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2007/05/25 雑記

指から針が出る人

腹が減ってどうしようもなくて、17時頃ラーメン屋に入る。 晩飯まではまだ長いし、少し腹ごしらえをしておこうという魂胆だ。

だけどあまりの空腹が故に、替え玉をしすぎ、サイドメニューも注文しまくり、たった一人でそのラーメン屋のフルコースをを食べ尽くしてしまった。 満腹にはなったが、何故ラーメン屋で腹いっぱいになるまで 食わねばならなかったのか、何故夕食をラーメン屋で済ませてしまったのか、しかもまだ5時だし。 どこか寂しい思いが脳裏をめぐる。

しかし満腹になってしまったものはしょうがない。 家に帰って子供たちの晩御飯を作ってやらねば。 急ピッチで晩御飯をこしらえ、子供らに食べさせる。 そして、就寝前のなごやかな時間を家族で過ごす。 ふーん幸せ。

携帯が鳴る。

少しいやな予感を感じながらも、携帯を開く「ゲッ、Eだ」

E君は今だ独身なのをいいことに、遊びほうけている人物であり、古くからの友人でもある。 独身が故、家庭を持つ者の安らかなひと時というものを知らず、自分がヒマならば、いつ何時、どのような場所にいても電話をガンガンかけてくる空気を読めない人だ。 どうせ飲みに行こうとか言うにきまっている。

「飲みにイ・コ・ウ・ゼ」とすでに酔っていることが電話口でもわかる。 ダサい。 「いやね、だから、もうメシ食ったんだよね。 ラーメンを山のように食ったんだよな。 もう飲めないし、たとえ飲めたとしても、チビたちと遊んでいるから行かない」

このようにキッパリとお断りしたにも関わらず、どうしても来いという。 オイ嫁は、自分が説得してあげるから是非出て来いという。 そこまでいうならば、何故わざわざラーメンで腹いっぱいの風呂にも入って子供とお遊び中のオイが出向かなければいかないのか、理由を言え。

「指から針がでる女が来る」

という。 何のことだかさっぱりわからん。 わけがわからなくなったところで、サッサト電話を切ろうかとすると「マテマテマテ」という。 指から針の出る女は、マッサージがとても上手く、どのような疲れも取り去ってくれる不思議な力を持っているとかなんとか熱く語る。

酔っ払いの戯言といえばそれまでだが、気にならないでもないという気になってきた。 遠くないし、ちょっと行ってみるかな。 ということで嫁に「指から針が出る女を見に行ってくる」と伝え、冷めた目で見送られながら、家を出たのだった。

E君が見えたので、タクシーを降りる。 半にやけのE君が「オイ~」と近寄ってくる。 不気味だ・・。 中華料理屋で針の出る女&その相方と待ち合わせをしているそうで、まだ時間があるらしい。 だから少し腹ごしらえをしたいとのこと。 「そうだ、ラーメン食わない?」なんてふざけたことを言う。 青筋たてながら、今日の17時頃の話をした。 それでもどうしてもラーメンが食いたいのだというので、ついていく。

これがまたマズいラーメン屋に入るわけだ。 相変わらずE君の味覚はおかしい。 「へへ、この店はね、旨すぎて、スープ泥棒に入られたことがあるらしいよ。」といつものキメ台詞を言う。 んなこたないと、断言したい。 何回食っても、この店は病み付きにはならないということは事実だ。 このラーメン屋は、マズい。 腹減ってても食わない。 と心で思いつつも、E君がラーメンを食い終わるまで、ビールでも飲んでおく。

マズいラーメン屋は大体店員の私語が多い。 しかも、客の会話よりも大きな声でショーもない話をしゃべりまくっている。 たまに客が入ってくると、先に食券を買うように促し、客の背後からどのメニューの券を購入するのかをうかがっている。 決めあぐねている客がいると、少しイライラした様子でさらに観察を続け、味噌ラーメンを購入したとするならば、客が席につくまえに、すぐさま丼に味噌を放り込み、スープを注ぎ込み、かき混ぜている。

この作業は、客にいち早くラーメンを食べさせてあげようという心配りからくるものではなく、手っ取り早く客の注文を済ませて、はやく隣のスタッフとしゃべりたいといのだという本心がミエミエの、やりかたである。

一応職人っぽく麺をかき混ぜたり、その他ラーメン職人がやるであろう動作をしているが、どれも雰囲気だけでスキルは伴っておらず、幼稚である。 一度、全国の有名ラーメン店を視察に行け。 それからしゃべれ。

このように、ビールを飲みつつ、エセラーメン職人を観察している横で、ラーメンをすすりながら指から針が出る女の話を語るE君。 要は、E君自身も今日初めて会うのだそうで、数千円払ってマッサージをやってもらいたいのだが、話に聞くと、一人で向かうのはなんだか恐ろしいので、オイについてきてもらった、ということになる。 ビビリだ。

