極マメ
次男がしきりに釣りをしたいという。 何に影響を受けたのかは知らないが、望みをかなえてあげるしかない。 朝、ポイントに釣具を買いにいった。 念のためにライフジャケットも着せることにした。 アジな麦わら帽子があったので、これもかぶせてみよう。 やはり足元は長靴か・・・全て装着させると、我が子ながらついふいてしまいそうな姿になった。
運転しながら手ごろな防波堤を見つけ、釣りを開始した。 さびき釣りである。 あたりに釣人がちらほら見える。 撒き餌をし、竿をたらしてチョンチョコ動かす・・・竿先が小刻みに震えたのを合図に糸を巻き上げると、ピチピチ跳ねる小魚が鈴なりになって海面からあがってくる。
次男は、はじめて自分で釣り上げた魚に雄たけびをあげた。 釣れた魚は、子供の頃「金魚」と呼んでいた赤っぽい小魚である。 「ザコ」とか「エサトリ」という別名もあったように記憶している。 つまり、釣っても嬉しくない部類の魚なのだ。 でも次男にとっては初めて釣った魚であるからして、愛しいったらない。 すぐさま針をはずし、クーラーボックスに入れると勢いよく泳ぎはじめた。
自信をつけた次男は何度も何度も竿をたらし、その度に金魚を釣りあげた。 時間がたつのを忘れ没頭し、我等の腕は真っ赤に焼けてヒリヒリしてきた。 「そろそろ帰ろう」という言葉にも次男は耳を貸さない。 マズい。
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