『父の詫び状』向田 邦子
薩摩揚
土地の人たちは薩摩揚とはいわず、「つけ揚げ」という。 シッチャゲと少々行儀の悪い呼び方をする人もいた。
骨湯
(more…)煮魚を食べ終ると、残った骨や頭に熱湯をさし、汁を吸うのである。 私の体が弱かったせいもあって、滋養になるからと祖母はかならず私に飲ませた。 私は目をつぶって飲んでいた。 今はこんなことをする年寄りも少ないと思うが、昔の人間は塩気を捨てることを勿体ながり、祖母は小皿に残った醤油まで湯をさして飲んでいた。
カメノテ
「あそこのお婆さんは近頃ボケてきた」
そんな話を昨年あたりから耳にしていた。 先日お婆さんと道で会い、「オイくん、煮干いるね?」と聞かれたので「喜んで!」と答えたら、家に入ったっきり出てこなくなった。
心配になり家の中を覗いてみると、お婆さんは何事もなかったかのように座布団に腰をおろしお茶をススッていた。 煮干の件は、忘れているのだろう。
この人には随分世話になった。 季節の野菜をもらったり、栽培法を教えてもらったり、田舎料理を伝授してもらったり、子供たちをかわいがってくれたり・・・。
近々デイサービスセンターに入所することが決まっているそうで、そうなると、会うことも難しくなりそうだ。
(more…)梅エキス
今年は40キロの梅を仕込んだ。 家族総出でヘタをとり、塩漬けまでを済ませた。 子供たちにも手伝ってもらうが、もうなれたもので、いちいち指示を出さなくてもテキパキと作業をこなしてゆく。
実は昨年末から、この時期を楽しみにしていた。 なぜならば「梅エキス」を作ってみたかったからである。
(more…)トランプ
どこから手に入れたのか、長女がトランプを持ってきた。
ババヌキをしようと言う。 そういえばトランプで遊ぶのは何年ぶりだろう、そもそも家にトランプを置いていなかった。
娘はババヌキのルールを詳しく説明してくれながら、おぼつかない手つきでトランプを切り、配る。 ババが回ってきたのは・・・オイだった。
単純明快なルールがよい。 二人で盛り上がっていると、そこへ長男、次男が入ってきた。 今度は4人でババヌキをはじめる。 娘は、特に次男に対して詳細にルールを説明しながらトランプを配る。 それでは、ゲーム開始!
(more…)植物の力
昨年から野菜作りに励んでいる。
家族で力を合わせて庭に小さな畑を作り、エダマメやゴーヤ、トマトにナスを、近所の熟練者に指導してもらいながら育てている。 楽しい。
唐突だが、植物には目があるらしい。
南アメリカ原産のスベリヒユという草は、赤と緑を見分ける。 この植物、茎は地をはって伸び、先のほうで立ち上がるが、赤と緑のブロックをそれぞれ近くに置いたところ、赤のブロックはおかまいなしでその上を覆うように這う。
ところが、緑のブロックは避けて這う。 どうしてこのようなことができるかというと、植物は光の波長を感知する色素を持っているからだ。 どうしてこのようなメカニズムを備えたのかというと、葉が重なったりして生育に影響がでないよう、緑を避け合っているのだとか。 建物の壁にからまるツタもよく見ればびっしりと茂っているようでいて、葉は重なり合うことなく、ちょうど良い間隔を保っている。
(more…)子どもたちよ!
子供たちの近況を。
次女
毎朝満面に笑みを浮かべながら起きてくる。 慌しい時間だが、それを見るのがとても幸せだ。 ありがとう。 しかし、近頃朝から顔がムクんでいるのは何故? たぶん寝る前にグズメソしているからかもしれない。 是非ムクんでいない笑顔を!
次男
またの名をコメオという。 先日、おとなしくカールをひとりでムシャついていた彼は「なんかでてきたー」と走ってきた。 見てみると、いつもの「のノ字」型のカールではなく、カエルのシルエットを持つカール、通称カエルカールを引き当てていたのである。
(more…)焼き真子
今イサキが旨い。
魚屋に行くと、えらい安値でイサキが売られていたので、おもいきって10尾買ってきた。 もちろんこれだけの量を、全部自分で消費するわけではない。 昆布〆にして日頃お世話になっている方々へ送ろうと考えたのだ。 せっせと三枚おろしに励んだ。
10尾ともなると、アラも大変な量になる。 特にこの時期イサキは、真子をかかえている。 10尾中8尾に真子が入っていた(残る2尾には白子)。
アラは塩をふってこんがりと焼き、煮出してスープをとった。 そして細麺を打ち、あっさり風味の醤油ラーメンを作った。 鮮魚系ラーメンである。 焼き海苔に、あえて固ゆで玉子をトッピングした。
(more…)成長記録20110525
当番
子供たちに役割を受け持ってもらうことにした。
- 長男:クロメダカのエサやり&観察
- 長女:各植物への水やり&観察
- 次男:ゼニガメのエサやり&観察
- 次女:盛り上げ役&監督
どれも毎日休みなく行うことになっている。 今のところ、各自役割を楽しんでいる様子。 冷蔵庫の横に家内が作ったイラスト付カードが下げられていて、役目を終えた人は、それを「終わった!」に裏返すようになっている。
(more…)手裏剣
小学校生活にも慣れてきた様子の長女。
帰宅するなり机に向かい、そそくさと宿題を済ませた後は、時間割やプリントの整理等事務処理をこなし、絵を描いたりして遊んでいる。
「そうだ、手裏剣ゲームでもしよう。 ひとりでやっても面白くないけど・・・」という娘のつぶやきが聞こえたので机に行ってみると、手裏剣の山があった。 これほど大量の手裏剣を、一体いつこしらえたのかと聞いたら、保育園の頃に折りためたものだという。 手製の布袋に入れ、大切に保管しておいたそうだ。
「とにかくすごい量だね」と驚くと、
「写真撮ってよ写真!」と頼まれたので、言われるがままに撮影したのがこの一枚。
(more…)コメオ
次男と釣りに行った。
ノドが乾いたというので、自動販売機に連れていった。 お金を入れて、好きな飲み物を選ばせた。 彼はお茶のボタンを押した。 落ちてきたボトルを拾い上げ、また釣りの続きに戻ろうとしたのだが、変なことに気がついた。 買ったあともまだ、自販機のボタンが光ったままだったのだ。 「あれ?」
もう一度ボタンを押してみたら「ガタン」とまた落ちてきた。 「この自販機、ぶっ壊れているのでは?」 昔、手を突っ込めば際限なくジュースが落ちてくる自販機が、山の中腹にあった。 この自販機も、もしやその類では・・・。
と懐かしみつつ落ちてきたジュースを手にとると、それは「当たり」の景品だった。
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