E君がようやくラーメンを食い終わったので、待ち合わせの中華料理屋へ向かう。 何故待ち合わせが中華料理屋なのか、何故中華料理を食べる前にラーメンをすすっておかねばならないのかという細かな疑問もあるが、E君とはそもそもこういう人だし、いいか。

中華料理に着いたが、指から針の出る女はまだ来ていない。 店内のイイ臭いにつられて少し腹が減ってきた。 よし、北京ダッグを食ってみるか。 「紹興酒と北京ダッグを下さい」 しばらくして、艶やかな北京ダッグが運ばれてきた。 それを厨師が目の前で皮を削いでくれる。 あまりにも旨そうで、紹興酒のピッチが早まる。 もはや、指から針の出る女の話なんてどうでもよい。

北京ダッグをつまもうとしたそのとき、指から針の出る女は現れた。 2人連れで、おそらくどちらも女である。 しかもどちらも似ており、どっちから針が出るのかはわからない。 メガネをかけており、体格がよく、おとなしそうな人物。 一応、にこやかに挨拶をしておく。

実は背の少し大きいほうが、針の出るほうであり、それを知ったE君は、少し緊張したようで、紹興酒をあおる。 「マッサージをやりたい方はどちらですか?」と聞かれたので、E君を指差す。 すると早速E君は注意をうける。 マッサージをする前は、酒は控えてほしいのだという。

単刀直入に、指から針が出るとは一体どういう現象なのですか?と尋ねてみた。 すると本人ではなく、おそらく女性である相方が、耳を触ってもらえという。 急に耳を触ってもらえと言われても抵抗がある。 見ず知らずの人に耳を差し出すのは気が引けるし、本当に針が出るのであれば、オイの耳はどうなってしまうのかはわからない。

ここでひとつ断っておきたいわけだが、オイは疑い深い。 TVのスピリチュアルナントカとか、カントカ先生の占いなんて、まったく信じてはいない。 大槻教授は大好きだ。 だが、この世にそのような現象がまったくないとは断言できない。自分が実際経験したり、見たりすれば、もちろん信じる。 がしかし、見たり経験したことがない。

指から針の出る女はオイの右側に座っていたので、そのまま右耳を恐る恐る差し出してみる。 横目で針女の手がオイに伸びてきているのがわかる。 そして、耳の中ほどに軽く触られた。 瞬間、激痛が走る。

耳も痛かったが、全身痛かった。 本当に針で刺されたのではなかろうかと思い、女の手をつかみ、指先を見るがなにもない。 耳も無事のようである。 一体。

なんでも、体に悪いところがあれば、耳を触られると痛いのだそうで、悪いところがなければ、別に痛くはないのだそうな。 それではオイの体のどこが悪いのかというふうに尋ねてみると、なんでも胆嚢が悪いのだとかいう。

おかしいね。 この前の健康診断では健康そのものっていう結果がでたんだけどな。 と伝えると、そのような検査結果には、もっと悪くなってから現れてくるのだそうで、今のうちに注意しておいたほうがよいのだそうな 。 酒の飲みすぎて、胆嚢に負担がかかっているのだとか。

酒はよく飲むが、飲まれることはないし、休肝日も設けている。 だのに、胆嚢が悪いといわれれば少しは気になる。 へえ。 耳が痛かったのは事実だ。

どうにも納得がいかず、耳以外では、体のどこが悪いのかはわからないのか? と聞いてみると、耳以外でもわかるのだとか。 それならばと、今度は手を差し出してみた。 さあ、触ってみてください。 針女は、オイの人差し指に着目し、人差し指を軽くつまむ。 少しヒネられた瞬間、激痛が走った。 これもやはり、体が悪い証なのだとか。

以前、You Tubeで、レーガン大統領のSP(だったっけな)が、日本の合気道の先生にいとも簡単に取り押さえられたという映像を見かけたような気がするが、まさにそのような感じを受けた。

少し触れられただけでもこの痛みなのだから、全身をマッサージされるとなると、体が悪い人にとっては自殺行為のようにも思える。 E君は、不健康の塊のような人物なわけだから、もしかすると、お亡くなりになられるかもしれない。 でも指から針の出る女は、霊魂やオーラも見ることができるそうなので、簡単に呼び戻してくれるのかもしれない。 なんて老少豆腐を食べながらひとり考えた。

オイならばマッサージは絶対お断りする。 そういえば、その日以来、E君に会っていないし、連絡もない。 もしかすると・・・。

2007/05/13 雑記

キッチンハイターって強い

包丁

毎日調理をしていると、キッチン周辺、器具、調理している本人がだんだん汚れてくる。 つまり定期的なお掃除が必要である。

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2007/05/12 雑記

足ツル

ヨメが臨月を迎えた。

今回で臨月を迎えるのは3回目だが、毎回決まって出る症状に、「足つり」がある。 就寝中、突然うめき声が聞こえる。 「はっ、生まれるのかーっ!」と、一気に目が覚める。 すると「あ、足がー」ともだえ苦しむ嫁。 寝てる最中に、両足がつるのだ。

