伊王島
むかーし親父に連れられて伊王島に行ったことがあった。
船着場に着くと、親父の友人が出迎えてくれた。 その方の家まで歩いたのだがその道中、行き交う人々が皆知り合いであり、声をかけてくることに驚いた。 「もしかしてこの人は何かしらの有名人なのではなかろうか」と見上げつつ顔をしげしげと眺めたことをよく憶えている。
真っ青な海である。 そそくさと海パンに着替えたまではよかったが、慣れない岩場に立たされ、四方を囲む海原のスケールに圧倒され、たたずむばかりで飛び込むことができない。
もじもぞしている傍らで、突如友人氏は自分の娘を抱えて、海の中にぽーんと放り投げた。 「このおっさん、なんちゅうことを!」と思いきや、放り投げられたほうはなんのその、「ギャアキャア」いいながら喜んでいる。 いつもこうやって遊んでいるのだろう。
その光景を見て、ようやく海に飛ぶことができた。 忘れられない素敵な一日だった。
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