予期せぬキャンプ
とある理由でキャンプへ同行することになった。
親子水入らずで過ごすはずだった休日をこのような形でフイにするのはいささか気が引けるが、友人たっての頼みだから断れなかった。
メンバーは10人。 キャンプ場に着いたら、まずはカレー作りからということらしい。その手際を眺めていると、恐ろしいほど危なっかしい庖丁さばきで野菜を切っている人がいる。 見ていてこちらが何度もヒヤリとするほどで思わず「大丈夫?」と声をかけた。
すでに調理に飽きてきた人がチラホラ見えてじき、ビールを飲んでいるのかカレーを作っているのかわからないという仕込みになっていった。 たぶん、完成までにはだいぶ時間が必要だろう。
氷の詰まったクーラーボックスの中からコロナビールを引き抜いて、キャンプ場周辺を散策した。 海を見渡せる高台で、景色を撮ったり寝転んだり。 しばらくしてキャンプ場へ戻ってみると、カレーは煮込みの段階に入っていた。
「なんか水っぽいんです」と鍋の前に立つ女性。
鍋をのぞくと色からして超薄味のサラッサラカレーである。 何故か肉の姿がほとんどない。 味見してみると・・・食えたもんじゃない。 薪を倍増してガンガン焚いて半量以下に煮つめるか、ルーを買いに走るよう助言をした。
キャンプ場では多くの人々が夏を楽しんでいた。 ほほえましい家族の光景が目に入ったので、その人たちの近くに腰をおろして今回唯一つ持参してきたものであるタイガーの魔法瓶を取り出した。 中にはよく冷やしたお気に入りの日本酒を入れてある。 杉の猪口でチビチビやりはじめた。
父、母、娘二人の四人家族だ。
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