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2007/04/24

焼き蕎麦

yakisoba

スーパーで、冷やし中華がボチボチ売れ始める時期はいつ頃なのか?という話についてどこかで聞いたか読んだのだが、一体いつ頃だとお考えだろうか。

普通、「夏場」と答えるはずである。 しかし、実際のデータでは、2月下旬頃から売れ始めるのだという。 想像以上に皆、冷やし中華を寒いうちから食っているのだ。 冷やし中華は夏限定のメニューではないのである。

オイ家ではソーメン、蕎麦、うどんその他麺類はお気に入りのものを常備しており、真冬だろうが、冷やしソーメンを楽しんだり、晩酌後の地獄だきそうめんに感激したり、呑みすぎた翌日の子母沢うどんに感謝したりする。 できるだけおいしくラーメンを家ですすりたいがために、いつもよりもわざと多めに酒をあおり、『飲んだ後のラーメン』を演出したりもする。

ともかく麺とオイは切り離せないのだ。

昨日はザルソバを食べた。 同時にかき揚げも作り、ソバをつゆにつけてススりつつ、そこへかき揚げをザブンと浸してかぶりつく。

家族4人でススりまくるわけだから、多めに茹でておいたはずの蕎麦がみるみるうちに減り、ついに無くなった。 子供に「おかわりー」とか、嫁に「少なすぎー」とか言われながら、慌てて席を立ち、再びソバを湯がこうと考えるもイヤまてよ。

いつもこうしてざる蕎麦を食べてると、必ずおかわりのリクエストを受ける。 だから再び茹でるわけだが、どうしても5、6分は時間が必要だ。 オイとしては、少しでも早くソバを茹で上げザルに盛り、食卓へ運び込もうと努力し、やっとの思いで皆の前にざる蕎麦のおかわりを差し出す。

だが、ザル蕎麦のおかわりは、たいてい沢山残される。

茹でる前に、一体あとどれくらいの分量蕎麦を食べたいのかという注文をとる。 すると「最初と同じくらい」と嫁は必ず言う。 実はすでに腹八分だったとしても言う。

ザル蕎麦のおいしさにつられ、ついそうやって多めにたのんでしまうのだが、茹で上げる5分の間に、その欲求は失われてしまうのだ。 少し間が空くとこうなるのは、今までの人生経験上よくわかる。 この前、お気に入りのラーメン屋で替え玉を注文した際、出されるのがいつもよりも異常に遅く、イライラし、ついには吠えそうになった頃、フニャフニャの替え玉を持ってこられたという大事件があったが、あまりにも間が空きすぎると、空腹の欲求は満たされてしまうというか、消滅してしまうのである。(このときはイライラも手伝った)

わんこそばのことを考えてみるとわかるように、蕎麦ならばなおさらおかわりの間が空いてはイカンのだ。 そしてやはり、ザル蕎麦のおかわりは、大量に残されることになった。

だから言ったじゃないか。「もう少しススリたいな」と感じるぐらいでやめておくのがザル蕎麦食いの基本だと。 蕎麦屋でザルソバをたのんでみても「あれ、少ないな?」と感じるじゃないか。 ソバは満腹に食べるもんじゃないんだよとか言ってみてもじょうがない。 残るのだ。

ザル上のうず高く盛られた蕎麦を見つめる。 食べてもらえなかった蕎麦を見てるとかわいそうになってくる。 表面がだんだん乾燥してくる。 おそらくはもう、あのツルツルシコシコとした食感はない。 哀れだ。 そこでふと、思いついた。

とりあえず残った蕎麦は、ラップにくるんで冷蔵庫へ保管しておく。 翌日、冷蔵庫から蕎麦を取り出す。 常温に戻しておこう。

ザルソバのつゆと、かき揚げも少し残っていると思うので、つゆを鍋に入れ、そこへかき揚げを放り込む。 そして点火。 じりじりと煮詰める。

常温に戻った蕎麦を、油をひいたフライパンで炒める。 かわらそばのように、ごま油を使ってもよい。 蕎麦が乾燥しているので、きれいに満遍なく炒めることができる。 妙な塊になっていた蕎麦は、再びパラパラとほぐれていく。

