塩鮭
さんまの塩焼き、アジの開き、塩鮭の切り身・・・。 どれも朝の食卓を彩る華々しいスターたちだが、個人的な好みでいうと、塩鮭が一番嬉しい。 これに熱い味噌汁がつけばあとは特に必要ない。
焼きたての塩鮭が一切れあれば、たとえ朝でも、ご飯二杯は軽い。 否、鮭の皮だけでも一杯いけるハズだから計三杯か。 今後も飽きる気配がない。
塩鮭の調理法、実は焼くだけではないのをご存知か。
(more…)ご飯に埋もれているもの
日曜の朝に目を覚まし、居間へ行くと親父が新聞を読んでいる。 そして見向きもせずに、「炊飯器ば開けてみろ」と、オイに言う。
待ってましたの瞬間である。 炊飯器の中に何が入っているのかはもう知っている。
豚まんだ。
昨晩飲み歩いた親父がおみやげに買ってきた豚まんが、炊飯器の中で保温されているのだった。 蓋を開くと「モウ」と湯気が顔に当たり、むせる。 そして竹皮に包まれた豚まんが現れる。
お袋はこの行為を「飯に匂いが移るから」と、よく思っていなかったが、今思えばどうせ残り飯だしチャーハンにするのが関の山だろう。 問題ない行為だったように思える。
包みを開いて所々に飯粒のついた豚まんをつまむのがたまらなかった。 兄弟の誰よりも早く、炊飯器の中の豚まんをかじれたことが、妙に誇らしかった。 遠い遠い、子供の頃の記憶。
(more…)薄田 泣菫 『茶話』
薄田 泣菫の『茶話』を読み終えた。
茶話は大正末期から昭和にかけて、毎日新聞に掲載されていたコラムであり、当時の毎日新聞は、この茶話だけで売れていたと、開高 健が『知的な痴的な教養講座』に書いている。
今回読んだものは、昭和三年に創元社が出した『茶話抄』に収録された著者自選の154篇を再録したというもの。
丸谷才一は、薄田 泣菫について次のように語った。
泣菫は例のコラムニストのはしりなわけだが、 しかしこんな紹介の仕方をしたせいで、後世の猥雑なコラムと同一視されては気の毒だから、 一つ見本を出してみよう(「俳諧師の頓智」を引く)。
泣菫は、知的であることと暖かい肌合いとが一致しており、イメージの使い方がじつに巧妙だ、と評している。
その「イメージの使い方」について、解説の坪内祐三はこう書いている。
イメージと言えば、『茶話』を一読した読者は、泣菫が人間を動物にたとえる比喩表現に巧みなことに気づくだろう。 そしてその比喩が独特のユーモアをかもし出していることも。
読んでいて気になった表現を以下列記。
(more…)プチシイタケ
シイタケに塩、胡椒を振り、たっぷりのバターで炒めてつまむ。 噛んだ瞬間、傘のヒダからバターがにじみでてきてアチアツなりながら冷ったいビールを流し込む。 たぶんその気になれば、シイタケのバター焼きだけでビールを5リットルは飲めると思う。
シイタケのバター焼きは、自分で作ったほうが旨い。 炒める際立ちのぼる芳醇な香りは、調理場でしか味わうことができない。 その余韻に浸りつつ急いで食卓に乗せ、即かぶりつくのである。 ただ卓につき、できあがるのを待つだけならば、あの香りを楽しむことはできない。
(more…)もしやこれは・・・
このゴールデンウィーク、家族だけでゆっくりと過ごした。
旅先の砂浜で朝から夕方までずっとぼんやりしているだけだったり、あてもなくぷらっぷら散歩したりした。 親が心身ともにリラックスしていると、それが子供にも伝わるようである。 普段ギャアグヮア騒がしい子供たちも、やけにおとなしかった。
砂浜に寝転がっていると、突如巨大な白犬が現れた。 あまりにも犬がデカいので、飼い主の女性は陰になっていて見えなかった。 一瞬あせった。
とてもおとなしい犬で毛並みが美しく、子供たちはすぐとりこになった。 ワッと近寄ってナデワサしていると、飼い主の女性は「シャンプー代が一回一万円もかかる以外はエサを沢山食べるわけでもなくて飼いやすいんです」と言った。
波打ち際を散歩していて、なにやら物体が打ち上げられているのを見つけた。 土器の破片のようである。 駆け寄って手に取るとこれは・・・・・・急いで家族を呼び寄せた。
