極マメ
次男がしきりに釣りをしたいという。 何に影響を受けたのかは知らないが、望みをかなえてあげるしかない。 朝、ポイントに釣具を買いにいった。 念のためにライフジャケットも着せることにした。 アジな麦わら帽子があったので、これもかぶせてみよう。 やはり足元は長靴か・・・全て装着させると、我が子ながらついふいてしまいそうな姿になった。
運転しながら手ごろな防波堤を見つけ、釣りを開始した。 さびき釣りである。 あたりに釣人がちらほら見える。 撒き餌をし、竿をたらしてチョンチョコ動かす・・・竿先が小刻みに震えたのを合図に糸を巻き上げると、ピチピチ跳ねる小魚が鈴なりになって海面からあがってくる。
次男は、はじめて自分で釣り上げた魚に雄たけびをあげた。 釣れた魚は、子供の頃「金魚」と呼んでいた赤っぽい小魚である。 「ザコ」とか「エサトリ」という別名もあったように記憶している。 つまり、釣っても嬉しくない部類の魚なのだ。 でも次男にとっては初めて釣った魚であるからして、愛しいったらない。 すぐさま針をはずし、クーラーボックスに入れると勢いよく泳ぎはじめた。
自信をつけた次男は何度も何度も竿をたらし、その度に金魚を釣りあげた。 時間がたつのを忘れ没頭し、我等の腕は真っ赤に焼けてヒリヒリしてきた。 「そろそろ帰ろう」という言葉にも次男は耳を貸さない。 マズい。
時折「マメアジ」と呼ぶのも恐縮してしまうほどの「アジの子」が釣れる。 南蛮漬けにしたら酒を呑むにはちょうど良いサイズだが、こしらえるのが面倒そうだ。 まあ、それほど釣れるわけでもなかろう、と思っていたら、やけに「極マメ」がかかるようになってきた。 これはひょっとして、帰宅してから大変な作業をしなければならなくなるのではなかろうか・・・。
と、不安になりだしていたところ、それに輪をかける事態が起きてしまった。 近くで釣りをしていたおじさんが釣具をたたんで近寄ってきて、「どうですか、釣れますか」と語りかけてきた。
「はい、釣れますけど、金魚ばかりです。 息子は楽しんでいるんですけどね」と答えたら、おじさんはおもむろに自分のクーラーボックスを開いた。 そこには、おびただしい数の「極マメ」があった。
「うちに持って帰ったら女房に怒鳴られるんだよね、よかったらどうぞ」という。 一瞬ギクリともしたが、次の瞬間にはもう覚悟は決まっており、快く頂戴した。 次男に今すぐにでも帰宅せねばならぬ理由を説明し、山のような「極マメ」を持ち帰った。 疲れたのだろう、次男は少し遅めの昼寝についた。 その隙に、極マメを必死になってさばいた。 キビナゴサイズのアジのエラをとり、ワタを抜く・・・気の遠くなる作業だ。 しかし、完成した南蛮漬のことを思い浮かべながらコツコツやると、そう大事でもなかった。
小さい分、タレが染みるのが早い。 骨も超柔らかい。 一口サイズ。 どこをとっても、文句のつけどころのない南蛮漬けである。 目覚めた次男に南蛮漬けを見せたら、ああ、あれが、こうなったのかというような、やけに満足げな顔をしながらニヤリとした。 その表情はまるでこの極マメ全てを自分一人で釣りあげたかのようだった。
話の筋は次男とオイしか知らないので、そういう事にしてやってもいいけどね。

アジ釣りは楽しいですよね。
俺は釣ったアジをでかいハリとでかいオモリの仕掛けに
生きたままつけて20メーターほど投げてます。
なにかしら大物が釣れますよ。(岩場ではできませんが)
ところでいわゆる「金魚」ですがカラアゲにすると旨いのを
知っていますか。正式名称はネンブツダイです。
あぁー、ネンブツダイという名前なんですねあの金魚。 勉強になりました。 しかも唐揚げで旨いとなると、次回からの釣りが楽しみです。 ありがとうございます。