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2006/08/31

喜界島

kikai

「あのねえ、きかいじまっていう焼酎があるの。 美味しいから今度飲んでみてね。」 と、妙なスナックのママに教えられたのは、一体何年前になるのだろうか。 それすら 記憶は定かではないが、定期的に、ヤル、焼酎。

「キカイジマ?」と音だけ聞いても、キカイジマとはなんぞ? という疑問しかわかない。 「機械島?」なんていうイメージをもったりもして、焼酎の名前としては、なんだか非常に マズそうなイメージだね、なんて思ったこともある。  そして意外と近くのディスカウントストアで普通に売られていたので、一升瓶を買う。

「キカイジマって喜界島って書くんだね。」とひとり納得し、飲むとウマイ。

このトロリとした焼酎は、黒糖焼酎である。 そういやなんだか甘みを感じる。

「焼酎の直売」なんていうお祭りというか、祭典があり、いってみる。 すると、真っ黒なTシャツ の背中側に、喜界島と黄色の文字で書かれた、イカスTシャツを着たおばちゃんが、ウロチョロしている。  後ろをついていって見る。 売り場に到着。 そのおばちゃんは、喜界島を作っている会社の人だったのだ。

喜界島の試飲をもらう。 いつも飲んでいるので、そりゃウマイ。 「おばちゃん、コレおいしいね。  いつも飲みよるバイ。」と言うと、 「あーっ、ありがとね。」と、人工的でない、純天然の笑顔で、答えてくれた。 近くのディスカウントストアで 購入しているぐらいなので、別にこのデパートのお祭りで、2割り増しぐらいの値段で、買う必要もないのだけれど、 おばちゃんの人柄にマケタ。 一升瓶2本ちょうだいよ。

なんだか少し、オイとおばちゃんの間の距離が縮まり、その他、自社製品を試飲させてくれる。 そして、 愚痴る。 「いやー島からここまで飛行機で来るのも、乗り継ぎしないといけないし、大変なのよ。」 「ホントはね、こうまでして売りたくもないんだけど、まー付き合いというか、売り場に置いてもらっている関係上、 しょうがないんよ。」 なんて語る。 「ほー。 ホー。」と聞く。

でもね、おばちゃん。 オイはおばちゃんとこうして話して、喜界島という焼酎が、なおさら好きになりました。 喜界島を 飲むたびに、あなたの顔が思い浮かびます。 顔の見えない商売が増えてきているこの世の中ですが、大変でしょうが、 売り歩いてみてください。 あなたのファンは、きっと、増えていくハズですから。 長崎から、応援しております。

喜界島酒造株式会社

2006/08/30 酒肴

「強2」ウインナー

2uin

ウインナーは、ウマイ。

母ちゃんが、弁当のおかずに恒久的に入れていたから、一時期食傷したのではあるが、こんなに便利な食べ物というのもナカナカ無い。

飲んだ! つまみがない。 あ、冷蔵庫のなかにウインナーの袋発見。 何故かシルベスタ・スタローンを思い出しながら、 その2袋が一組になった少々開けにくい袋を切羽詰って歯で食い破り、茹でる。 蒸す。 炒める。 揚げる。  どのように調理してもウマイ。 がしかし、

オイがオススメする調理法というか食べ方は、強2ウインナーである。

「強2?」なんて疑問符が浮かぶことは当然なので、強2ウインナーの説明をさせていただきたいと、存ずる。  まずはそのウインナーの封を破り、ウインナーを取り出す。 そして、適当な器に移し、ご自宅の電子レンジでチンする のである。 それだけ。 でも、その電子レンジの出力を、「強めに設定」しなければならない。 強く、チン、するのである。

我が家のボロ電子レンジには、オートでチンする他、「強め」「弱め」の設定ができるようになっている。 そしてその強弱も、 2段階に調節できるようになっている。 その強弱の、「強2」で、チンするのである。

ブーン、ブーン、パチパチッなんていう音がする中、小窓から、中のウインナーの様子を見守る。 入れる前の、1.3倍ぐらいに、 ウインナーがふくれている。 ときたま、「ボシュ、ボシュー。」なんていう、ウインナーの皮が若干破裂する音がしたらしめたもんだ。

