がかかりそうだな、と心配になるオイ。 胃薬問題も、とりあえずじいちゃんの家に電話して内容を話し、それから爺さんの説得に入ったほうがよいと思う。
とにかくオイは熱で頭がフラフラなのだ。 胃薬はともかく、先に薬を処方してくれっ!と念じたら、そうしてくれた。 ようやく家に帰る。
風邪を引いたときは普段あまり食べないものを食べたくなる。 チョコレート、アイスクリーム、炭酸飲料等をむさぼる。 チョコレートをかじりつつアイスをなめ、炭酸飲料をグビグビ飲んで寝ると、翌日には回復している。 付け加えておくが、朝昼晩3度の食事はキチンと食べ、それに加えてチョコレート、アイスクリーム、炭酸飲料を摂取するということだ。 いつもよりも過剰にカロリーを摂取してどうにかしてやろうという魂胆である。
今、目の前には明治ガルボというお菓子があり、それを一気に食べてしまおうと考えている。 外箱を開けて、ひとつずつ包装されているガルボを取り出し、隅っこに噛み付いて封をあけようとするが、あかない。 お菓子の封を開ける際、手であけることができない場合はこうして袋を歯で噛みちぎってあけるのが子供の頃からの習慣だが、このガルボの袋はうまくあかないのだ。
あかないからと強く噛んでひっぱると、袋の隅っこだけがちぎれて、肝心なガルボ本体を取り出すことができない。 熱っぽい頭にイライラがつのり、さらに激しく反対側の隅っこに噛み付き、袋をあけようと試みる。 でも、その噛み付いた袋の隅っこだけがちぎれて、肝心なガルボ本体を取り出すことができない。 これほど強情なお菓子の袋というのも珍しい。 残る2隅を噛みちぎろうとするもことごとく失敗。 その光景がトップの写真なのである。 頭にきて、明治さんに「ガルボの袋をあけることができなくて食べれません」と電話しようかとも考えたが、とりあえず4隅の小穴からのぞくガルボ本体を袋ごと噛み付いて、歯でしごき出して食べることに成功。 でも、食ってるというかむしろ・・・・とにかくこうやって食べてもおいしくもなんともない。
ガルボを人力であけることは不可能と判断したオイはキッチンからハサミを持ってきて、チョキンときれいに封をあけてガルボを取り出し、食べた。 ガルボが残り2本になった頃、何気なく袋を眺めたら、後ろに『開け口』という文字を見つける。 そのすぐ下には小さな切れ込みがあり、そこを指でつまみ、ひっぱると・・・・・・・いとも簡単に開封できた。 今回の件はたぶん風邪のせいなのだろう。
納豆 meets キムチ
今さらおおげさに語る必要はないが、納豆とキムチをあわせたものはうまい。 いや、キムチに納豆を混ぜ込んだものはウマイといったほうが適切か。 それとも日本人であることを考慮するならば、納豆にキムチを混ぜ込んだものと表現したほうがよいのかもしれん。
先日家族で焼肉屋に行ったときに、嫁が納豆キムチを注文して食べていたのを横からつまみ食いしてみたら、意外とうまかった。 それからここ最近、自宅で毎日納豆キムチを作って食べているだった。 納豆は包丁で叩いてひきわりにして、自家製のキムチが無い場合は、市販の、ちゃんと作られたキムチを使用して作る。 コチュジャンを入れてコクと辛味を追加するのも自由、胡麻油を少したらしてみたり、白ゴマを散らしてみるのも自由である。
金持ちの隣で飲む酒はメンドクサ旨い
携帯電話でメールを打つのも、受信するのも、大嫌いである。
チマチマチマチマ・・・・・小っこい画面を凝視しながらメールを打ってると侘しくなる。 キーボードだとあっという間に入力できる文章も携帯で入力するとメンドクサイったらありゃしない。 「用件はともかく、返事がほしいならばメールはPCに送れ返事するかしないかは別として」と叫びたい。
携帯で受信したメールを読むのは大嫌いだ。 小っこい画面を凝視しながら小さい字をフムフム・・・・・・と上から下にチマチマと画面をスクロールさせながら読んでいく・・・・・・「あーメンドクサ、イーからもっといっぺんにダーッと表示しろっ!ともかく」と人前もはばからず絶叫しながら携帯を「ドーン!」と窓の外に放り投げてやりたくなる。 だが、もしかすると重要な用件がそこに記されているのかもしれない。 ムカツク半面、携帯電話というものはしみじみと便利なものなのである。
「お、おーっ、へぇ、ふーん」と携帯で受信したメールを読み進む。 送り主は3年ぶりにぐらいに連絡があった人物で、顔を思い浮かべるのも大変なほど付き合いがない。 そんな彼がよこしたメールには、イイ感じのワインバーについての事細やかな情報が記されてあった。
