七味唐辛子の全て
七味唐辛子をご存知であろうか。
前に「聖徳太子を知っているか?」と聞かれて激怒した人をウェブ上で見かけたことがあるが「七味唐辛子を知っているか?」という質問も、それに匹敵するくらいの威力を持つ質問ではなかろうか。
しかし「七味唐辛子を構成する7種とは何か?」と聞かれて、即答できる人はなかなかいないであろう。
七味唐辛子
香辛料の一。 唐辛子に胡麻、陳皮、ケシ、菜種、麻の実、山椒などを砕いて混ぜたもの。 なないろとうがらし。
広辞苑
とある。 とにかく唐辛子を含めて7種のものが合わさり、七味唐辛子となるのだ。
しかし、近頃次々と摘発される食品偽装により、オイは食品があまり信じられなくなってきた。 自分自身で感じ取ったものしか信用できないのだ。 ということで、手許にある七味唐辛子が、本当に七味含まれているのかを調べてみることにした。
某有名商店の七味である。 原材料の欄には「唐辛子焼き粉、赤粉、黒胡麻、温州みかん陳皮、ケシの実、麻の実、青さ」と記されている。 白い皿の上で七味唐辛子の瓶を5回ほど振り、中身を出して、選別してみる。 も、すぐに断念する。 だって、メンドクサイじゃないか。 性に合わん。 このような場合は、嫁に話を振ってみると、以外や以外、興味津々だったりする事もある。 今回の「七味を構成する7種を選別する」というプロジェクトは、なかなかツボにハマったようで、快く引き受けてくれた。 変わった嫁である。
オイが日本酒をグビグビ飲っている横で、まるでスイスの時計職人のように小皿の上の七味を選別している嫁の姿は異様である。 よくもまあ、こんなに地味で、つらい、きつーい仕事をやれるものだね、ハハハなんておちょくっている間に「選別完了!」と声高々に宣言する。
「オイ、よーく見てよ、ホラ1234…5……67!」 おー7種あるじゃん!
まるで自分のことのように嬉しくなり、早速記念撮影をする。 七味唐辛子を7種に分けてしまうとは…おそらく町内始まって以来の快挙だ。 嫁さんでかしたよ! でもさ、ケシの実って、どれなん?
そうなのだ。 7種にわけることができても、一体どれがケシの実でどれが麻の実かがはっきりとしないのである。 多分、そうであろうと思われるものは、まず黒胡麻、そして青さの2つだけである。 残り5種のことがわからない。 ネット上を駆け巡ってなんとか判明したのが、⑤は麻の実であろうということだ。 あとはイマイチハッキリとしない。
「焼き粉」というのは、焼き唐辛子のことらしいので、赤いハズだ。 なので④かと思われる。 しかし、赤粉の可能性もあるのではないか? 陳皮はミカンの皮らしいので、おそらく②か③だと思われる…すると⑦はケシの実?
というように、それぞれがどれにあたるのかがわからなくて、七味を7種にキチンと選別してみよう計画は、あえなく頓挫した。
ちなみに今回使用した七味唐辛子は「やげん堀 中島商店」のもので一級品である。 そもそも七味唐辛子というものは、1625年(寛永2年)に初代辛子屋徳右衛門が考案し、江戸の薬研堀(やげんぼり)で売りだしたのが最初であるそうな。