カメノテ
「あそこのお婆さんは近頃ボケてきた」
そんな話を昨年あたりから耳にしていた。 先日お婆さんと道で会い、「オイくん、煮干いるね?」と聞かれたので「喜んで!」と答えたら、家に入ったっきり出てこなくなった。
心配になり家の中を覗いてみると、お婆さんは何事もなかったかのように座布団に腰をおろしお茶をススッていた。 煮干の件は、忘れているのだろう。
この人には随分世話になった。 季節の野菜をもらったり、栽培法を教えてもらったり、田舎料理を伝授してもらったり、子供たちをかわいがってくれたり・・・。
近々デイサービスセンターに入所することが決まっているそうで、そうなると、会うことも難しくなりそうだ。
写真を整理していたら、5年前、お婆さんからもらった「亀の手」の画像が見つかった。 「亀の手」とは、文字通り亀の手のことではない。 亀の手の形によく似た、貝のことである。 海へゆくと、岩場の間にギッシリとくっついているのを見たことがある方は多いだろう。 あれだ。
ある日、お婆さんから塩水で茹でられた亀の手をドッサリと頂いたときは辟易した。 「これって喰えるんですか?」とつい口から出てしまったほどだ。
だが、ポキッと二つに折って、中のツルンとしたピンク色の身を食べた瞬間、あまりの旨さに絶句した。 外見からは想像もつかない深くコクのある旨味。 これはアゲマキの味と似ている。 いやそれよりも濃厚だ。 そのままつまむのもよいが、これを煮出してスープを抽出したら、さぞ旨かろうなあ。
殻の中にたまっている汁ごとすすって食べるのが正しい食べ方だと教わった。
ザル一杯の亀の手を友人宅へ持ち込み、「これは小型の海亀の手を集めて煮たもので、大変貴重なものだ」とウソの説明をして食べさせたところ、旨い旨いと喜び、次の日「海亀の手を食べた」と彼は周囲に話してまわった。 しばらくして「恥かいた!」と電話があったことをお婆さんに話したら、まるで自分もその場に居合わせたかのように喜んでいた。
近頃は身内の顔も忘れるようになったらしい。 そのうちオイの事も忘れてしまうのだろうけど、オイはあなたから受けた恩を一生忘れない。 ありがとう!
亀の手!
磯の風味がたまりませんね~。
味噌汁が一番ですが、食べ切れない場合は酢物になってもらいます。♪
味噌汁もイケますよねー、酢のものはやったことがありませんでした。 是非試してみます!
カメノテ! 旨いですよね?、僕は母親の実家、種子島で巨大なカメノテを最初に食べて、その旨さに感動したのを覚えています。
うちの近所にはあまり大きいのがいないんですけど、たまに食べますよ?。
かめのて!!憧れの食材なんですよ。ネットはじめてから、知った食材で、昨年の今頃、都内で食べられると言う情報を元に、訪ねてはフラレています。いいなあ。一度で良いから、食べてみたい!!
カメノテ!!あれって食べられるんですか?!っていうか旨いんですかっ?!?!
。。。知らなかった。いつも磯でカニを釣る時のエサにしてました。笠貝に比べて食いつきが段違いに良かったのはそのせいだったのか!
おばぁさん、たとえ「今の」オイさんの顔を認識出来なくなってしまったとしても、亀の手を大量にお裾分けしたり、田舎料理を教えた時のオイさんの事は憶えていますよ。そう思います。
きみすけさんへ:巨大カメノテ! 見てみたいですし、是非食べてみたいです。 まさに亀の手に見えるんでしょうね。
noreizokoさんへ:都内で食べれるところ、是非知りたいです。 長崎市内でもあまり出回っていないんですよ。
カメノテ旨いですよかなり。 ほうカニのエサにもなるものなんですね、あていうか、そのカニ釣り以前やったことがあるような気がします。 小型のカニで、茹でるとやけに旨かった記憶があります。 足に身が沢山つまっていて。
あ、多分そのカニ釣りです。「釣り」といっても用意するのは釣り針と釣り糸だけ。亀の手を釣り針に引っ掛ける→カニがいそうな岩陰に下ろす→カニが挟んだらカニと綱引き→カニがエサを離す前に引っ張り揚げたら勝ち、という単純なもんでしたよ。小型すぎるのは気分でリリースしたり味噌汁の出汁にしてました。
なつかしいなぁ?。また夏の磯に行きたくなってきました!