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2006/11/28 野菜

折れた大根

dkn

オマエどんだけオンチなんだよ。 という人物に会った。

結婚式そして披露宴はおめでたいものではあるが、いくら11月つったって、毎週のごとくあっても困るわけで。 いささか食傷気味の披露宴に(いやメデタイことは確かだよホント)、その日は向かったのである。

スピーチは短くて、その他トントン拍子に進み、今回の披露宴は、酒にはやくありつけそうだ、ウヒョ。 なんて考えてたら甘かった。 乾杯の音頭が長ーいのである。

「えー、Yさんは、Kさんとの、えーっ、アレであって・・・。 本当に・・・。 お二人とも・・、仲がよくて、まるでキャッチャーミットのように、Yさんを・・・、つつんであげてください乾杯!」

と、最後はいささかテンパりながらの乾杯をなされたわけだが、キャッチャーミットのようにて。 ま、いいか。 食べよう。 グビグビ飲んで、にぎやかなご一行が裸踊りなんかを始め、ビールをノメノメの注がれ、楽しい。 そして余興がはじまる。

いたって普通だ。 カラオケなんか歌ったりして。 Yさんおめでと! とか叫んだりして。 ダンスもなかなかよい。 バンドだって上手いよ。 そして、この余興の最後に登場する人物の紹介をDJが始めた。

「え、この人はね、え、NHKのど自慢大会で、え、かなりのキンコンカンを鳴らされた好評価な人物でね、皆さん期待してくださいそれではどうぞ!」

「ボエぼえぼえー、ボエボエビー、グーガー。 ビービボー、ボー、ボーバァーベェーたーりーぎーりーだねー。」

と、耳をつんざく大音響。 たしか流れている曲は、アムロナミエさんの、キャンユーナントカ、だと思うのではあるが。 それがどのように聞いても、「ボエボエ」としか聞こえない。(事実) そんな歌を聴かされたんじゃ、オイはもはや笑うしかなく、ゲラゲラと喜んでいたわけだが、ふとあたりを見回してみると、会場の3分の2は引いているようだ。 いや、ごく少数のコアな人間にだけウケているといったほうが近い。 親族席のおじさんたちの顔には、怒りの色すら表れてるようだ。 こりゃ、ヤバいのではないの。

そんなことはお構いなく、ひとり壇上で気持ちよく歌っている男が、2番を歌い始めようとする瞬間、数名の男が駆け寄り、そのオンチ氏は、幕の後ろへと引きずられていった。

とまあこんな楽しい席だったので、酒が進んで飲みすぎた。 すこしほろ酔い加減で帰宅途中に、遠くからオイを呼ぶ声がする。 「おーい、オーイ、おいでー。」 よく見ると、近所のお婆ちゃんが、家庭菜園で、叫んでいる。 近寄ってみると、大根をもって帰れという。

その畑一面は、全て大根が植えられているのだとか。 普段スーパーでばっかり買い物していると、植わったままの大根なんか目にする機会がなく、一目でそれが大根だとはわからない。 しかし、葉っぱの根元を掻き分けてみると、ちょびっとだけ、例の白いぶっといのが土から出ている。

「ほら、よか大根の植わっとるけん、2、3本抜いていけ。」と婆ちゃん。 「あらホント、よか大根たいね。 でもね、今服装が服装やけんさ、また今度もらうけん。 酒も飲んどるしー。」とオイ。 でもどうしても今持っていけとウルサイので、しかたなく、大根を抜いてみることにした。

適当に1本の大根を選び、葉っぱをかきわけて、抜く。「アレ?」抜く。 抜けない。 大根って、なかなか抜けないものだということを、今日始めて知ったわけだ。 「あーその大根は細かよ。 もっと太かとば抜かんばさね。」とか婆ちゃんにツッコまれながらも、「イヤイヤ、オイはこの大根ば、抜きたい。 抜けないまま放っておいては男がすたるよ。」とかなんとかワケわからんことを言いながら、ネバって抜こうとしてみるも、その大根、なかなか抜けない。 なんで?

