宮崎 駿『出発点 1979~1996』
宮崎 駿の『出発点』をひと月かけて読んだ。
宮崎アニメのマニアだというわけではない。 ひとりのファンとして作品を鑑賞しては、感動しているという程度のごく一般的な好感度をスタジオジブリに抱いているわけで。
それにしてもこの本は面白かった。 以下、覚えておきたい部分を引用する。
天空の城ラピュタ
アニメーションはまずもって子供のものであり、真に子供のためのものは、大人の鑑賞に充分たえるものなのである。 パズーは本来の源にアニメーションをとりもどす企画である。
テーマもなにも、男の子が女の子と出会ってひと肌脱ごうという(笑)話で、男になったってだけなんです。
昔に書かれたSFという感じで作ったのです。 蒸気機関車の頃に書かれたSFのように書いたんです。
カリオストロの城
「・・・・・・もう十年以上昔だ。 オレはひとりで売りだそうとヤッキになってる青二才だった」(「カリオストロの城」のセリフより)
紅の豚
国際便の疲れきったビジネスマンたちの、酸欠で一段と鈍くなった頭でも楽しめる作品、それが「紅の豚」である。 少年少女たちや、おばさまたちにも楽しめる作品でなければならないが、まずもって、この作品が「疲れて脳細胞が豆腐になった中年男のための、マンガ映画」であることを忘れてはならない。
となりのトトロ
「となりのトトロ」の目指すものは、幸せな心暖まる映画です。 楽しい、清々した心で家路をたどれる映画。 恋人たちはいとおしさを募らせ、親たちはしみじみと子供時代を思い出し、子供たちはトトロに会いたくて、神社の裏の探検や樹のぼりを始める。 そんな映画を作りたいのです。
これははっきり言いたいのは、あの時代が懐かしいから作ったんじゃありません。 やはり子供たちがあの作品を見たのをきっかけにして、ふと草むらを駆けたり、ドングリを拾ったりしてくれないかなとか。 もう本当にわずかになっちゃったけど神社の裏側にもぐって遊んでくれないかなとか、自分の家の縁の下を覗いてドキドキしてくれないかなとか、そういうことなんですよね。
アニメーションの主題歌はアイドルの売り出しに使われたりしますが、流行を見ても、結局声が出ず、音域のせまい今様の歌は子供たちの心をとらえていません。
せいいっぱい口を開き、声を張りあげて歌える歌こそ、子供たちが望んでいる歌です。 快活に合唱できる歌こそ、この映画にふさわしいと思います。
もうひとつの歌は、挿入歌です。 淡い物語を彩る歌ですが、劇中で子供たちが唱歌のように歌える歌にしたいと考えます。
トトロも縄文人から縄文土器を習って、江戸時代に遊んだ男の子をマネしてコマ回しをやっているんでしょう(笑)。 トトロは三千年も生きてますから、本人にとってはついこの間、習ったことなんです。 ひょっとしたら、カンタのバアちゃんが親にしかられて泣いて歩いていたとき、トトロに会っているのかもしれない。 トトロはひょっとしたら、小さいときのバアちゃんとメイを同じ女の子だと思っているのかもしれないんですよ(笑)。
最初は「このへんないきものは、もう日本にはいないんです。 たぶん」って書いたんですよね(糸井重里)。
- カンタのノートに落書きしてあるのは杉浦茂のマンガ