少なからず足つり経験のあるオイは「よし、深呼吸をしろ。 ふくらはぎ、すね、どっちがつってんの?」と声をかける。 「両方両方ムガー」と苦しむ嫁。

たしかに、足に関わらず「つる」痛みは尋常ではない。 筋肉の繊維一本一本が、まるで引きちぎられているかのような痛みは想像しただけでも苦しい。 神様はどうしてこれほどまでの苦痛を人にお与えになるのであろうか? なんて言いたくなるぐらいだ。

スネ、ふくらはぎ両方がいっぺんに、さらに両足ツルという苦難に毎晩遭遇するヨメは実に気の毒である。 原因は何か? 妊娠にともなう何かしら栄養素の不足なのではなかろうか?

という風に考えたオイは、ツリによさそうな食べ物を考えてみる。 そもそもツリ防止に効果がありそうな食物なんて思い浮かばない。 関連がありそうな気がしたのは牛スネ牛スジ。 よし今日は、スネスジを食わせてみてツリの様子を見てみようかな。

2007/05/07 雑記

排水口との戦い

※今回は食物の話ではありません。

初節句の中華をなんとか作り終えることができた。

イロイロ沢山作ったのはよいが、後片付けというのもなかなか大変な話である。 山のように使われた食器、調理器具。

自宅で調理をする場合、何がどこにあり、どう使ったほうが一番能率がよいのかは、体が覚えている。 でも、よその家で調理をした場合、その逆である分、キッチンがメチャクチャになりがちである。

姉は料理を作ることがキライである。 なので、調理器具や調味料などには興味がない分、家になにもない。 ショウガぐらい買っておけ。 何故土鍋がないのだ。 サラダ油こんだけしか在庫ないの?うそ・・・。 っていうか、包丁全然切れないじゃないか。 お玉ってひとつしかないの? え?炊飯器ってこの大きさなん?これで家族皆食べる分お米炊けんの?

そのクセ、食べることは大好きであり、イチイチ口うるさい。 味が薄いだの辛いだの、こうすればもっとウマイだの注文をつける。 酒が入るとさらに拍車がかかる。

話をまとめさせていただくと、オイが姉宅で料理をし、散らかった。 いつもと勝手が違う分、余計に散らかった。 それを片付けなければならない。

山のように積まれた食器を一枚一枚洗う。 だんだんと熱中しながら調理器具も洗いまくる。 それらを大量の水ですすいでいると、あれ、なんだか水が溜まりはじめている模様。

排水口の水の流れが悪くなってきており、段々と洗い場の水かさが増していく。 「なーに、そのうち流れるさー」と気にせず食器をジャンジャン洗い続けていると、どうやら排水口は完全に詰まってしまっている模様。 このままでは排水が洗い場から溢れ出し、キッチン水浸しで大目玉を食らうことは間違いない。 とりあえず水を止めて食器洗い中止。 何か詰まってんだろうと排水口らへんを手探りしてみると、もやしの空き袋(ビニール製)が排水口に張り付いていた。 この袋が、水溜りの原因だったのだ。 早速その袋を取り除く。 水がドドーっと流れ始める。

あれ?流れない。

もやしの袋を取り除いたにも関わらず、水が流れていかない。 予想では、袋を取り除いた瞬間に、ものすごい勢いで水が排水口へ流れ出るハズだったんだけど、まったく流れていかない。 うーん嫌な予感。

こりゃ何か詰まってんな。 排水溝には、今回のような事件にならないように、メッシュの受け皿が取り付けられており、万が一、異物が排水口に流れていこうとした場合、それを未然に防止するという重要な役割を果たしているわけだが、そこには何もない。 ゴミひとつない。 ということは、このメッシュの受け皿より内部に、なにか異物が詰まっているに違いない。 なんで詰まったのかはわからない。 確かにイロイロ調理をしたが、排水溝に何かを放り込んだ覚えはないのである。

とりあえずメッシュの受け皿を取り外してみる。 手探りで大きく開いた排水溝の中を調べてみても、何も詰まっていない。 どうしてか。 何も詰まっていないのに、水が流れていかないワケがない。 もしかすると異物は、排水溝のもっと深いところに詰まっているのかもしれない。

これでは食器洗いどころではない。 水が流れないのだから、洗えるわけがない。 まずは排水口の詰まりを直さなければならない。

「おい、姉。 排水溝が詰まっているよ。」と報告すると、罵声を浴びせられた。 すでにオイが犯人だと決め付けている様子。 そうかもしれないが、現段階ではオイが犯人かどうかはわからない。 対策として真っ先に思いついたのは、厠が詰まった際に使用する例の『ズッポン』。

ゴム製の空気圧によって詰まりを直す柄付きのアレである(正式名称って何なんだろ)。 姉に聞いてみると、そもそも家には置いてないのだそうな。 買いに行くのもメンドクサイし、遠いし、ならばズッポン無しで、排水溝を修理してみようではないの。