電子レンジのドアをオープンすると、入れる前とは打って変わって、はちきれんばかりの、いや、多少はちきれたムチムチの 汗ばむウインナー現れるハズである。 いやハズである。 それを、つかみ、マスタードとか、塩とか胡椒とか、レモンの絞り汁とかで むしゃぶりつくと、ウマイのなんの。 色んな酒の、つまみになるわけである。

さらに「強2×2ウインナー」というのもある。 電子レンジの設定を、強めに強めにチンするように指令し、 一度チンし終わっても、さらに同じ条件でチンするのである。 要は、チンを2回繰り返すのである。  そうすると、強2だけだとムチムチ豊満ボディーだったウインナーが、 干しすぎたスルメのように、皺シワのお婆ちゃん風になり、こう書くとなんだかかじりつきたくないが、いやはや なんの、皮がウマイ、パリパリのウインナーと、変身するのである。

ちなみにページトップ画像は、強2ウインナー。  ご家庭の電子レンジの機能と相談して、強めにチンしてお試しくださいまし。

2006/08/29 酒肴

森からし蓮根

karasire

ヨメはオイの嫁である。 さらに子供らにとってはママだ。

そんなヨメは、ママさんバレーチームで活動中であるのだが、チームメイトに、「どのような団体に所属しても必ずひとりはいるイヤなヤツ」というのが やはり存在するらしい。

そのイヤミなおばちゃんは、試合の際などには自作弁当を持参し、 中にはかならずカラシレンコンが入れられてあるという大のからし蓮根好き。  ヨメからこの話を聞かされていて、ようやくそのイヤミのお弁当を見ることができた。 からし蓮根が4枚は入れられていた。

からし蓮根はたまに酒の肴としてつまむけど、ご飯にも合うんだね。 へぇー。

そのイヤミおばちゃん、リーダーでもないのにリーダーのように振る舞い 、いちいち何にでも首をつっこんでくるのだそうな。 バレーのことだけではなく、駐車場に車をとめる順番まで指定してくるという仕切りぶり。 監督よりも監督然とした振る舞いに当の監督さんはマイッテいるのだとか。

そんなイヤミおばちゃんは昨日、チラリチラリと、練習中に、どこかで見たことのある「青いハンカチ」を使い、汗を拭っていたのだそうな。 半分ムカツキ半分カワイイおばちゃんだな、とオイは思ったがヨメは超ムカツクと言ってた。

krf

いやいやそうそう、からし蓮根の話。 このからし蓮根は、イヤミおばちゃんとはなんの関係もないもの。 そう、熊本の名店、森からし蓮根のものである。 衣がはずれるのを注意しつつ、薄めに切って、ちょっぴりかじりながら、飲む。 もしも辛いものがニガテな方は、マヨネーズをつけながら食べるとよろし。

森からし蓮根公式

2006/08/28 菓子

「ニューロンの回廊」を見ながらスイーツ

nrswe

晩酌しながらBS見てたら、モジャモジャ頭のおじさんが現れた。 この人は茂木健一郎という脳科学者なのだそうだ。 公式サイト → クオリア・マニフェスト

そんな茂木さんがナビゲートする番組が、 「ニューロンの回廊」 。 各界著名人の脳力を脳科学者が解析していくというなんだか脳脳した番組。 それに辻口博啓氏が出演していた。

辻口博啓氏というのは、パティシエ界のワールドカップであるといわれるクープ・ド・モンドをはじめ、世界大会で3度優勝し、「パティシエ世界一」と呼ばれる人物で、自由が丘「モンサンクレール」のオーナーシェフである。 詳しい経歴などは公式サイトに詳しく載っているのでいちいち説明しないけど、なんでも和菓子屋さんの息子さんなのだそうな。 そしてある日友人のパーティーに招待されたときに食べたショートケーキの美味しさに心奪われ、そこからパティシエを目指すことになったのだと、番組中で語る。

建築物の壁に、ワラを混ぜ込むと強度が増すとかなんとかで、そこから着想してそれをケーキに応用したのだとか、ケーキの切り口、すなわち断面や、そこから流れおちるソースの見え方にもこだわっているというお話をフムフムそうなんだと聞きながら、「あ、そういや冷蔵庫に甘いもの入っていたな。」と思い出し、酒の 肴にしていたカツオの刺身をほうりだし、冷蔵庫を開ける。

