あこがれ
節分の日、次男(4歳)の通う保育園にも鬼がやってきたらしい。 毎年恒例のことで、 園児たちは怖がりながらも鬼に豆をぶつけ、退散させるのだ。
次男もこれまでに何度か鬼と対決しているのだが、今年は鬼に妙な憧れを抱いてしまったらしく、鬼退治をしたその日園から帰ってくるなり「俺も鬼になってみたい!」と言い出した。
そして家内に明日豆を買ってくるようお願いをした後、せっせと新聞紙でこん棒作りをはじめたのだった。 家内は仕方なしに豆を買いに行ったが、次男からリクエストされていた節分用の丸い大豆はもう店頭に並んでおらず、仕方なしに殻付きの落花生を買ってきたところ、猛抗議を受けた。
家族一同を居間に移動するよう促した次男は「ドアを絶対に開けたらダメだよ」と言い残し、せっせと鬼の準備をはじめた。 鬼の面は園で作ってきたものがあるし、こん棒は長くて太い、立派なものをこしらえた。
さて、こちはら鬼が登場するのを今か今かと豆をつかみ待ち構えているのだが鬼は・・・・・・なかなか出てこない。 しばらくしてから鬼(たぶん)から家内に「ママ、ちょっと」とお呼びがかかった。
家内だけドアの隙間から鬼(たぶん)のいる部屋へ移動する。 しばらくヒソヒソ声が聞こえた後、ドアを開け放ち、現れたのは、家内と鬼、ではなく次男だった。
なんでも鬼の面をかぶり、こん棒を構え、さあ、ドアを開けて皆の前に「鬼だぞ!」と飛び出そうとしたところ、なぜか萎えてしまったらしい。 「やっぱり鬼はイヤだ!」いつものように鬼に豆を投げたいのだと言う。
仕方がないので急遽長男が鬼になり、二度目の豆撒きは決行された。 言い出した本人は豆の投げ役に徹した。