炒めた蕎麦を器に盛り、かき揚げ入りの煮詰めたつゆを上からかけると出来上がり。 これぞまさに、焼き蕎麦であろう。

ぐちゃぐちゃと混ぜてからススルと、うまい。 それもそうだ。 つゆには昆布、干しシイタケ、鰹節という旨味の大御所が潜んでいて、それを煮詰め、濃縮しているのだから。

焼き蕎麦はオイオリジナルであり、この発想は、焼きラーメンの作り方からヒントを得たものである。 この場合の「焼きそば」は、「ヤキソバ」でも「やきそば」でもなく「焼き蕎麦」としていただきたい。 蕎麦へのせめてもの償いだからである。

※蕎麦が残った際には是非一度作ってみてください。 マジウマイです。

2007/04/22 webで買い物

山うに豆腐(とうふ):五木屋本舗

yamauni

全日本味噌漬推奨委員会(今作った会員オイのみ)としては、この山うに豆腐を強くオススメしたい。

『山』『うに』『とうふ』という何のつながりもなさそうな単語がひとつになり『山うに豆腐』という名前になっているわけだが、一体何なのか?

要は豆腐の味噌漬けである。 もろみに豆腐を漬け込み、半年間熟成させて作る。 熟成された豆腐は旨味を増し、まったりとしたクリーミーな食感に変わる。 この風味がまるで『うに』のようであるという話なのだ。 昔、平家の落武者に保存食として利用されたことが発端であるのだとか。

yamaunipkg

開封してみると、モロミに漬けられた状態で四角い豆腐が真空パックされている。 これを好みの厚さに切り分けて、酒肴とするわけだが、冷蔵の状態ではなかなか上手く切り分けることができない。 なのでひとまず冷凍してある程度固まらせたところを、包丁で切るわけだ。

べつに丁寧に切らなくたって、箸でその都度ほじって食ってもウマイわけだが、モロミが幾分強すぎるような気がする。 そんなときは、モロミを取り除いてつまめばよいわけだ。

全日本味噌漬推奨委員会を発足したのはこの山うに豆腐を食べてからであり、このところ何でもかんでもとりあえず味噌漬けにしてみるという実験を繰り返させているのも、この山うにとうふを食べてからなのだ。

五木屋本舗にならい、自家製豆腐の味噌漬けも半年間寝かせてみようかといつも考えているのだが、晩酌中、酒の肴がないと、つい味噌から掘り出して食べてしまうのである。

2007/04/21 webで買い物

ピーカンナッツのヒット!なお菓子

pikan

ピーカンナッツ?

ピーカンとはアーモンドやピーナッツ等と同じく種実類のひとつで、ナッツ類では最も脂肪が多く含まれており、別名「バターの木」なんて呼ばれたりもするナッツなわけだ。

このお菓子はそのピーカンナッツにカラメルを絡め、冷ましたところに今度はホワイトチョコの層を作り、最後にカラメルパウダー、パウダーシュガーをまぶしているというもの。 ふーん。

嫁が誰かに貰ってきたらしく、ウマイウマイとさっきからうるさい。 そんなにウマイのか。 どりひとつ食ってみようか。 パリッ。 濃厚で、香ばしくもあり、ナッツの食感がカシューナッツっぽい。 ホワイトチョコの存在はあまり感じないようにも思えるが、なかなかウマイでないの。

「もう一個ちょうだいよ。」「もういっこ」「もっかいくれ」・・・・と、いつのまにかやめられなくとまらなくなっていた。 嫁なんて3袋も食ってやんの。

pikandm

こちらで買えます。

2007/04/08

さば寿司ダブル

batteramesis

とある居酒屋は大人気で、ついには店の向かいのビルに2号店を出したほどの盛況ぶり。 海鮮がうまい。

壁一面に張りまくられたメニューはどれもおいしく注文してすぐに運ばれてくる。 あ、さば寿司(680円)ってのもあるんだ。 ひとつ食べてみようか。

しばらくして運ばれてきたさば寿司は、通常のバッテラとは違い、寿司めしをシメサバで上下から挟み込んだタイプだった。

サバ寿司のサバが、2段重ねになっているものというのはたまに見かけるが、このようなタイプを見かけたのははじめてだ。 なーるほど、このような作り方もあるものなんですな。 どれどれ、ひとつまみガブリ、ウマイ。