ヨメがほぼ毎日買い置きしているという長崎のケーキ屋さんARITAの箱がデンとあり、数個のケーキのうちから、食べたそうなものをひとつ選んでテーブルに戻る。 そして辻口氏の話を聞きながらほうばるアリタのケーキは、いつもよりも2割増に美味しく感じられたのである。

このように影響されやすいオイだけど、アリタのケーキは影響されなくともウマイというのは言うまでもない。

九州ケーキコム>アリタのページ

2006/08/27 おかず

エセ角煮まんじゅう

kakunies

角煮まんじゅうとは、長崎卓袱の中でもスターであり、近頃全国的にも長崎名物として知られるようになったオイシイ食べ物ではあるけれども、そんな角煮まんじゅうも、作り方によっては、マズイと言い切る。

お盆に田舎に帰省したときのこと。 どんなに食べ物が豊富にあろうとも、とりあえず寿司を頼んでしまうのは、ばーちゃんの習性として黙認するが、今回我々を出迎えようとばーちゃんが88歳にして新たに挑戦したおもてなしに、自家製角煮まんじゅうがあった。

そういえば去年、檀流の東坡肉の作り方を伝授した覚えがある。 それをこの夏、マスターしたのだばーちゃんは。

おそるおそる、少しハニカミながら、角煮まんじゅうを3個お皿にのせて運んできたばーちゃんは、オイらが口にするまでその場を離れない。 オイと、息子は各一個づつ角煮まんじゅうを手にとり、ガブリとやる。

「くーっ、マズい。」

そもそも角煮の作り方がてんでいけない。 ばーちゃん、忘れたのか? トンポーロを作るんだよ。 檀さん直伝なんですよ。 そこんとこしっかりやってくれないと困るんですよ。 だってこれは角煮のまんじゅうですよ角煮の。 角煮が、肝腎、なんですよ。 と、申しますか、この煮ブタは味がしませぬ。 しいて言えば、水の味がしまする候。

さらにひえー、なんだこのまんじゅう生地。 フワフワでなくスカスカ。 これはまんじゅうていうか、麩(フ)ですな。

いやしかしばーちゃんを目の前にして、そんな酷評できっこない。 顔色ひとつ変えてもかわいそうだ。 ここはひとつ、耐えるんだ。 オイは大人である。  「うん、ばーちゃん、よくこんなの作れたね。 いい線いってるよ。 おかわりないの?」こんなもんで上出来であろう。 そしてやんわり、「も少し角煮を煮たら、も少し味が染みて、もっと美味くなるかもね。」と伝えた。

ばあちゃんは喜んで去る。 その間、実は息子が「マズー」なんて言わないか、ドキドキしていた。 前に息子は某ちゃんぽんチェーンのお店のちゃんぽんを食べて、「うえ、まずい、まずー。」をはっきり店員が聞き取れる声で連呼したことのある、まったく空気が読めない男である。 要注意人物であるからだ。 しかし、そんな息子もだまっておりこうに完食していた。

あとで聞いた話、そのマズい角煮自体はばーちゃんが作ったのだが、まんじゅう生地は、どこかの直売所から、購入してきたのだそうな。 安くて、オマケもしてもらったのだそうな。 それを聞いたオイは、マズさの責任を、まんじゅう生地のせいにすることにした。 だってまんじゅう生地もマズいことには変わりないんだもの。

「ばーちゃん、さっきの角煮まんじゅうね、角煮はともかくまんじゅう生地がね、もうひとつだったね。 何? あのまんじゅう生地は、ばーちゃんが作ったものではないの? そーなのー。 いやどーりであまり美味しくないまんじゅう生地だと思ったよまったく。 まんじゅう生地さえ上等のものを使ったら、また違った味になったろうね、ばーちゃん。」

まんじゅう生地を作った方、悪く言ってごめんなさい。 でももう少しちゃんと作ってください。 そしたらまたばーちゃんに買いにいかせるから。

2006/08/26

ラーメン二郎に触発されて

zirotyan

ラーメン二郎という店をご存知だろうか。

ご存知ってオメェ誰でも知ってるよそんなもんでやんでいバロ畜生・・・なんて口角泡を飛ばしてコアでマニアな通なファンにしかられそうな気がしないでもないが、一応知らない方のために少し説明をすると、説明をしようと思ったが、こちらのサイトに詳しくまとめられているので、リンクを張らせて頂くことにする。