タオルを丸めて、排水溝の口に当てる。 そしてそれを勢いよく、引く。 ズッポンよりも威力はないものの、同じ原理の力が働いている音がする。 排水口内の空気が吸い上げられているような「ゴフォ」という音がする。 なんだか期待が持てなくもない状況だと悟ったオイは、連続してタオルでズッポンをやる。 ムキになって10回、20回とタオルでズッポンを行うと、排水溝はそれにあわせて「ゴフォゴフォゴフォゴフォ・・・」と音をたてる。 がしかし、詰まりは解消されない。

手が疲れたので、タオルを持ち替えて、さらにズッポンズッポンやる。 エイコラサ、ドッコイサ、それでも水は流れません。 ダメダ方法を変えよう。 ワイヤー製のハンガーを探し出してきて、それを伸ばす。 そして排水口のなかへ突っ込む。 そして勢いよく上下させる。 一向に、詰まりが解消される気配が無い。

人生ダメなときはダメなものである。 ここはひとまず休憩をとり、ゆっくりとコーヒーを飲む。 「いやーしかし何が詰まったんだろうね。 心当たりはないの?」と姉に聞いてみるも、ないのだとか。 オイが大量に中華を作ったのが原因だと、断定してきた。

しばらくがたち、騒然としたキッチンへ戻る。 まるで画に書いたような散らかりっぷりである。 どうもハンガーは効果がイマイチだったような気がするので、再びタオルズッポン作戦でゴリ押ししようではないか。

ズボズボズッポンすること30分、ついに、水がかすかに流れ出した。 よしここが勝負時、さらにズッポンをくりかえすと「ゴフォォォォ・・・ジュルジュルー」と、水が流れ出した。 そこで浮かび上がってきたのが丸い骨のかけらが数個。 「ん?これは、豚の骨だ!」

日ごろから慣れ親しんでいる分、その丸っこい骨が豚の骨だということが一目でわかった。 今日、オイはこの場所で調理をしたが、豚の骨は一切持ち込んでいない。 豚骨スープだって自宅で抽出して、スープのみを持ち込んでいるわけだから。 したがって、この水詰まりの原因は、オイではない。

そのように告げると、姉はしばらく考え込む。 あっ

数日前、自宅で宴会をした際、誰かが豚足を持ち込んでいたのだとか。 もしかすると、ホロ酔いの姉が後片付けをする際に、豚足の骨をついうっかり排水溝に流してしまったのかもしれないということだった。 オイに詫びてもらおうか。 そして、食器洗いはオマエがやるのだ!

と、言いたいところだったが、調理をするだけしておいて、後片付けをしないというのもなんだか気持ちが悪い話なので、手伝ってもらうことにして、水詰まりの件は一件落着ということで。

2007/05/04 酒肴

高野屋のからすみ

takanoya_karasumi

ようやく自家製カラスミ作りがひと段落ついた。 あとは食べるだけである。

餃子作りを趣味というか特技にしている人は意外に多く、数名の名がすぐに思い浮かぶ。 その中でもH氏のお宅へ、招かれた。

すでにおびただしい数の餃子が準備されており、まるで中国の兵馬俑のように、大皿に整然と並べられている。 ちなみにH氏の自家製餃子は餡のみが手作りで、皮は自作することはない。 「さあ、焼いちゃってよー」と餃子で飲み会スタート。

ウマイ。 時折カレー味やチーズ味の餃子にあたる。 それがH氏自慢の楽しみ餃子であり、それがたまたま当たった人の驚く顔を眺めながら一杯ヤルのがH氏のなによりもの楽しみなのだ。 なのでオイは、それらが当たったとき、本当は普通の餃子が一番美味しいと思っているにも関わらず

「うへぇ、カ、カレー味のギョウザですかー! おっモシロイですねーいやぁーしかし本当に。 まいっちゃうなホント。 ハハハ。」

と、冷蔵庫を購入するという話に過剰に反応するヤツを演じる某お笑い芸人のように、過激に反応してあげるのだ。

そうやって楽しい宴の最中、場を見計らって、懐から自家製唐墨を取り出す。 それを見たH氏は「オイくん、できてたんだー。 さ、早く切ってきて」と、オイ作からすみに過激に反応する。 H氏は、毎年からすみをあげてる人々のうちのひとりなのだ。 いそいで席を立ち、出来立てホヤホヤのからすみを切り分ける。

オイがカラスミをテーブルに出してから急に勢い付いたのが、同席していたこの付近の自治会長だとかいう年配の人物で、どうもカラスミに対して言いたいことがあるらしい。

その藤村俊二似の自治会長さんのコメントを以下に記す。

ほー、カラスミかね。(一口かじる) うんなかなかのものだね。 しかしこのからすみ、買うとどうしてあんなに高いのかね。

私はね、カラスミには絶対金は払わないと決めているんだよ。 オイくん、カラスミの発祥を知っているかい? いやいや名前の由来ではなくて、どうやって日本で作られるようになったのか、だよ。