相当新鮮なサバを使っており、酢〆はほとんどしていない模様。 普通のさば寿司と比べてすし飯が非常に少ない分、酒の肴としては絶品である。 これマネしよーっと。

自宅でマネして作ってみたのがトップの写真。 実物はもっと形が綺麗だったということは言うまでもないが、大体このような形。 サバ好きの方、是非一度お試しあれ。

2007/04/04 マズい

焼きラーメン

yakiramen

焼きラーメンとはその名の通り、ラーメンを焼きそばの要領で炒め焼いて作るものであり、福岡天神の屋台『小金ちゃん』が発祥であるという。

そんな焼きラーメンのインスタントがデパートで売られていたのだと、ヨメが喜んで買ってきた。

小金ちゃんに出向き、実際焼きラーメンを食べてみて、美味しかったらインスタントを買ってみるというのが本来の流れにも思えるのだが、せっかくなので、どれ試しにひとつ食べてみようか。

作り方は簡単。 焼きそばに使うような具材を用意して鉄板で炒めた後、そこへ麺を入れ、少量の水でふやかしながら炒めつつ焼き上げるだけ。 仕上げに添付のタレをからめて食べる。

麺から出たトロミが、ちょうど皿うどんを作るときの水溶き片栗粉の役割を果たしていて、全体的にトロトロしている。 「ズルズルッ」「うーんマズイ!」

明らかにマズイ。 第一タレがラーメンに合っていない。 本来焼きラーメンのタレは煮詰めた豚骨スープにソースを混ぜて作っているのだそうだが、このインスタントではウスターソースそのものである。 それにトロミがしつこい。 豚骨ラーメンを食べる際の、水切りが不十分な替え玉にある麺の臭味やトロミを連想させる。

だからもしもこれをもう少し美味しく食べようと思うのであれば、箱に書かれた作り方は一切無視して、麺を大量の湯で茹で上げ、よく水切りをして、その他具材とからめ、焼くべきである。 さらにタレがまずいので、豚骨スープを自ら抽出し、ソースと調合して自作したほうがよい。

しかしここまでやるならば、そもそもインスタントの焼きラーメンなんて買う必要はない。 マルタイの棒ラーメンを一袋購入して、上のように作ればよいのである。 粉末スープを元にして、タレを作ればよいのである。 このインスタント焼きラーメンの小売価格をヨメから聞いて、なおさらそう思った。

「っていうかさ、焼きそば作って食えばそれでイイんじゃないの?」なんていう声が色んな所から聞こえてきそうな人生初の焼きラーメンであった。 こりゃ一回、元祖小金ちゃんの焼きラーメンを食いに行かねば気が収まらない。

2007/03/29

マニアック立ち飲み屋

一杯ひっかけてから帰ろうかと、行き当たりばったりのお店に入る。

生を1、2杯飲んで帰るつもりなので、ウマイ店に入ろうなんて気持ちはハナからない。 その店は鉄板焼屋だが若干沖縄かぶれのお店だった。

昔よく通ったお好み焼き屋に似たその店は、鉄板付のテーブルが5席ある縦長の店だ。 入り口に一番近いテーブルに、赤いセーターを着てクロブチメガネをかけたスキンヘッドのオヤジが座っており、競馬新聞を読みふけっている。 オイに気づき、見上げながら「あ、いらっしゃいあせー」という。 なんだ、マスターだったのか。

店内のBGMはBEGINである。 突き出しに冷えたお好み焼きが出される。 生ビールを注文する。 少しつまみがほしくなり、ランチョンミートを注文して鉄板焼く。 マスターがお気に入りの泡盛を一杯おごってくれるという。 お言葉に甘える。 ウマイ! せっかくだからもう一杯飲んでみようか。 ウマイ! ハハハ、ウマイ!