ラーメン二郎PC店

とある人物の「とにかく一度は食べてみるべきですハイ」という証言をもとに、出向いてみると、いまどきのおしゃれなラーメン屋の外観とは180℃異なる、えーっと(言葉を選ぶ)質素な店構えのコジンマリとしたお店があった。 昼飯どきで、若干行列ができている。 食券を購入し、席が空くのを渇望しつつ、様子を眺める。

店員は3名で、無駄口叩かず黙々と、まるで悟りの境地に達したかのような無表情で、業務にあたっている。 時々トンコツスープの入った寸胴を角材で底からかき混ぜる。 店の奥には粉袋が山積みされていて、せっせと手打ちで麺を作っているらしい。 一方お客は黙々と、淡々と、ラーメンを食べている様子。 我々よりも一足早いお客がなにやら店員と短い会話をする。 店員:「ボソボソ・・」お客:「全部」

ハハーん、「全部」ね。 よしよし。 オイもボソボソと何か言われたときには「全部」と答えることに決定する。 そしてさらに待つ。 席が空く。 席につく。 となりの客を観察する。 なんだかハシを口に運ぶスピードが遅い。 どっちかっていうと、もうあまり食べたくないような気配がひしひしと伝わってくる。 これは、おいしいラーメン屋ではなかなか見ることができない箸使いだ。 味が合わなかったのであろうか。

オイのもとにも店員が現れ、「トッピングどうしますか?」と、聞く。 ボソボソはトッピングの件についての会話だったのである。 カウンターに張られている紙によると、ニンニク、野菜、脂、醤油、それぞれの分量の多い少ないを指定できるのだとか。 なるほどね。 全部ってこういうことだったのか。 そりゃーもちろん「全部」

ボソボソからしばらくして、ラーメンが運ばれてきた。 らーめん。 らーめんかこれ? どんぶりに山盛りされたもやしとキャベツ。 その下にのぞく極太の手打ち麺。 これは食いごたえがありそうですな。 どりどり。 「ズ、ズ、ズ。」とスープをススル。 うーん豚骨醤油とは聞いてはいたが、豚骨醤油というよりも、なんだか、長崎にある某ちゃんぽん屋のスープに似ているな、というファーストインプレッション。 野菜は山盛りと書いたが、山盛りどころの騒ぎではない。 中華料理屋の野菜炒め単品よりも、きっと分量は多いはずだ。 麺があらわになるまでには、相当ムシャムシャやらないとイカン。

麺。 見るからに太く、手打ちのコシがあり、ラーメンというかなんというか、ちゃんぽん麺よりも太い。 そしてその分量。 いつまで食っても、麺がなくならない。 丼の底に箸がつかないかという恐るべしボリューム。 チャーシューと呼ぶには厚すぎる豚肉の塊。 これ、完食できるのであろうかという不安が一瞬頭をよぎる。 そして、となりのダルそうに食べていたお客は、おそらくこのボリュームに参っていたのだということを、悟った。 オイはというと、間をあけると満腹中枢がフル稼働しそうなので、とにかく、急いで食べまくる。 しかしいっこうにそのラーメンは減らない。 チャーシューラーメン大盛りさらにビールまで注文してしまった自分を恨む。

というわけで、ラーメン二郎のラーメンの味は云々というその前に、とにかく超分量が多いいや多すぎるというのが完食した感想で、食べ盛り育ち盛りの方々には大変心強いお店であろうと思われる。 安くもあるし。 いやでもきっと、よく味わえば、ラーメン自体もおいしいハズである。 だってマズいものをそんなに大量に食えるはずもない。

そんな二郎にインスパイアされて作ってみたのが、ラーメン二郎風ちゃんぽん。 野菜はキャベツともやしのみのテンコ盛り。 チャンポン麺も通常の2倍。 スープは鶏がら、豚骨にいつもよりも多めに煮干だしアゴダシをプラスしたもの。 これに七味をかけて食べる。 いざ食卓へ、テンコ盛りのちゃんぽんを運ぶ。 それを目にしたヨメのこめかみに、青筋が浮かぶのが見えた。

