無題
先輩の娘さんが糖尿病になった。
一型糖尿病という種類らしく、この糖尿病は生活習慣等により発症するものではなく、 突発的におこるものだという。
先輩宅で飲む際は、娘さんも一緒になってドンチャン騒ぎをする。 彼女はまだ二十代前半であり、年末会った時は相当元気だった。 入院中とのことで、とにかく病院へ向かった。
病室のドアを開けようとすると、中からゲタゲタ笑い声が聞こえた。 彼女の声。 開くと、主治医と雑談をしているところだった。
「退院したら彼氏と映画を見に行きたいんだけど、 映画見てるとポップコーンを食べたくなんじゃん、 でそのポップコーンって、分類でいえばどこに入るの?」
食物を原材料やカロリーで分類する知識を会得中らしく、先生に次々質問を投げかけている。 日に四回、指先から血を取り血糖値を計り、腹にインスリンの注射を打つ。
「退院したら、お母さんと一緒に料理をはじめるの。 だって今まで作ってもらってばっかりだったからさ、勉強しなきゃ。 だからオイさんも遊びに来るときはさ、何かカロリー低めの料理にしてね今度から」
了解!食べたいものは何でもリクエストちょうだい、全部作って持ってくからさ・・・じゃダメなんだよなあ、一から勉強せねば。