そのワインバーというのは長崎近隣にあり、ワインバーというぐらいだから、ワインにめっぽう強く、しかもバーテンはカワイイ姉ちゃんで、そのカワイイ姉ちゃんがまたワインについて知りすぎていて云々・・・というまさに今すぐその店に飛んでいきたくなるような情報で、スパムメールをばらまいていい気になっている人々も見習うべきであろうという読んでいる人を思わず夢中にさせる充実の内容が記されていたわけである。
長崎から高速使えば2時間だ。 知人もいるし、宿の心配もない。 早速そのワインバーに出向いた。
どこか昭和を感じさせる、ウワサ通りのカワイイ女バーテンは少し「シイナリンゴ」に似ている。 淡々とワインの説明を始める。 「このワインはフニャララで、ウンダラカンタラの、ワインです」と両手で持つワインの簡単な説明をし、バーに座る客のグラスに、そのワインを注いでいく。 要は、ワインを一本あけたら、そのワインを客全員で吟味するというわけだ。 「オイだけ別のワインを飲んじゃるけぇね」という抜け駆けは許されない。 皆で、一本のワインの味を、楽しみ、分析するわけである。
ワイン一杯の値段は定額制であり、上等なワインでも、ヘボいワインでも、一杯は同じ値段である。 と、いうことは、そのワインが旨いかどうかの判断は、それぞれの客に委ねられているわけで、たとえばその昭和美人が注いだワインが安ワインだった場合、バーに座る客は皆、その安ワイン飲んでいるわけで、味のわからない客が、一口飲んでイキがってその安ワインについていっぱしの「うーん、ウマイ、滋味がある。」なんていうなんちゃって評論をしようものならば、周囲の常連客の熱くて冷めた視線を受け続け、退場というという結果に陥ってしまう。 いわば自己責任の世界だ。
オイはこの店の常連でもないし、ワインのことなんてよくわからないので、昭和美人の姉ちゃんが説明するがまま、ワインを楽しんだ。 常連客が言うほど、それぞれのワインの品質に差があるとはおもえない。 どれもうまい。 非常によい店である。 腰をすえてワインを楽しもう。
オイの右となりに座るなべおさみ似の男は、ゼロハリバートンをひざの上で開け広げ、思わず目を疑うほどの携帯電話の山をかき分けつつ、ワインを楽しんでいる。 この男の職業は一体・・・。
店の隅っこで、なにやら中声で怒鳴っている客がいる。 ワインの味について文句を言っているらしいのだが、このテの人物は、世の中に存在する全ての事柄に対してイチャモンをつけるヤツである。即刻退場頂きたいと皆も思っているようだ。
ワインが美味しいし、居心地もよいし、気分がよい。 サントリーサタデーウエイティングバーのように、聞き耳を立てながら、ワインをグビグビ飲る。
左隣に人が座っていることに今気づいた。 小柄な、年のころ70前後の男がワインを飲んでいる。 一瞬視線を向けると、異様なスピードでそれに反応し、ギロリと力強い目でオイの顔を見上げる。 「どうも・・・」と会釈をする。 「う、あぁ・・・・」と男は返事をする。 しばらく沈黙が続いた後、男が話しかけてきた。 「あ、あんた、どっから来たんだい?」
長崎県でありますると答える。
「長崎にはね、3月に行ってきたんですよ。 帝国ホテルに入っている洋菓子屋を贔屓にしていたところ、日ごろの感謝の気持ちをこめて、航空券をプレゼントされたもんだからね。 宿は全日空ホテルでした。」
「しかし長崎ってなかなかいいところだね。 ボクはね、この前デパートで買い物していたら、九州旅行が当たるキャンペーンをしているとかで、抽選会場を案内されたんです。 しかしね、キッパリと断ってやったんです。 旅行ぐらい、自分の金で行きますよ。 金だってカードだって財布に入っている(ここで2つ折の財布を取り出して、広げて中身を見せる一万円札の束がおそらく10万単位で閉じられていて、その束が少なくとも20は入っていた様子)。」
「うわ、すごいですね。 一束ぐらい頂戴できませんか」なんていう冗談が通じない人物のような気がするので、大げさに驚くだけにしておく。
「鯛はね、明石まで食いに行かないと旨くねぇんだよ。 ○○電気の社長とは昔仲がよくて、よくしてもらってたんだよ。 オマエ有名になりたいのか、それとも金が欲しいのか、どっちだ? って聞かれて、オレは金って答えたんだよ。 そしたら当時の金で10億作ってくれたんだよ。 毎日証券会社や銀行からしょっちゅう電話がかかって来るんだよ。 今、醤油屋に五億投資してんだよetc…………」
と、いう風に自慢話というか自伝を沢山聞かされた。 それらの話が真実なのかどうかは知る由もない。 このままだと、あと2時間ぐらいは語られそうな雰囲気だったので、ワインバーから脱出した。
さて。 まだ帰りたくない。 少し小腹もすいたし。 どうしようか。 あ、白レバー。