からすみはな、戦後、作られるようになったものだよ。 戦後まもなくは、原材料のボラがなかなか手に入らないことも多く、その希少性から高価なものだったのだが、現在はどうだ。 ボラはいくらでもいるのに、カラスミは高いというイメージだけで、べらぼうな値段をつけてやがる。

カラスミよりもウマイものなんていくらでもあるんだよ。 だからね、カラスミを高い金払って買うよりも、それと同じ金をだして、イイ肉でも買うんだよぼくは。

と、このように、自治会長はおっしゃる。 この話が真実なのか、そうでないのかはまったく気にする必要もないし、人それぞれの思いがあるだろうから「はぁ、そうなんですね」と返事をしただけだった。 この話の最中、自治会長氏はひたすらカラスミをつまみ続け、オイとH氏の食べる分がなくなったことも書き加えておこうか。

オイはカラスミが好きだ。 優雅な曲線で形作られ、適度にカチカチしていてなんだか玩具の性質を持ち合わせており、切ると美しいオレンジ色がまぶしく、つい懐に忍ばせたくなる。 自家製だって素晴らしいが、プロの手によるものは、尚いっそうのことである。

後日、オイは長崎の唐墨専門店「高野屋」に出向き、小さめのカラスミを購入してきた。 オイが自作しているものとは美しさが断然違い、風味もよかった。 こうやってプロの技に感動しつつ、来年の自家製カラスミ作りの糧とするのだ。

高野屋

2007/05/03

ますだ製麺:手延うどん

食品売り場をウロチョロするのは実に楽しい。 荷物持ちとして嫁の買い物につき合わされるのは非常に苦痛だ。 時間の概念がおそらくオイと嫁では違うのではなかろうかと思えるほど、長時間、ダラダラと買い物を続ける。

とてもじゃないが、それにイチイチ付き合ってはいられないので「買い物が済んだら電話ちょうだい」と言い残し、単独行動をはじめる。 夏に向けて取り寄せていた、メレルのサンダルの代金を支払い、地下食品売り場に直行する。

エスカレーターで地下に向かうと、食品売り場のにぎやかな光景がよくわかる。 広場では催し物が開催されていて、人が沢山集まっている。 とりあえず、何の目的もなくその人ごみの中へ向かう。 必死の形相で、ここぞとばかりに竹輪の試食を食べまくっているおじさんや、もう少し安くならんのかと、ムキになって交渉しているおばさんがいて、非常に活気がある。 たのしい。

肉売り場の前を通り過ぎながら、どんな肉が売られているのかを横目で見る。 立ち止まってしまうと、買う気満々とみなされ、もしも買わなかった場合、非常に気まずいという話になるので、横目で通り過ぎざまに肉を吟味していたのだが、ちょうど進行方向から、ウインナーの試食を急に差し出されたものだから、立ち止まってしまった。 「いや、けっこうです」とかいいながらも、じっくりと肉を観察することができる好タイミングにめぐり合えたわけだから、すばやく一通りの肉のグラム数と値段の兼ね合いをチェックし、丸腸等臓物系が国産にも関わらずお手ごろ価格だということがわかり「丸腸とシマ腸、それにミノを300gずつ下さい」と、購入に至る。

お買い得の臓物を下げながら冷凍食品売り場へ向かう。 これはオイの用事ではなく、ヨメからの指令である。 今日は冷凍食品が4割引だとかで、買わないテはないのだそうで、とりあえず目につくものがあったら買ってこいとのこと。 特に目につくものはない。 冷凍のお好み焼なんていらない。 しかし4割引だなんて、ずいぶんと引いたものだねなんて驚いていたのだが、あとで嫁に聞いてみると、世の主婦はもはや、4割引程度では揺らがない心を持っているのだとか。 5割引ぐらいでないとインパクトはないのだそうな。 しかしこの話はあくまでも嫁が言うことなので、信憑性に欠ける。 あれ、そういえばアイスも冷凍食品なんだ。 安いな。 とりあえずちっこいチョコアイスと抹茶アイス、それにドデカいリーベンデールを購入し、冷凍食品売り場を離れる。

鮮魚売り場では「生皮鯨100g○○円」なんてのが特売で出されている。 生なんていうのは珍しいぜ、ということで、300g購入。 「何グラムになさいますか?」なんて尋ねられると、つい300gと答えてしまう。 200gではなんだか少ないようだし、400gでは少し多いような気もする。 そこでとっさに300グラムと答えてしまうのだ。 これを300グラムの法則と勝手に名づけて一人で活用することにしよう。

「ポイント5倍~」なんて店員が叫びながら横切る。 別にこの店のポイントカードを持っているわけではないので、5倍だろうが10倍だろうが関係ない。 まったく購買意欲をそそられることはないのだ。 自分が買いたいものだけを買うのだ。 しかしポイントをためておられる方々にとっては、5倍は大きい。 買い物するといつもの5倍ポイントがたまるのだから、いっそのこと買いだめしておこうなんて考えてる主婦も多いのかもしれない。

