刃
ふらりと鮨をつまみに行った時の事。
「はい、らっしゃい」と出迎えてくれた主人は綺麗な白髪に骨太の79歳。 おまかせのまま、黙々つまんでいたところ、まな板の上に置かれた包丁に目が留まる。
美しすぎる、と言ってよい柳葉包丁で、柄も刃も光っている。 かといって、おろしたての包丁なのかといえばそうでなく、丹念に繰り返し研ぐ事により生まれた独特の緩やかな弧線に目を奪われる。
刃先と刃元はクッとしまり、中はかすかに膨らんだ、極端に言うとカマボコ型をしており、サクを切る際の動きを観察すると、刃全体を用いながら、まるで魚の身肉が刃に吸い付いていくように、あっけなく、滑らかに切り分けられていく。
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