先日白レバーという鳥の脂肪肝を食べさせてくれる焼鳥屋があるという話を聞いており、ここからそう遠くはないハズなので、タクシーに乗り込み向かう。 おそらくこのあたりだろうというところまで来ているハズなのだが、なかなか見つからない。 情報提供者本人と電話でしゃべりつつ、タクシーの運転手さんに指示をする。 「あ、もう一コ隣の道らしいですスンマセン」
着いた。 ビルの一階にあり、外観だけでいうと、若者相手の店であるような気がし、あまり旨いものを食べさせてくれそうな雰囲気はしない。 しかし白レバーのためだ。 思い切って入店する。 大将らしい男は焼き鳥を焼くのに夢中で、オイが入店したことにも気づいていない様子。 「コンチハー」と声をだすと「あ、オイス、いらっしゃいませーぇ」と力みすぎながら叫ぶ。 カウンターの隅が空いており、そこへ座れと言われる。 若干不安になりながらも腰をおろす。
目の前に空のカップ酒があり、手にとってよく見ると奥播磨であった。 これに使用済みの串を入れていくわけだ。 オイの右隣には、竹村健一似の男が座っており、焼き鳥をほうばる。 アルバイトのニイチャンの頭はピンク色をしている。 さ、状況は把握できた。 早速、白レバーとやらを楽しもうではないか。 メニューを手に取る。 白レバー刺の文字を見つける。 ピンクニイチャンを呼び寄せ、鶏刺盛り合わせと白レバー刺、さらに焼き鳥数本をみつくろってもってきてと注文する。 酒についてはもう少し悩んでみようか。
「白レバー、終わりましたー!」
と、大将がカウンター越しに言う。 「えぇえぇーっつっつ!!」オイは白レバーを食べるためにわざわざ来たのだ。 それなのにそれが無いなんて、こんなムゴい話はない。 「いやー実は○○ちゃんからこの店のことを聞いて、白レバーが美味しいから食べてみてという話だったので楽しみに来てみたんですよ」
「あ、そー、わざわざありがとうね。 ちょっと待ってね(ガザゴソ)白レバー焼きならばあと2本は用意できそうだけどどうする?」
是非お願いします。 刺しは無いが焼きはあった。 よかった。 ○○ちゃんの名前を出してから急に大将との距離が縮まったみたいで、焼きながらイロイロと話しかけてくる。 色々と珍しい日本酒があるようなので、リストの上から順番に飲み進んでやろうと考えて 「すみません、これ、この酒お願いします」と大将に伝える。 指差している酒をチラリと見てから「もっと旨いのあるよ」と嬉しいのか怒っているのかよくわからない表情で言う。 じゃ、そのオススメでお願いします。 出された酒は村裕というもので大変美味しかった。 焼き鳥をワシワシとほうばりながら、オススメの日本酒を次々と飲み干す。 旭若松もうまい。 福島県の女性杜氏が作っている酒というのもよかった。
段々イイ気分になりつつ、次は焼酎をもらい、鳥刺しで飲む。 ささみはモチモチと弾力があり、筋肉の繊維一本一本がハッキリとわかる。 砂肝の刺身は、鮮やかなピンク色をしておりシャキシャキとした食感がステキだ。 これほど美しい鳥の刺身には出会ったことが無い。
時折「ふーっ・・・・ふーっ・・・」という息遣いが聞こえてくる。 これは焼き鳥を一心不乱に焼き続けている大将から発せられるものであり、別に仕事をやりたくなくてため息をつきながら焼き鳥を焼いているとかそういうわけではなくて、焼き台からあがる炎を吹き消しているのである。 焼き台は非常にコンパクトで、よくこんなに小さい焼き台で客の注文をさばけるものだと感心する。 炭と焼き鳥の間にはほとんどスキマが無い。 最早炭の上に焼き鳥を乗せて焼いているといっても過言ではないぐらいだ。 このメチャ近火が、この店の焼き鳥が旨い秘訣なのかもしれないし、ただ単に能率の問題で、早く焼き上げるためだけなのかもしれない。
大将も段々と気持ちよくなってきたらしく、店内についての説明を勝手に始める。 「ウチの皿はね、カッコイイでしょ。 これわざわざウチ用に焼いてもらってんのよ。 このぐい飲みも同じところで焼いてもらってんのよ。 でもね、ぐい飲みは酒が漏るのよね。」
「ウチは割り箸使わないんだよね。 環境にもよくないし。 この箸は一本一本削りだしてもらってんの。 だからさ、箸先がピタリと合うでしょうムハハ、漆が剥げたらまた塗りなおしてもらうわけ」
このように、随所にこだわりが見られるお店なのである。
隣の竹村氏は携帯電話でシャツがどうのこうのという話をかれこれ30分ほど続けており、どうやらオーダーしたシャツの出来がイマイチであるというようなことをしゃべっているらしい。 ちょっと会話をしてみたところ、自分は無職なのだとか、家が4つあるとか、現金しか信用しないとかいうことを熱く語る。 どうやら今日は金持ち(おそらく)と縁があるようである。
そういえば、白レバー焼きどうなったんだろう? 皿に一本も串が残っていないところをみると、知らないうちに食ってしまったのだろう。 おそらくウマカッタんだろうきっと。