少しカンシャクを起こしてグリグリ無理やり引っ張ったら、掘れたことは掘れたんだけど、先がポッキリと折れてしまっているわけ。 これじゃ大根抜き失格だと婆ちゃんはいう。 じゃあばーちゃんが抜いてみろ、と言うと「どーれ」とスローな動作で大根をつかむ。 グイッ、ボソッ。 と、キレイに根っこから抜けたのである。 なんでもコツっちゅうものがあるわけだ。

しかし、自分で食べる大根ぐらい、自分で抜くことができねば話にならぬ、ということで、もう1本だけ抜かせてもらうことにした。 今、目の前で婆ちゃんが上手に抜くところを凝視していたので、イメージは完璧である。

イメージは大事である。 昔本で読んだ話に、鶴の飼育についてこう書いてあった。

とある若者が、とある動物園に就職した。 その若者は、獣医の免許をもっていて、動物にはそれなりに詳しいつもりだ。 最初に任された仕事は、鶴のオリの掃除係だった。 毎朝、動物園がオープンする前に、オリの中をきれいに掃除するのだ。

掃除はその若者と、前任者のこの道50年の老人が行う。 掃除の手はずは、老人によく聞いた。 若者は、鶴が2羽飼育されているオリのカギを開け、腰をかがめて入る。 そして竹ぼうきで床を掃除しようとしたその瞬間、鶴がバタバタと羽を広げて狭いオリ内を暴れまわる。 とてもじゃないが掃除どころではない。 鶴は怒っているのだ。

あわててオリから抜け出した若者は、すっかりビビッてしまった。 それを見ていた老人は「どれ、ホウキを貸してみなさい」と言うと、オリの中へ入っていった。 そしてオリ内の掃除を始める。 鶴は少しも騒がない。 老人なんて、まるで意識をしていない。

若者は考えた。 これはきっと、老人がその道50年のベテランだからである。 鶴が慣れているから騒がないのだきっと。 オレもじきこうなるだろう。

しかし、2年が経ち、3年が経っても、鶴はいっこうに若者に馴れようとはしない。 老人とまったく同じ手順にて掃除しようとしているにも関わらず、である。 そして若者は、老人の掃除をする様子を、じっと観察した。 するとあることに気が付いた。

老人をよく見ていると、なんだか仕草が鶴と似ている。 ホラあの歩き方やリズム、そっくりだ。 そういえば老人は細身で、背格好も鶴と近い。 あ、さらに時折老人がみせる、胸についたホコリをはたく仕草は、ツルのそれとソックリではないか! わかったぞ! 老人は、ツルになりきっているんだー!

と、若者はヒラメキ、そのように老人に尋ねてみた。 すると老人は、特別意識はしていないが、長い間接するうちに、鶴に似てきたのかもしれない、と言った。 そういえば、老人はオリの外にいるときも、どこかしら鶴のような動きをする。 そうなんだ。 鶴になりきることが、大事だったんだ。

と、若者は、鶴になりきる訓練を始めたのだとか。

とまあこのような話もあるし、オイも婆ちゃんになったつもりで、すこしボーッとした表情で、スローに、根っこをおもむろに握って、ブチッ。 あ、折れた。  と、結局上手に抜くことが出来なかった2本の大根を、泥まみれになりながら、持って帰った。 ブリ大根でも作ろう。

※今年は大根が取れすぎて、相場が例年の半分以下になっており、農家の方々は大根を廃棄処分しているとかいうニュースをテレビで見た。 非常にもったいない話である。 どうにかならぬものか。

2006/11/25 webで買い物

佐藤養助:稲庭饂飩

inaniwa 佐藤養助:稲庭饂飩

とあるデパートの地下食品売り場にて。 オイは「しょっつる」を探していて、なかなか見つけることができずに、売り場のおばちゃんに尋ねてみた。

「あのー。 シ、しょっつるって置いてますか?」

おばちゃん:「はぁ? しょっつる? ないです。 ナンプラーならあると思いますが、場所はどこかわかりませんので他の人に聞いてください。」と、冷たくあしらわれた。 そのもはや初老にさしかかろうとしているであろうおばちゃんの、不親切さに、失望した。