オイのみしか客のいない店内で、いつの間にかそのマスターと2人サシで飲んでいた。 なかなか面白い人である。 BIGINの一期一会について熱く語ったり、憂歌団のおそうじオバチャンがたまらなく好きなのだとかいう。 そして完全にマスターが出来上がった頃、実は近くにもう一軒お店を出しているのだと告白する。

ノリで「じゃ、そっちにも今から行ってみます」なんてつい口走ってしまったものだから、マスター同行でその店に移動することになる。

2分ぐらい歩いたところにそのもう一軒のお店はあった。 あれ、外装がなんだか・・・・電車? その店は電車モチーフだった。

真新しい白塗りの店内には、電車の写真が多数額装されている。 灰皿やその他店内の装飾品は、すべて元は電車に取り付けられていたもの、本物である。 そしてBGMは「ガタンガタンーガタンゴトンーキー」なんていう電車が走っているときの音が鳴り響く。

オイ:「ほー、電車っすか」 マスター:「そう、これからの時代、電車なんだよね」

オイは電車に対して人並みの思いしか持ち合わせていない。 が、しかし、マスターの自慢げな語り口に、おもわず相槌を打たざるを得ない。

マスター:「さっきから電車の走る音が鳴っているでしょ。 このCD、オレ大好きなんだよね。 このナントカ線(忘れた)を走る電車の音を聞きながら、このカップ酒をあおるのが何よりも楽しみでね。 ホラ、今カーブを曲がった。 ホラ、今急に速度があがったでしょう」

オイ:「は、はァ。(は?) そう言われてみるとそのような気がします。」 なんだか腑に落ちないながらも、なんとなく返事をする。 その他にも山のように電車に関する話を聞かされた。 しょーがないからカップ酒をあおる。

なにか相づちをしなければ気の毒かな、なんて思って、鉄道関係の知っている事を搾り出そうとする。 オイ:「あ、そういえば昔、銀河鉄道9○9ってあったじゃないですか。 やっぱアレも好きだったんですかマスターは?」と聞いてみると、顔を曇らせた。

マスター:「ボクはね、想像上の話は好きではないんですよ。」 シマッタ。

オイ:「あ、あのですよ、世界の○窓からって番組あるじゃないですか。 あれはお好きでは?」

マスター:「あんなナレーション聞いても何も面白くない。 何をしゃべったかではなくて、何を感じたかというのが大事なんだよ。 山手線でアレをやるならばまだしも・・・・。 」 シマッタ。

オイ:「私事で悪いのですが、昔同級生にオデコの広いのがおりましてね、その彼のことをデコイチなんて呼んでたんですよ。」

マスター:「D51はね、そんなにチャラついたものではないの。 D51のDってどんな意味があるのか知らないでしょう。」 シマッター。

ダメだ。 オイの知識ではマスターを喜ばすことができない。 困った・・・盛り上がらない。 どうしたものか、うーん・・・・・。 あ、

オイ:「そういえば桃太郎電鉄というゲームがあるでしょ。 あれってやっぱハマったりしたのですか?」

マスター:「あー、あれね! 面白いよーアレは。 たまに一日中やってたりするよ。 いいゲームだよあれは!」 ヤッタ。

~20分ぐらい桃太郎電鉄の話を聞かされる。 ちなみにオイはやったことがないし、あまりやってみたいとも思わない。~

オイ:「電車でGOとかいうゲームもありますよね。 あれについてはいかがですか?」

マスター:「あれ作った人は天才。 いいゲームだよあれは!」ヤッタ。

~30分ぐらい電車でGOの話を聞かされる。 ちなみにオイはやったことがないし、あまりやってみたいとも思わない。~

よく考えてみれば、オイは客である。 なんで客がマスターに対して喜びそうな話題を気遣ってフッてやらねばならんのだ。 普通逆だろ。 冷めた。 帰ろう。

オイ:「そろそろ帰ります。 じゃ、この辺で」

なんて伝えると、あわてるマスター。 実はとっておきのネタがこの店の2階にあるのだとか。 どうしてもそれを見て帰れという。 2階にあがってみると、なんとそこには、忠実に、電車の内装が再現されていた。 手すりにつり革、座席に広告。 前面には巨大スクリーンが設置されており、電車のDVDがビッシリと揃えられている。 ここでつり革につかまりながら、カップ酒をあおりーの、DVDを見て興奮しーの、といのが長年の夢だったのだとか。