野菜売り場で本ワサビを吟味していたところ、隣の人とぶつかった。 服装からみてどうやら従業員のようで互いに「すみません」と言い合い、すれ違う。 どこかで読んだが、その店の従業員が買い物をしているお店は、優良なお店の証なのだとか。

酒売り場にも寄ってみようかと思ったが、長くなりそうなのでパスしよか。

おっと、ホントに書きたいのはうどんについてだった。 うどんだウドン。 ウドンとそうめんは食ったことがないものを見つけると、とりあえず買ってみることにしている。 乾麺コーナにズラリ並ぶうどんとそうめんを眺めていると、どこかで聞いたことがあるような名前のうどんがあった。 ますだ製麺である。 しばらく考えてみて、美味しんぼ長崎編に載ってたお店だということを思い出した。 じゃあ今日はとりあえずこのうどんを買ってみようか。

masuda

購入したのはますだ製麺の五島手延べうどんであり、パッケージの能書きを見ると、天皇陛下が、五島にいらした際に、供された特別のうどんを再現したものだということらしい。

それをパンフレットに書いてあるように、地獄だきにして食べてみる。  うどんをグラグラ煮えたぎらせて、鍋のまま食卓へ運び、そこから熱々のウドンをすくい、生卵を割り落とした醤油でススル。 コシがありツルツルツヤツヤなのは、五島椿油を使用して作られているからなのかもしれない。 細めだし、ウマいしということで、一瞬でなくなってしまった。

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ますだ製麺公式サイト

2007/05/02

からすもりな息子

息子はマイペースである。

からすみ仕込みに忙しいオイの横に来て、じゃがむ。 「何やってんの?」と聞かれる。 「あのね、カラスミを作ってるんだぜ」と答える。

「からすもり?」いやいや。「かーらーすーみ」「え?からすもりー?」

あー、そうそう。 からすもり。 大して違わないしまあいいか。

できあがったカラスモリを肴に飲酒していると息子が近寄ってくる。 「からすもりうまい?」 すこし食べさせてみる。 息子、大変気に入ったらしく、大声で遠くにいる嫁に「マーマー、からすもりうまいー」と感想を述べる。

再三にわたり、からすもりをちょうだいとせがまれ、その都度食べさせてあげる。 それがヨメにバレる。 「塩分とりすぎ!」なんて健康上の注意をされる。 「大根といっしょにかじってるから大丈夫だし」とスカす。 翌朝起きてきた息子は、いつもよりもやけに顔がムクんでおり、やはり塩分とりすぎだったのかな、なんて少し反省した。

磯遊び

ポカポカ陽気だし、息子をつれて、海にでも行ってみようか。 潮がひいており、浅瀬がたくさんある。 磯遊びには絶好のタイミングだ。 カニが横歩きしている姿に興奮した息子は、それを追いかける。 穴に逃げ込まれる。 はいつくばって穴を覗き込み、カニが奥に隠れているのを確認する。そして小声で「おい、パパ、ちょっとこっちに来い。 カニが隠れているぞ、捕まえろっ!」とオイに指令を出す。

息子は今、またいつものように、何か特撮モノのヒーロになりきっているのだ。 そんなときは、オイに対する言葉が命令口調になる。 オイは「ハッわかりました!」と言われた通り、穴の中のカニを引き出そうとする。 しかしカニだってそう簡単に捕まるわけにはいかない。 穴の奥で、必死にがんばっており、棒きれでほじってもでてこない。 時折その棒切れをはさむのだが、その瞬間こそが、引きずり出すチャンスだ。

しかし何度トライしてみても、カニはでてこない。 その様子にしびれをきらした隊長(息子)は「どれ、ちょっと貸してみろ」と、棒きれを指差す。 棒きれを渡す。

棒きれを穴に差し込んだ息子はこう言う「カニー、はさんでー」隊長は、カニと会話ができるのである。 オイは力ずくでカニをほじくり出そうとした。 隊長はカニにその大きなハサミでちょっと棒きれをはさんでみてくれないかとお願いした。 なんだかイソップ物語の北風と太陽を思い出した。

2007/04/30

初節句は檀流で

sekku

姉の子供が初節句を迎える。

「寿司をとって、近所の居酒屋に刺し盛りをお願いして・・・、ピザとケンチキも手配しとこうかな。 さてあとはどうしようか?」と姉が言う。

チョイ待て。

せっかくの初節句、自ら手料理を振舞わなくてどうするんだ。 あなたのカワイイ息子のために、皆それぞれ足を運んでくれるのでしょう。 少しは自分で作りなさいよ。 わかった?

といってみても、まるでヤル気はない。 「だってさーメンドクサイじゃん。」

んもームカツイタ。 大事な甥っ子の為、オイがひとつ手料理っちゅうものがなんたるものなのかを教えてあげようではないか。 うまく作れなくたっていいんだ、見た目が悪くったってイーんです。 手作りでもてなすというところに、意義があるのだ!