2006/08/25 野菜

不ぞろいなオクラたち

okura

オイん家のとなりのとなりのとなり、空き地、またとなりには、「となりのミヨん婆」なるバアちゃんが住んでいる。 いや、となりのミヨん婆とは、オイ家が勝手にそうよんでいる名前であってくわしく厳密にいうと・・・その話はまた今度にして、オクラ。

朝起きて、玄関を開けると、脇にザル盛りのオクラが置いてあった。 また、となりのミヨん婆が配達してくれたのであろう。 ありがとね。 ミヨん婆は、いつもこうやって、早朝、だまって、自分の畑でとれた作物を置いといてくれる。 どれもゴツゴツして不恰好だが、ウマイ。 今回のオクラもまたしかり。

日も暮れだし、夕涼みをしているミヨん婆に、今朝もらった野菜のお礼と、食べた感想を伝えるのが習慣ではあるが、たまにはそのもらった野菜を使って調理し、もっていってあげる。 今回は、オクラのナムル風味。

okuran

オクラのおろし和え というテもあったが、ナムル仕立てにするほうが、カンタンでもあり、ノンベエのミヨん婆の酒の肴にもなるかなというささやかな気遣いでありやした。

2006/08/24

居酒屋スナック

看板には堂々と居酒屋を謳っているくせに、いざ入店してみると、そこは少しさびれたスナックだった。

塗料のはげまくったカウンターに、若干湿り気を感じさせるイス。 8坪ほどの店内には、この店には不釣合いなほど気高いママがひとり。 おそらく若いときはそーとー美人だったはず。

一応居酒屋なので、おしながきがあるが、どれも料理というかスナックで供される程度のものばかり。「生と枝豆ください」と注文すると、なんだか迷惑そうである。 突然カランカラン、と、ドアが開く。 「あら、いらっしゃい。」と、ママ。 オイが入店したときとは手のひらを返すように一変したやさしいもてなしにて、お客を迎え入れる。

そのお客っていうのがまた、イイ味だしてんの。 風貌は昭和風。 ドデカイサングラスをかけている。 髪は長髪げ、ヒゲわっさりなんだけど、紳士風といったヨクワカランかんじ。 この人が、オイのとなりに座る。

なんだかとっつきにくそうな人に見えたけど、話をしてみると微妙に面白く、なんでも映画のプロデューサーなんだとかいって、オイにチラシを見せてくれて、小一時間、語りに語られる。 生命の、神秘を説かれる。 一呼吸おくごとに、焼酎をトクトクトクと、注いであげると、それを美味しそうに飲みながら、口も滑らかになっていく。

カランカランと、ドアが鳴り、またお客が入ってきた。 今度は3人。 やはりママは、やさしく迎え入れる。 皆常連さんなのだ。 ひとりはギターケースをかつぎ、もうひとりはデブっちょのおばさん。 そしてひときわ異彩を放つもうひとりは、見た目はまんま、内田裕也。 白髪のストレートなロンゲが、綺麗である。

ともかくこのお店は、この濃い常連さんたちの隠れ家であり、わりと一見さんはお断りといったようなお店なのである。 お客さんの年齢層は高く、オイは浮いちゃっている。 でもせっかくだし、楽しまなきゃ損でしょ。 と、仲間に入れてもらい、楽しく飲んだわけである。

三島由紀夫の話をさんざん聞かされているところで、「カランカラン」と、ドアが開く。 そこには、60過ぎ?ぐらいの小さなおじさんがいた。 相当年季のはいったギターをかかえている。 常連さんたちは興奮する。 このおじさんは、「流し」なのである。

3人連れのお客のうちの、デブのおばちゃんは、シャンソン歌手なのだとか。 そのおばちゃんが歌ったのをきっかけに、ママが、「東京キッド」を歌う。 流しとの息もぴったりで、もう、すごく、上手い。 その次はデカサンのおじさんが、「ぼくらはみんな生きている」を熱唱。 そしてそれにあわせて内田裕也風が踊る。 彼はパリで活躍する舞踏家なのだとか。 そして、素晴らしいショーをタダで楽しんでいたオイは、「なにやってんだ!オマエも歌えよっ!」と怒鳴られ、半ば強引に、石原裕次郎をズラッと歌わせられたのである。

