市場
親しらず
上の奥歯のそのまた奥にある歯茎に違和感を感じ始めて半月ばかり、まさかこれが親しらずが生えてくる予兆だったとは。
その後少しずつ親しらずは伸びてきて、下の歯茎に少し干渉するようになった。 気になりだしたらとことん気になるものであり、段々イリイリしてきたのでいっそ抜いてしまおうかと考えた。
が、親しらずを抜くのは痛く、大変だというどこからか入ってきた情報に頭は占領されており、抜こうか抜くまいか悩み始めてひと月ばかり。 その間も、親しらずの存在が気になり精神衛生上よろしくない。 でも抜くのは恐ろしい。
妙案が思いついた。
(more…)さんりんぼう
黄金週間でドッサリ溜まったアルコールを抜ききるために今朝も走った。
走り始めて間もなく、右足が「カポカポ」するので靴底を見ると、ソールがアカンベーをしたように半分めくれていた。 このまま30分走り続けるとなれば事だ。
草っぱらにさしかかったところで、「クマバチ」が目の前をチラチラ飛ぶようになった。 「すっかり春だ」という意見もあるが、走っている者にしてはたまったもんじゃない。 行く手を遮るかのよう、ホバリングしながら道の真ん中で待ち構えられているのが迷惑。
手前まで来るとあざ笑うかのよう「サッ」とどこかへ飛んでいくところがまた憎たらしい。 そしてまた、同じハチなのか別かは知らないが、眼前をチラチラ飛ぶ・・・。
iPod nano 急逝
ベタッ・・・ベタッという小気味悪い音をたてながら走っていたところ、iPod nanoの音が消えた。 充電したし、何より買ったばかりなのでバッテリー切れなどあり得ないのにと液晶に目をやれば、何やら怪しい斜線が。 汗が入りこんだっぽい。 ちぎるようにしてイヤホンを耳からはずし、ポケットにねじ込んだ。
(more…)即筋肉痛
週五日、欠かさず走るようになってから五年程経つ。
太りやすいので体重管理のためというのが発端だったが、酒が旨くなったり、翌朝体内の酒を一気に抜く手段として極めて有効であることから、今では歯磨きと同じような習慣となり、走らないとなんだか気持ちが悪い。
この間しばらく長崎を離れたので、20日ほど走れないでいた。
久しぶりに走ってみると体の疲れが全部抜け切っており、足取りの軽さといえばもう、ナイキにスプリングでも仕込んだのかという軽快さで、フルマラソンでも楽勝で走破できると思えるほどだった。
一歩進むごとに、体が跳ねて飛んで行ってしまいそうなぐらい軽い。 普段と比べてタイムも段違いに良い。 ところが残りわずかというところで、両ふくらはぎの筋肉に鈍痛が走った。 走っていて、こんなになったのは初めてだ。
(more…)撮れるものならば
最近新幹線での移動に凝っている。
本を読みながら、時々車窓を流れる景色を眺めながら「ああもうこんな所まで来たんだ」と数百キロの移動を身近に感じられる所がよい。
とりわけ楽しみなのが富士山を拝むことであり、もうそろそろかと思えば席を立ち、通路の窓に顔をくっつけて、姿が完全に見えなくなるまで凝視する。
「裾が広がっている割には低い」なんて太宰さんは書いていたが、オイの眼は山頂付近をトリミングして見ており気にならない。 そびえる巨山にただ見とれるばかり。
(more…)熱
三年前新宿での出来事。
出張二日目の朝、目を覚ますと体が鉛のように重たく、頭がマグマのように熱い……昨夜の酒が残っているのではないこれは、風邪だ風邪。 スマフォに手を伸ばし、近隣の病院を検索した。
地図を見ながら這うようにしてたどり着いたのは、かなり古びた、こう言っては申し訳ないが廃屋みたいな個人医院だった。
もちろん普段ならば別の所を探すが今はもう、生きているのがやっとであるほどツライ。 それにしても都会のど真ん中にこんな場所が存在しているなんてエモい。
薄く所々濁った、面が均一ではなくデコボコしているガラスの嵌められた、かすれた医院名が残る木の扉を引いて靴を脱いで「受付」と書かれた札の掛っている小窓へと歩いた。
そこには誰も居なかった。
見回しても患者もおらず、シンと静まり返っている。
「あのー、スイマセン。 診てもらいたいんのですが」
と声を投げればヒョイと顔を出したのは、白髪の痩せたお爺さんだった。
(more…)出版その後
オーイ!本できたぞ
本日、初の著書『オーイ! つまみできたぞ』が刊行された。
ぷちぐるを起こして8年、ようやくの書籍化である。 記念としてせっかくなので、ぷちぐるが本になるまでの過程を記す。
2012年8月、出版社編集部の方からメールが来る。 書籍化の提案であり、企画を読んで面白そうだったので快く了承。 出版までの大まかなスケジュールを知らせてもらう。
とはいっても、まだこの段階では書籍化は正式に決定されておらず、出版社内の企画会議を通されることになる。 しかも会議は一度だけでなく、二度三度と繰り返し行われる。
10月、ようやく書籍化が決定、合わせて出版日も2月に決まる。 以後、11月、12月、年明けまでは怒涛の校正を行った。 正月もままならぬ状況でおちおち酔っぱらう暇もなかった。
そして今年の1月初旬、全てが終わり、ドッと疲れる。 という感じで、およそ半年に及ぶ本作りを終えた。
(more…)無題
先輩の娘さんが糖尿病になった。
一型糖尿病という種類らしく、この糖尿病は生活習慣等により発症するものではなく、 突発的におこるものだという。
先輩宅で飲む際は、娘さんも一緒になってドンチャン騒ぎをする。 彼女はまだ二十代前半であり、年末会った時は相当元気だった。 入院中とのことで、とにかく病院へ向かった。
病室のドアを開けようとすると、中からゲタゲタ笑い声が聞こえた。 彼女の声。 開くと、主治医と雑談をしているところだった。
「退院したら彼氏と映画を見に行きたいんだけど、 映画見てるとポップコーンを食べたくなんじゃん、 でそのポップコーンって、分類でいえばどこに入るの?」
食物を原材料やカロリーで分類する知識を会得中らしく、先生に次々質問を投げかけている。 日に四回、指先から血を取り血糖値を計り、腹にインスリンの注射を打つ。
「退院したら、お母さんと一緒に料理をはじめるの。 だって今まで作ってもらってばっかりだったからさ、勉強しなきゃ。 だからオイさんも遊びに来るときはさ、何かカロリー低めの料理にしてね今度から」
了解!食べたいものは何でもリクエストちょうだい、全部作って持ってくからさ・・・じゃダメなんだよなあ、一から勉強せねば。
暴れる水滴
朝起きて前掛けを装着し、朝食の準備に取り掛かり、目玉焼きを家族分焼きあげてから銘々の器に乗せ、即フライパンをタワシでこすり洗いしてから火にかけて水気を飛ばしてフックに引っ掛ける。
毎日当たり前の光景なのだが、今朝フライパンを火にかけていたところ、そこへ洗ったばかりの皿の水滴が偶然落ちて「ジュッ」と一瞬で蒸発する様を見た。
その光景がありきたりなようでいて新鮮で、今度はわざと水滴を落とした。 鍋肌に接した瞬間水滴は散々暴れながらだんだん小さくなっていき、消える。
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