どうせやるならば、あまり皆が食ったことがないようなものであり、なおかつウマイものを作らねばならぬ。 さて何を作ろうか。 うーん、中華。 中華だよ。

愛する檀流クッキングには中華風が多い。 しかも珍しげ。 具入り肉チマキなんて節句にピッタリじゃないか。 前菜用レバーや、ツユクナムルなんてノンベエにきっと喜ばれると思うし、鶏の白蒸しを丸ごと一匹供すると、豪華でないの。 ちゃんぽん東坡肉を作って長崎らしさをアピールし、杏仁豆腐はきっと子供らも好きなハズ。

よっしゃ、これ全部作ってみようっと。 材料費は、オイのおごりですたい。

2007/04/29

心平そうめん

spsomen

ごま油、塩、米、水だけで作る心平粥というのがある。

ごま油と塩の組み合わせがメチャウマイうということは、ピェンローを作ってみるとよくわかる。

呑みながら、今日のシメは地獄炊きそうめんにでもしようかなと思案していて、フと、心平そうめんを思いついた。

湯をわかす。 そうめんを入れて、茹でる。 程よい固さになったころ、ごま油と塩で味付けをして、丼に盛る。 ススル。

非常にカンタンだから、酔ってても作れるし、何よりも美味。 当たり前のことだが、ピェンローのように七味をパラパラやってもイケルし、ネギを散らしてもうまい。 地獄炊きそうめんのように、そうめんを茹でてる最中に味付けをしたが、茹で汁は捨てて、トリガラスープにごま油と塩で味付けしたものをスープにしてみると、もっと本格的にウマイに違いない。

最近イチ押しの、シメである。

2007/04/28

豚骨の入った大鍋

honebuta

あっさりとしていて、和風だしの効いた豚骨ラーメンを食べさせてくれるお店があり、数年来のお気に入りである。

その店の支店が、よく行く知人宅のすぐ近くにあるものだから、しょっちゅう通っている。 オイ一家はもはや顔なじみで、入店すると、すぐに子供用の椅子を持ってきてくれるというサービスの徹底振りにはいつも頭がさがり、子供にはアメちゃんをくれたりもする。 もちろんラーメンは美味しいし、ともかくいい店だ。

この前、いつものように知人宅でたらふく飲んで、帰りにそのラーメン屋へ直行した。 満面の笑みで出迎えてくれるスタッフ。 すがすがしい。 その笑顔にチップを払いたいくらいだ。 「チャーシューメン3杯でよろしかったですかね」なんてこちらが注文せずとも覚えてくれている。 「はい、その通りです。 3杯お願いします」と、返事をする。

「いやぁー今日も楽しかったね。 ラーメン食って帰ろうな!」と、息子らと雑談をする。 子供用の取り皿がすでに運ばれてきており、その器を前に、レンゲを持ってラーメンを到着を待ちわびている息子。

「うーん、今日なんかちょっと遅いな」

チャーシューメン3杯が、なかなか出来上がらない。 いつもならば、ものの5分で運ばれてくるそれが、今日は10分待っても来ない。 超満席ならば話はわからないでもないが、あいにくガラガラである。 どうしたんだろう。 「ラーメンまだー」と息子。

しびれをきらしたオイは、反り返って厨房の様子を確認する。 なるほど。 いつも厨房内には3人のスタッフが常駐しているのだが、今日は一人しかいないでないの。 しかも、その彼は初めてみる顔である。 新人なのか。

新人風スタッフは、別にテンパってる様子もなく、もくもくと作業に没頭しているようである。 店内の客は、オイ家と、その直前に入店したカップルのみである。 どうやらそのカップルのラーメンもまだ運ばれていないらしく、不満げに厨房を覗き込む男。 少しオイと目が合い、言葉は交わさなかったが「なんか今日遅いっすよね」という互いの心が通じ合ったような気がした。

15分待った。 もはや前代未聞の大騒動である。 なんで2組の客しかいないのに、ラーメン作るのがこんなに遅いのだ。 おかしい。 店員がひとりしかいないからなのか、否、一人でも十分対応できる客数のはずである。 「ムギーッ」と歯軋りし始めた頃、ようやくラーメンが運ばれてきた。 「お待ちどうさまでした」ほんとだよ(心の声)

ようやく到着したチャーシューメンに、オイ一家の鼻息は荒い。 4人でいっせいにススリコム!「あれ?」

麺が、ニュルニュルに、柔い・・・・・・・・。 「麺柔め」なんて注文した覚えはない。 普通の固さでよいわけだが、柔すぎる。 まるで茹ですぎたソーメンのようなのど越しである。 明らかにこれは失敗だ。 いつもより3倍遅く運ばれたラーメンは、いつもよりも3倍麺が柔かったのだ・・・。