以上新宿の、とあるお店でのお話。

2006/08/23 雑記

田舎へ | 見つめる赤いトラクター

trkt

というわけでヨメと娘を家に残し、息子と共に田舎へお泊りにいってきた。 交通機関を駆使しても、なんだか夏休み然としないので、できるかぎり歩いてみることにする。

普段は車で一瞬通り過ぎるだけのばーちゃん家までの道のりも、こうして歩いてみると、なかなか味なもんだね、息子よ。 先は長い。 時間は、ある。 のんびり歩こうよ。

いつ来ても、田舎なんだな、ここわ。 ぼくぁー、なんだか、うれしいんだな。 なんちゅうかこう、ほっとするんだな、ぼくわ。 なんて、山下清然として歩いていると、目の前に、ふぁー赤ーいトラクタぁーが、現れた。

じーっとこちらを見つめているようなきがする。 物悲しそうな雰囲気もあるが、どうもこちらを小ばかにしているような顔つきに見えないでもない。 ずいぶんくたびれているようではあるが、もう引退されているのか、まだまだ現役なのかもよくわからん。 フと、小さい頃に、無断でばあちゃん家のトラクターに乗り込んで、暴走させて、危うく川へ転落しそうになったことを思い出して、一瞬ヒヤリとして、また歩きだした。

木造建築

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実に昭和を感じさせる小店を見つけ、四角いビニール袋に入ったカキ氷をひとつ買い、息子と食べながら歩く。 この辺の家は、木造が多いな。 一体いつ頃建てられたものなんだろ。 手すりらへんとか、好き。 この家には土間があり、そこで子供達が遊んでいた。 身なりを見ると、おそらくこの辺の子供ではないことは確かで、お盆で帰省してはしゃいでいるといったところなんだろうね。

田んぼ

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広大な田んぼのちょうど中央に小道がはしっており、カエルを追いかけながら通り過ぎていく。 四方が緑に囲まれていて気持ちよかね息子よ。

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「ブーン」と、左っかわからデカい音がするので、近づいてみると、そこにはなんと、ラジコンヘリがっ。 遠目から見ると中田英寿風の顔立ちのおじさんが、中田英寿然としたそっけない態度で、まるでフィールド上の中田英寿を髣髴とさせるようにヘリを機敏に操縦している。 ヘリから白い粉が出ているので、おそらく農薬を散布しているものだと思われる。 中田氏の顔は無表情ではあるが、きっと、心では「ウヒャヒャ」と喜びながら、作業しているに違いない。 「ちょっとだけ操縦させてくんない?」 と、心で訴えながら親子二人、しばらくヘリを見守る。

クラシックを聞く牛ら

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こんな田舎のど真ん中で、遠くからクラシック音楽がかすかに聞こえてくる。 誰だ? 昼間っから優雅にキメこんでいるヤツは。 なんと、牛だった。 牛舎(牛舎というか、民家カスタム)からかなり大きなボリュームでなんていう曲かは知らんが昔音楽の授業で聞いたことがあるであろう、うっすらと聞き覚えのある曲が流れている。 これは田舎だからできる音量で、都会だと、いや都会でなくとも周辺に民家があると、いくらクラシックだからといっても、うるさくて、苦情がもちこまれること必至であろう。

ていうか、牛さんらもホントは少しウルサイと思っているのかもしれない。 犬の嗅覚は人間の300倍だとか聞いたことがあるが、牛の聴覚は、人間と比べるとどうなんだろうか? 少なめに見積もって、牛の聴覚が、人間の2倍だったと仮定しよう。 それでも一日中この倍の音量でクラシックを聞かされたら、発狂すること必至であろう。 いや、少し遠慮して、牛の聴覚が人間のそれの1/2だったとしよう。 いやでもそれでもうるさいよ、このクラシック。

乳牛に音楽を聞かせながら育てると、乳の出がよくなるのだとか、その他なんかにも音楽を聞かせると美味しくできあがるだとか聞いたことがあるが、この牛さんの場合、肉牛なのだろうか? 何故、音楽を聞かせると、よい効果が得られるのだろうか? もしかして、牛がリラックスするからであろうかー? それならば、やはりこの大音量の、クラシック音楽では、リラックスできないと、オイは考え、息子にその意見を聞いてもらい、少し気が済んだ。