しょっつるを購入するという目的を果たすことができずに落ち込んだオイは、そのデパートの出口へと向かってズルズルとゾンビのように向かっていた・・。

突然、なんともフレッシュな香りが左側から漂ってきた。 顔だけそちらを向けると、「お酢」を試飲販売していた。 「お、お酢。」そうか、サッパリするもの悪くないということで、お酢の説明をひととおり聞いて、1本購入する。 黒酢である。

そのお酢屋さんは、話好きである。 酢は買ったので、もはやここには用はない。 早く立ち去りたいのではあるが、食品談義が延々と続く。 酢屋:「世の中、食品添加物だらけです。 そこらの酢でさえ、何が入っているのかわかったもんじゃ、ありません。 きちんと本物の食品を口にしておかないと、年取ったときに体がボロボロになります。 ですので、ウチの酢を、毎日ちょびっとづつ飲んで、健康体でいてください。 あ、お酢がなくなったら、また買いにきてくださいね。 それはそうと、このジャム、ウチのお酢で作っているんですよ。 添加物は一切なし。 いかが? 普通ね、シャムっていったら、増粘剤っていうのが入っているんですよ。 え?なんでかって? それはね、ジャムの水増しをするためです。 増粘剤を半分ぐらい入れると、原料のジャムが半分ですむので経済的でしょう。 儲かるでしょう。 フフフ。 でもうちのジャムは、そんなもの一切使っていません。 正直に作っています。 いかがですか? ジャム。」

と、早口でまくしたてられる。 話はよくわかったが、ジャムはいらん。 酢だけでよい。 こういう風に伝えると、酢屋:「あーそうですか。 でも気をつけてくださいね。 無添加食品なんていう言葉はよく聞きますけど、実際無添加の商品なんて少ないのが実情なんですよ。 たとえばね、ほらあのメンタイコとか。 あれはね、ホニャララ○×△■・・・なんですよ。」 オイ:「へぇー。」

(オイのいかにも感心した風のうなずきに、お酢屋は気をよくして、目がギラリと輝く。)酢屋:「それでね! ウドンってあるでしょ、うどんね。 あのウドンっていうのも、冷凍ウドンでもそこそこ美味しいでしょう。 ツルツルシコシコしてて。 あなたの食べているそのウドンの喉ごしって、ホニャララ○×△■・・・だったりするんですよ。」 オイ:「あらそう。」

もはやこれまで。 コイツには付き合ってらんない。 帰る。 歩いて帰りながら、お酢屋の話し方を思い出しながら、なんだかうどんが食べたくなって、うどん屋さんへ向かう。 熱いうどんをすすりながら、あの美味しかった讃岐うどんのことを思い出したりもした。 うどんっておいしいなー。 どうして塩と小麦粉、水だけでつくられているのにこんなに美味しいんだろうかうどんって。 うどんのことで頭が混沌としてくる。 また今日も、うどんを手打ちして食べようかな。 いやいや色んなウドンを買ってみようではないか。

便利な世の中である。 ネットで「うどん」と検索すれば、山ほどでてくる色んな情報。 もはや、情報が多すぎて、なにがなんだかわからん様相を呈してきた。 でもうどんだし。 そんなに高価なものではないしということで、手当たり次第、よさそうなものを買ってみる。

inaniwaf

大体どれも美味しかったんだけど、喉越しのよさ、コシで考えると、佐藤養助商店の、稲庭ウドンがベストであると思われた。 うどん自体は細いんだけど、「コシ」があるわけだ。 くわしい製法は、佐藤養助商店のウェブサイトを見ていただくと、よくわかる。

佐藤養助商店

2006/11/24 酒肴

炙りアジ

abiruazi

その堂々とした体躯のアジをサッとおろして、その半身に鉄串を打ち込み、直火で炙ると、「バチバチバチッ」と油のはじける音がする。

およそ15秒ぐらい、猛烈な火の中で炙ると、キッチンに香ばしいにおいが充満してきて、よだれがたれる。

炙ったアジをぶつ切りにして、半身の姿のまま皿に盛り、右端から順番につまんでいくと、酒がとまらなくなる。 左端まで全部食い終えた頃には、ベロベロになっている。 ああ今日も、幸せな一日だった。