「これって土偶のカケラじゃなかろうか!」
(more…)写真イロイロ
日頃撮りためた写真の断片を以下掲載。
(more…)賞味期限:無限
賞味期限の受け止め方は人それぞれである。
期限内に必ず食べきり、もし期限を一日でも過ぎれば廃棄してしまう人。 期限内外問わず、匂いや舌、自分の感覚で判断する人。
どちらかといえば、オイは後者のほうで、賞味期限を大幅に過ぎている食品でも、イケそうだったら喰っちまう。 調味料にこういうのが多い。
期限内でも、何か変だったら思い切って捨てちまう。 夏場の豆腐でたまにあるパターンで、期限内でも封を開けたら糸を引いたりすることがある。
そもそも賞味期限とは、「食品の品質が十分に保たれ、おいしく食べられる期間」を指すものである。 過ぎたら食えんという意味ではない。 たまには自分の感覚で判断するのもよいかと思う。
「賞味期限:無限」という食品に出くわした。
(more…)香酒盃(こうしゅはい)
あるバーで飲んでいたときのこと、目の前の棚にズラリとディスプレイされているカップのひとつに目が止まった。 陶製品で、表面に大きくワタリガニが描かれている。 チューリップの花のようにモコッとしていて胴に筋が二本走る。
焼酎を注文したら、バーテンダーはその棚からカップをひとつ取ろうとした。 ワタリガニが選ばれることを望んだが、残念ながら、虹色のグラスを彼は手に取った。
「あのー、できればその、カニが描かれているグラスで飲んでみたいのですが・・・」とお願いしてみると、すんなり了承を得た。
近くで見ると、なおさらいいカップだ。 ズシリと重く、カニは細密に描かれており、中身の焼酎はどうでもよくなってきた。 すぐさま飲み干して、カップをなめるように見回した。
「それ、有田焼なんですよ」とバーテンダー。 大分前に有田陶器市で購入したものらしい。
(more…)森永ミルクキャラメル
「お寿司のグミを買ってきて」と娘からたのまれた。 お菓子売り場の棚を探しても見つけることができなかったので、独断で「森永ミルクキャラメル」をかごに入れた。 からし色をした昔から変わらぬパッケージに、つい手にとってしまったのだ。 たぶん子供たちはまだこのキャラメルを食べたことがないはず。
「寿司グミ」をリクエストしていたのは長女。 理由を説明し、キャラメルを差し出したらモロに拒絶された。 こんなもの食えるかという顔をしている。
(more…)【安い】有田陶器市【体験記】
子供たちを連れて有田陶器市へ向かった。
雨模様にも関わらず、あちこちに設けられている駐車場はいっぱいで、人があふれかえる会場。 道の両側にずらりと並ぶ陶器店に圧倒される。 2割引、3割引は当たり前で、中には「全品半額」との張り紙もみえる。 人それぞれに、陶器の入ったビニール袋を重たそうに提げて、次はこの店に、いやあっちに行ってみようと、まるでテーマパークにでもいるかのように、楽しんでいる様子がうかがえる。 中にはコンテナを三段積んだ台車を持ち込んで、その中に買った陶器を山のように積んで押している人もいた。
子供たち三人は、はぐれないよう手をつなぎ合いながらオイの後ろをだまってついてくる。 と、思いきや面白そうなものを見つけると皆でそこへ飛んでいってしまうので目が離せない。 陶器は見たいし、でも子供からは目が離せないしで、忙しいったらありゃしない。 こうなることは楽に予想できたから、一人で来ようかとも考えたのだが、子供たちに陶器市の経験をさせてやりたかったのだ。
今回のお目当ては、いや今回もと言ったほうが正しいが、酒器と肴を盛り付けるための器である。 子供たちがまだ小さいので、普段使いの器はシンプルで形の統一されたものを使わざるをえないが、一人でゆっくり酒を飲んだり、来客時に格好をつけるための器というのも必要なのだ。
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