まさにマスター自身の為に作ったお店だと言っても決して過言ではなかろう。 ある意味幸せな人だ。

2007/03/26

レバテキ

rebateki

激安居酒屋にて」で登場していただいた幹事くん(以下T氏)は、味オンチでもなければボンクラでもない。 たまに、ものすごいお店を教えてくれたりもする。

とある日の18:00を少しまわった頃、携帯が鳴った。 T氏からである。「どや、どや、飲むけ?」急に電話かけられて、どやどや飲むけなんていわれても、なんのことだかサッパリワカラン。 しかもこの人まだ18時なのにすでに出来上がっている様子。 相当飲んでいる。

「えーっと、ナンスカ?」一応用件を聞いてみると、どうやら今から一緒に飲みに行きたいとかいう話のようだ。 なんでもすごくウマイ『トン焼き屋』があるのだそうな。

せっかくのお誘いだったが、この日、オイは家族のためにチキンカレーを仕込んでいる最中だったので、キッパリとお断りさせていただいた。

数日後、再びT氏から連絡があった。 今回は午前中で、しかもシラフでの電話である。 「あーオイくん、この前話したトン焼き屋に行ってみない?」

その日はたいした用事もなかったので、ご一緒させていただくことにした。 しかしトン焼きって豚焼きのことでしょう。 焼き鳥屋ばかり通うよりもいいかもしれん。

そのお店は町外れの住宅地にあり、周囲に街灯が少ない分、店の赤チョウチンがやけにボンワリと輝いて見えた。 普通のこじんまりとした焼き鳥屋さんみたいな店構え。 「ガラガラガラ、タイショ、コンチハ。」T氏はオイに先立ち、いかにも常連風に入店する。 その後にオイも続く。

短く刈り上げた白髪が綺麗な大将はおそらく70代である。 しかし背筋はピンと伸びて、表情は穏やか。 清潔な作務衣姿が様になっており、トン焼き屋の大将には似つかわしくない。 「アラ、このところ毎日だねー」と、T氏に親しげに声をかける。 続けて「ホラホラ、寒いから早く入って引き戸を閉めてくださいよ。 お客さんの体が冷えちゃうよ。」と、早く入店し、入り口を閉めることを促す。 カウンターに座る常連さん達への心配りである。

嬉しいことにカウンターがちょうど2席空いており、そこへT氏とオイは座る。 T氏がビールを注文後、いつものように、まくしたてるように、ダーっと一気に食べたいものを注文する。 が、注文を聞いてくれるニイチャンがまだこっちに来てないので「ちょっと待ってね」と大将に言われる。 慌てんな、常連なんだろ、T氏。

「ウォーイ、お待ち。」と、イイ感じに色落ちしたインディゴのバンダナをワンピースの刀持った人のように目深に頭に巻き上げた、多少気合が入っている風のニイチャンが現れる。 T氏は彼に「ヨオ、元気」と声をかけた後、先ほどの注文を繰り返して伝える。 さらに「ニイチャン、あんたにもビール一杯おごるよ」と、ニイチャンにも景気付けの生一杯を注文する優しげなT氏。 「あーあざーす」と、それにとってつけたような礼を言うニイチャン。

よく冷えた生ビールはすぐに運ばれてきて、突き出しのイカの醤油風味塩辛をつまみながら、我々が注文した串を作る工程を眺める。 いや、眺めたかったのだが、隣のT氏がショーもない話をベラベラしゃべってくるものだからなかなか集中して大将の丁寧な仕事を眺めることができない。 少しイラついたオイは、なんの脈絡も無く「Tさん、見てくださいよあの豚バラの美しさ。 フワー、脂肪の層が素晴らしいッスヨ。」と、大将の仕事を見るように促す。