2006/11/23 おかず

神宗

kansou

その馥郁たる塩昆布を白いご飯の上に乗せて、ほうばる。

薄く細切りの塩昆布になれているせいか、はじめその塩昆布の肉厚さに一瞬 ためらい、歯で噛み切るころには、山椒の香りが散る。

神宗:塩昆布5

塩昆布という普段食べなれたものでも、本気で作るとこうも美味しくできるものなのか、と驚いた。 そもそも塩昆布にさほどウマいマズいがあるなんて思いもしなかったが、創業天明元年、神宗の塩昆布には、まいった。 是非食ってみてください。

KANSOU HOMEPAGE

2006/11/22 衣類

スーツ

背広の語源

ロンドンの老舗テーラー街、サビルロウともいわれる。

スーツのボタン

スーツの上着の袖についているボタン。 あれをつけさせたのは、なんと、ナポレオンなのだそうだ。

しかもその理由というのが、兵士が軍服の袖口で鼻水を拭くのをやめさせようとして、らしい。

丸谷才一著 軽いつづらより

ネクタイの起源

17世紀、クロアチアの兵士が首に巻いたスカーフがネクタイの起源。 ちなみに日本人で最初にネクタイをしめたのはジョン万次郎だと言われている。

大正時代から普及した。

麻生太郎、服装への気配り

ズボンの裾に鉛を入れて、足をスラッと見せる工夫をしているらしい。

惑う星

夜空の星は、通常東から西に空を移動しているが、観察を続けているうちに、あるときを境に西から東に移動しているように見えることがある。

これを逆行とよぶ。

逆行は恒星には起こらないが、惑星(水 金 地 火 木 土 天 海 冥)には起こる。 そもそもこれらの惑星は、逆行して、まるで惑うように見えることから惑星と名づけられた。

-99.9%は仮説 より-

ビリケンとは何か

ビリケンは、アメリカの女流美術家E.ホースマンのによって作られただ。 ある日夢に妙な神様が現れ、自分の姿の像を作り、その足を掻けという。 あくる日、そのとおりの像を作り、よくある男性の愛称「ビリー」と「ケン」をくっつけて「ビリケン」と名づけた。

(読むクスリ 30より)

ナンバ

江戸時代まで一般庶民は走れなかった。とか、昔の剣豪に関してのまるで漫画のような武勇伝は話だけ聞くとどうもウソ臭いというか馬鹿らしくもあるが、甲野氏の文章がわかりやすく、読者を無理に説得しようとしていない所がないので読んでて非常に面白い本であった。

著者は年中着物、どこへ行くにも着物一本で過ごす、と断言している。 その理由は、なんとボタンが嫌いだから。 それだけなのだそうだ。

【グッときた所を引用】

「芸術は何故尊いのか?」それは今も昔も手段が変わらないからである。 武術にも通ずるところがある。

日常生活で当たり前の事とは、時代がすぎると一番忘れ去られる。

「ナンバ」でおなじみ甲野 善紀先生の本『武術の新 人間学』より。

〒の由来

郵便マークに〒を使用しているのは日本だけなのだそうだ。

明治20年、郵政省の前身である逓信(ていしん)省は、T(ていしんのT) を郵便徽章(きしょう)とすることを決めて告示した。ところが告示したあとになってTの字は、郵便連合加盟国間で料金不足の場合に使うマークだということがわかった。

あわてたお役人は、初代逓信大臣榎本武揚にお伺いをたてた。 彼は筆を取ると、Tの字の上に一本線を書き足して〒とした。これならば逓信の頭文字 をそのままとったことになる。

後に官報で、「先に告示したT字形は〒の誤植」と知らせたそうだ。

(読むクスリ16巻より)

甲子園の砂

甲子園の高校野球で、負けたチームが砂を持ち帰るが、あの砂は中国の福建省より買い付けているのだそうだ。

その砂は白砂と黒土が混合されたもので、春は雨が多いので水はけをよくするために、砂と黒土の比率を6:4とし、
夏は日差しが強く、白球が見えにくいので砂と黒土の割合を4.5:5.5とする。

ちなみにプロ野球のナイターでは砂と黒土の割合を4:6としている。

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