焼きラーメン
焼きラーメンとはその名の通り、ラーメンを焼きそばの要領で炒め焼いて作るものであり、福岡天神の屋台『小金ちゃん』が発祥であるという。
そんな焼きラーメンのインスタントがデパートで売られていたのだと、ヨメが喜んで買ってきた。
小金ちゃんに出向き、実際焼きラーメンを食べてみて、美味しかったらインスタントを買ってみるというのが本来の流れにも思えるのだが、せっかくなので、どれ試しにひとつ食べてみようか。
作り方は簡単。 焼きそばに使うような具材を用意して鉄板で炒めた後、そこへ麺を入れ、少量の水でふやかしながら炒めつつ焼き上げるだけ。 仕上げに添付のタレをからめて食べる。
麺から出たトロミが、ちょうど皿うどんを作るときの水溶き片栗粉の役割を果たしていて、全体的にトロトロしている。 「ズルズルッ」「うーんマズイ!」
明らかにマズイ。 第一タレがラーメンに合っていない。 本来焼きラーメンのタレは煮詰めた豚骨スープにソースを混ぜて作っているのだそうだが、このインスタントではウスターソースそのものである。 それにトロミがしつこい。 豚骨ラーメンを食べる際の、水切りが不十分な替え玉にある麺の臭味やトロミを連想させる。
だからもしもこれをもう少し美味しく食べようと思うのであれば、箱に書かれた作り方は一切無視して、麺を大量の湯で茹で上げ、よく水切りをして、その他具材とからめ、焼くべきである。 さらにタレがまずいので、豚骨スープを自ら抽出し、ソースと調合して自作したほうがよい。
しかしここまでやるならば、そもそもインスタントの焼きラーメンなんて買う必要はない。 マルタイの棒ラーメンを一袋購入して、上のように作ればよいのである。 粉末スープを元にして、タレを作ればよいのである。 このインスタント焼きラーメンの小売価格をヨメから聞いて、なおさらそう思った。
「っていうかさ、焼きそば作って食えばそれでイイんじゃないの?」なんていう声が色んな所から聞こえてきそうな人生初の焼きラーメンであった。 こりゃ一回、元祖小金ちゃんの焼きラーメンを食いに行かねば気が収まらない。