ここで気づいたのだが、突き出しのイカ醤油風味塩辛がすごいウマイ。 突き出しがウマイ店にハズレ無し。 その逆もまた然りというオイの持論があるが、この店はイイぞ、ウマイぞ、という期待感が高まる。 イカの塩辛は、このように作る(イカの塩辛)わけだが、ワタを塩漬け後、流水で洗い、その後醤油、酒、みりんを合わせた漬け汁に24時間漬け込んでおいて、それをイカの身に和えたものがイカの醤油塩辛である。 この店の場合、イカの食感、新鮮さからして、今さっきワタと身を和えたハズである。 あえてそうしているハズなのである。

「このイカ相当ウマイですよね」とT氏に伝えると「ウメェ、これもうひとつ注文しようぜ」と言う。 同感。

この店の串焼きスペースは非常に短い。 どう長く見積もっても80センチ程度であり、店の入り口横窓際に設置されている。 串焼きの作業は大将以外はやらない。 もっと言うと、大将は、串焼きしかしない。 客の注文も聞かない。 「大将、生もう一杯」なんて目の前で言ってもシカトされる。 注文は、バンダナニイチャンに伝えなければならない。

お店は狭いが区画の取り方が巧妙な為、奥に座敷が2部屋ある。 カウンターの真後ろには小さく小奇麗なカウンターがあり、女性客が4人座っている。 満席の店内だが、串を焼く場所は狭い。 でも串焼きを待ちすぎてイライラしているお客はおそらく見当たらないところを見ると、大将が効率よく串を焼いているのだろうなという憶測が立つ。 目の前で大将が串を焼いている様子をさっきから眺めているが、さほどイソイソ焦っている様子もなく、ズラリ並べられた串を、炭火の上で優雅に転がしている。

「はいお待ちどうさま」串がきた。 ハツとカシラである。 ビールを改めて数回グビグビやり、ハツをがぶり。 ハツとはハート、すなわち心臓であり、プリプリとした食感がステキだ。 しかもこの店のハツは新鮮なのであろう臭味がまったくなく、そして一切れ一切れが大ぶりである。 塩加減もちょうどよく、外側はカラリと焼けているが、噛み千切ると透明な肉汁があふれてジューシー。 こんなウマイハツ、食べたことがない。 ハツ1串中、2切れのハツを食べて感動しているオイをよそに、T氏は次々と串からハツ、カシラを取り外し、コロコロと皿に散りばめる。 それを箸でつまんで食べるのだ。 「このほうが早いで」だという。 オイは別に急いでトン焼きを食おうとは考えていないので、せっかくの串焼きだし、串から歯でしごいて食べたい。

「早く食わな、次来るデ」とT氏。 彼の皿を見ると、すでにハツとカシラは跡形もない。 早っ。 別に昼飯を食いに来ているわけではないのだ。 飲みに来ているわけだから、串焼きは、酒の肴として、ゆっくりと味わいたい。 もっと言わせていただくと、串を一気に注文するのはやめていただきたい。 冷めてしまうではないか。 ゆっくり飲もうぜ。

串の美味しさをそれぞれイチイチ語っていてはキリがないので割愛させていただくが、どれも本当に美味しい。 豚以外だって野菜だってなんだって美味しい。 こんな美味しい串焼き食べたことがない。 もうビールなんて飲んでらんない。 焼酎一本と氷ください。

鳥の串だってある。 鶏レバをレアに焼いてもらって焼酎を飲りながらようやく店内を見回す余裕がでてきた。 これといって何の変哲もない焼き鳥屋然とした店内で、木彫りの熊など余計な調度品は一切見受けられない。 あとで大将に聞いた話では、この建物、元は民家なのだとか。 何っ! 店内に張られた張り紙のなかに『牛レバー刺』を発見。 「ニイサン、レバ刺2つおねがい」