厨房にいるたった一人のスタッフにしてみると「麺の固さ普通」というのは、この固さになるのか。 解釈のしかたは人それぞれだが、これはあまりにもヒドイ。 柔いなんてもんじゃねぇ、これは失敗作である。 一から作り直せ、責任者でてこい! と、おもわず取り乱しそうになったが、まあよい。

「替え玉、バリ固でお願いします」

普段バリ固なんて注文したことはない。 普通で一向に構わないのだが、今回は特例だ。 対見知らぬスタッフ用の策なのである。 さあ、オマエのバリ固は、一体どのくらい固いんだ。

さっきから言うように、店内の客は2組だけである。 ガラガラだ。 そしてオイは替え玉を注文した。 だが、いくら待っても替え玉が出てこない。 バリ固ならば、ほんの数十秒茹でただけで完成のはずである。 それがどうしたものか。 来ないのである。 5分。 8分。 10分待って、替え玉が到着。 さすがにオイも笑ってらんない。 「ちょっと遅すぎやしませんか?」と抗議すると「本当に申し訳ありませんでしたー」という。

肝心の替え玉の状態はどうか。 ニュルニュルである・・・。 バリ固を注文したハズなのに、柔柔の麺が運ばれてきたわけだ。 これは明らかにオイに対する挑戦であり、ムカツイタオイは、替え玉をひとくちススリ、席を立ち、厨房のスタッフへ向かう。 「あんたねえ、さっきから麺が柔すぎといういか、とても食えたものじゃないんだよね。 なに考えてんの?」

突然のクレームに、びっくりしたスタッフは、申し訳なさそうに「いやぁー、一応言われたとおりにやってるんですけどね、すみませんでした。」と返事をする。

このラーメン屋の社長は知ってる。 まだ店がひとつしかないときからの常連だからだ。 当時は社長自らが極上のラーメンを作り、オイはそれをススリながら今日まで生きてきたわけだ。 とにかく社長、この厨房スタッフは素人でしょう。 これじゃ、金とれませんよ。

もはやラーメンと呼ぶに値しないコレを食べることを止めたオイ家は、半分以上を残して店を出た。 もうね、絶対こんな店行かんもんね。

所かわって某ラーメン屋。 この店も豚骨ラーメンだ。 某有名店で修行したという大将が一生懸命ラーメンを作っている。 いかにも豚骨ラーメンだというスープの臭味が、オイは大好きだ。 しかし嫁は、キライってほどではないけれど、その臭味がニガテなのだ。 前出の行きつけのラーメン屋が柔々の麺を出すようになった以上、新たな行きつけの店を開拓しなければならないのだ。

久しぶりに入ったこの店には、若干の変化が見られる。 店内のBGMは演歌からジャズに変更されている。 ラーメンが運び込まれる。 あれ、ラーメンも変わっている。 どんぶりがおしゃれになり、下に受け皿がつくようになっている。 チャーシューの配列も以前とは違う。 そしてなにより、スープの臭いがしない。

スープをひとくちススルと、濃厚な旨味があり、以前と変わらぬものだ。 しかし、臭味がまったくなくなっている。 隣の嫁を見ると、臭味が消えているのが嬉しいのか、スープをススリまくっている。

スープの臭味を取り除き、万人向けにしたのであろうか。 ともかく、この店うまいので、今度からこっちに通うようにしようと、嫁との協議で可決。

とまあこのように行きつけのラーメン屋の変化があった。 後のほうの店の、豚の背脂カリカリ揚げをラーメンにトッピングするというのが気に入り、自宅で試してみることにした。 ゲンコツを大量に買い込み、煮る。 下茹でをいつもより長時間行うことにより、わりとあっさりめに作ってみようかと思う。 アクを丹念に取りのぞかねばならないので、しばらくは煮えたぎる大鍋の前につきっきりになる。

掲示板で教えていただいた『ラブレーの子供たち』を手に取り、読みふける。 昔、作家の老舎という人がおり、その人がどうのこうのという話が書かれてあった。 「はて? この話、どこかで読んだことのあるような気がするな」

アクをすくいながら6分ぐらい記憶をたどると、開高健の『最後の晩餐』で読んだのだということを思い出した。 ちょこっと引用してみる。

重慶か成都か、どこかそのあたりの古い町に、何でも、部屋一つぐらいもある巨大な鉄の釜をすえつけた家があり、この百年か二百年、一日として火を絶やしたことがない。 野菜だの、肉だの、豚の足だのを手当たり次第にほりこんで、グラグラと煮る。 百年、二百年そうやって煮つづけてきたのだ。

客はそのまわりに群がって、茶碗にすくって食べ、料金は茶碗の数で頂く。 その釜はどんな色をしているのか。 汁はどうなっているのか。 何をほりこむか。 いつ、ほりこむか。 野菜は。 肉は。 どんな客が、どんなぐあいにたったり、すわったりするか。 何杯ぐらい食べるか。 何の話をしながら食べるか。 そういうことを老舎は微に入り細にわたり、およそ三時間近く、ただその話だけをした。 その話ぶりにはみごとな生彩があった。

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