ていうかそもそもいくら音楽で心地よくさせたからといって、居住している建物がボロくて、なんだかジメジメしていて、非常に狭くて・・・牛さんのことを思ったら、もうこれ以上書けない。

お盆灯篭

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お盆には、先祖を出迎えるための明かりとして、提灯を玄関先に吊るすのであるが、毎年数件は、その提灯の火が原因で、火事が発生している。 せっかくご先祖様を思ってともした提灯が、まさか火事の元になってしまうとは、悔やんでも悔やみきれない。 お盆時期には、かならず新聞で見かける記事。

そのお盆の提灯だが、普通家紋等が入ったベーシックなものが使われるが、地方によっては、上の写真のような、ド派手で豪華なものが使われる。 きらびやかで、さぞ、ご先祖も、お喜びのことでしょうな。

棚田

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高台から棚田が見える。 よくもまあこのように自然の地形をいかして、整然と田んぼを作れるものだと、見入る。 しばらく進むと、棚田の真中に大岩がポツンとあるのを見つける。

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あとで聞いた話、この岩は、昔地震があったときに、上のほうから滑り落ちてきたのだとか。 近くに民家もあることだし直撃しなくてよかったよね。

ばあちゃんの煮つけ

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そしてようやく息子と2人、歩きに歩いてばーちゃん家にたどり着いたわけである。 今晩は花火や、カブトムシ取りに出かける予定ではあるが、とりあえず腹ごしらえをせねばならぬ。

実をいうと、今回の3時間にわたる道のりをずっと、カレーをかついでやってきたのである。 デカい登山用のリュックを背負って。 カレーは漏れないように蓋のキッチリと閉まる圧力鍋に入れ、がんばって歩いた。 圧力鍋の蒸気排出口から少しカレーが漏れることを考慮して、ビニール袋でその辺を密封しておいた。 このカレーを、ばーちゃんに食わせようという魂胆だ。 小麦粉を炒める際には息子も手伝ったので、オイと息子の合作ということにもなる。

ばあちゃんはというと、ばあちゃん流のおもてなしとして、いつものようにお寿司を注文してくれていて、ばーちゃん製ありあわせの煮付けを作っておいてくれたのである。 なーに昆布がデカくったってかまいやしない。 ウマけりゃいいのである。

おわり

2006/08/12 雑記

え残暑?

katori

ニュースで「残暑厳しい中云々」なんて言ってる。 え、もう残暑なの? 只今夏まっさかりではないのかい? えーっ、夏が終わっちまう。

「た、大変。 もう残暑なんだって。 残っている暑さなんだって。」 なんてヨメに驚きを伝えると、ヨメいわく、こよみの上ではもう秋なんだとか。 サミシーし。

このままでは夏らしい思い出のないまま、夏が終了してしまう。 焦るオイは、何を考えたか、蚊もいやしないのに、とりあえず蚊取り線香をさがしだしてきて、焚いてみる。 うーん、ニッポンの夏の香りがするね。 じつに夏っぽい。

しかり蚊取り線香の香りをかいだだけで、夏を満喫した気分になるのも物悲しく、「お盆休みはどちらまで?」なんて人に尋ねられたりでもして、「いやどこっていうか、家で蚊取り線香をかずんでいました。」なんて答えたら、不気味な変人あつかいである。 さて。 行動せねばならぬ。

花火を買わねばならぬ。 夏。 花火でしょ。 爆竹を息子に経験させてやらねばならぬ。 長崎人の、登竜門でしょうな。 じゃーとりあえず花火屋に寄ろう 。 そうだ、田舎を満喫しにいこう。 ばーちゃんにでも泊りがけで会いに行くとしよう。 しかも車を使ってはなんだか雰囲気でないので、JRでいくとしようか。リュックを背に、水筒もって、虫かご持って、 息子と、男二人旅でも決め込もうではないか。 というプランが今たったので、早速でかけるとするか。

あ、浮き袋ものっていかねば。 っていうか欲張りすぎだぜオイ。

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