本能のままにレバ刺を注文したオイにとなりのT氏は言った。 「オマエラッキーやなー。 この店はな、レバ刺あっても張り紙なんてせんのや。 だからレバ刺があると知ってる客しか注文せえへん。 それをな、今日はわざわざ張り紙で大々的にレバ刺があると公表しているわけや。 これがどういう意味かわかるか? おまえ。 これはな、今日のレバ刺には大変な自信があるっちゅーことやねん。 いわばレバ刺オススメなわけや。 2人前注文したのは正解やでしかし。」

だ、そうである。

しばらくして到着したレバ刺しは、テカリからして普通のとは違っていた。 色は赤というかほんのりピンク色をしており、店内のスポットの光によって輝いている。 適度な厚みに切られたそのレバ刺しを箸でつまむと、レバ刺しをつまんだというよりも、まるでピチピチのハマチの刺身をつまんでいるかのような抵抗感というか強い弾力を感じさせる。 上質のごま油と塩を少しつけて口に入れると、またもや臭味がまったくない。 レバ刺しが甘い。 食感としてはもはやプリプリである。 美味である。

レバ刺しをもうひとつ注文しようかとも考えたが、やめた。 己の欲望のままレバ刺しを注文し、食べるのはよいが、これほどのレバ刺しならば、より多くの客に食べていただきたいと思う。 独占は悪である。 レバ刺しが嫌いな人だって、これを食べてみると価値観が変わるはずである。 大将、うまいよこのレバ刺し。

この店は獣肉だけではない。 何と魚もうまいのだ。 普通、串焼き屋にある魚の刺身といえば、メニューの数を増やしたいがためだけに置かれているといった感じのものが多く、クオリティーを追求するのはヤボだという、もはや諦めの境地に立たざるおえないという印象を拭いきれないのだが、ここでは魚もウマい。 タチウオの刺身がウマイのだという大将の、言われるがままに注文してみたそれは、盛り付けよし、鮮度よし、味よしの3拍子そろったものであった。 穂シソをセンスよく飾った刺身は美しかった。

というように、この店を絶賛し始めると、キリがないのでここで今回のシメとさせていただきい。 このトン焼き屋で、一番感心したメニューはというと、それは『レバテキ』であった。

レバテキとはレバーステーキの略で、そういうとなんだか洋風のものを思い浮かべてしまいがちだが、これは和風である。 新鮮な豚のレバーの塊に塩コショウで下味をつけたあげく、絶妙の炭火で表面を焼き上げる。 そしてそれをほどよい大きさに切った後、皿に盛り、周囲に醤油とみりん、酒、ザラメを調合した甘たれを注ぎいれる。 そして皿のわきにからしをひとつまみ配置すれば、それだけでレバテキのできあがりである。 からしをこすりつけながら、中身がレアなレバーをほうばると、甘辛いたれの味とレバーのプリプリした食感、風味が渾然一体となり、飲める飲める。

とりあえず3皿食ったこのレバテキは550円である。 久しぶりの興奮した酒肴であった。 しかしよく考えてみると、鶏レバーの煮付けだって、甘辛な味で美味しいんだから、レバーに醤油とみりんの味付けが合わないワケがないのである。

そんなレバテキをどうしても忘れられず、我が家で作ってみたのがtopの写真である。 トン焼き屋では、この写真よりもだいぶ見た目も美しいし美味しいのは事実であるが、テイストはわかる。 今回は新鮮な豚レバーを入手することができなかったので、あらかじめカットされた豚のレバーを使用して作ったが、これでさえ、我が家の酒肴の定番になりそうな勢いである。 オススメします。 ぜひ作ってみてください。

2007/03/25

某ハウス系ラーメンにて

某有名ハウス系ラーメン店にて。

相変わらずいつも行列ができていて、食券を購入後、店の外に設置されたベンチに座る。 ベンチに座れただけでも今日はまだいいほうである。

(more…)

2007/03/23 野菜

シイタケのバター焼き

siitakeb

デカいシイタケを沢山もらった。

定年後、毎日家庭菜園に励んでいる近所のおじさんは、シイタケの他にもゴーヤ、ナス、キュウリ、キャベツ、白菜、トマト等、様々な野菜をほぼ無農薬で作っている。 そのおすそ分けを季節ごとに頂戴しているわけだ。

