熱
三年前新宿での出来事。
出張二日目の朝、目を覚ますと体が鉛のように重たく、頭がマグマのように熱い……昨夜の酒が残っているのではないこれは、風邪だ風邪。 スマフォに手を伸ばし、近隣の病院を検索した。
地図を見ながら這うようにしてたどり着いたのは、かなり古びた、こう言っては申し訳ないが廃屋みたいな個人医院だった。
もちろん普段ならば別の所を探すが今はもう、生きているのがやっとであるほどツライ。 それにしても都会のど真ん中にこんな場所が存在しているなんてエモい。
薄く所々濁った、面が均一ではなくデコボコしているガラスの嵌められた、かすれた医院名が残る木の扉を引いて靴を脱いで「受付」と書かれた札の掛っている小窓へと歩いた。
そこには誰も居なかった。
見回しても患者もおらず、シンと静まり返っている。
「あのー、スイマセン。 診てもらいたいんのですが」
と声を投げればヒョイと顔を出したのは、白髪の痩せたお爺さんだった。
( 続きを読む → )