どの野菜もおじさんのまじめで実直な性格が現れていて、形がよく、そして美味しい。 オイはもらった野菜を料理にしてお返ししたりもするわけだ。

siitakemoti

デカいシイタケは、バター焼きにして食べた。 鉄板にバターを多めに溶かし、石づきを取り除いたシイタケを放り込む。 そして塩コショウ少々。 ジャーとイイ音を出しながらバターはシイタケに染み込んでいきつつ、まろやかな香りを放つ。 傘の裏のヒダヒダの部分なんて、バターをたっぷりとかかえ込んでいる様子がうかがえる。 仕上げに今飲んでいる日本酒を少量『ジャッ』とかける。

熱々のところをほうばると、シイタケからバターがにじみ出てきてウマイなんてもんじゃねえ。 気が付くと、5つもシイタケを平らげていた。

キノコについて

キノコといえば、日本とか、東アジアでしか食されない食い物というイメージがありそうでもないが、実はヨーロッパ、アフリカ、アメリカと色んなところで食される。

日本ではキノコを『茸』なんて書くが、中国では『菌』と書き、さらにアメリカでは『muchroom(マッシュルーム)』、フランスでは『champignon(シャンピニオン)』という。

そんなキノコを学問的にいうと、食菌という部類にはいり、分類的には微生物になるのだという。 マツタケもシイタケもシメジもエノキもエリンギも、全て微生物なのだ。

微生物ったって、キノコは目に見えるじゃないか。 ぜんぜん『微』じゃないじゃないか! なんていう声も聞こえてきそうだが、待て。 キノコは目に見えないぐらい微細な胞子というのがその本体であり、その胞子から芽が出て、四方八方に伸びていく。 それが菌糸であり、菌糸がもつれあってキノコの形になる。 これを子実体というそうな。

なんでキノコはウマイのか? それは子実体の主成分がタンパク質であり、キノコが収穫された後、自己消化(自然に分解)してうまみ成分であるアミノ酸になるというわけだ。 さらに食べる際に唾液でもタンパク質が分解されてアミノ酸になるわけだから、ウマイに決まっているわけだ。

※さらに、キノコにはうまみ成分である『核酸』も多量に含まれている。 核酸がふくまれている食品としては、鰹節等が知られている。

キノコについては小泉武夫著:地球怪食紀行より

2007/03/19

嫁化する娘

はぁー娘ってなんてかわいいのだろう!!

夕食のときは隣に座り、お互い酒の肴をつまみながらビールと牛乳で乾杯! 時にはお酌までしてくれるというサービス。

寝る時は寝室まで手を引いてくれて逆エスコート。

洗濯籠に汚れ物をシュート! おしいっ! はずれたっ! なんてときには、トコトコと向かい、洗濯籠へきちんと汚れ物を入れてくれる。

お風呂へ一緒に入ると「ハイ、頭洗って。 横っちょも洗ってねー」と、自分がいつも言われているように指図してくれる。

オイの息子、すなわち娘の兄には、まるで母親のように接する。 「あーまたこぼして。 ちゃんと自分で拭きなさい」だとか「お菓子ばかり食べちゃダメ」なんて口うるさく言う。

だんだん成長するに伴い、オイに対しても小言が多くなってきた。

「あーけむたい。 タバコはベランダで吸いなさい」「この部屋男臭ー(祖母のマネ)」「いつまで飲んでんのよ!」「(携帯に電話がかかってきて)早く帰ってきなさい!何時だと思ってんのよ。」「遊びに連れて行け」

まるで嫁である

お風呂に何歳まで一緒に入ってくれるのかとか、決して嫁にはやりたくないだとか、やっぱり反抗期ってあるのかなとか、イロイロ月並みな想像もしてみるけども、ともかく娘がいてよかったな、って実感する毎日。 3人目の子は男だと判明したけれど、もう一人ぐらい女の子欲しいなって思うほど、女の子ってカワイイし。

マーク中

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