クモの観察
大量の洗いものを片付けていたところ、ハエが飛んできた。 うっとおしいので払いのけたら、調味料の棚へ降りてじっとしている。
そこへやってきたのはピョンピョン跳ねる、小さなクモ。 どうやらハエを狙っている模様。 しばし手を止め、そのやりとりを観察する。
ハエはピクリとも動かない。 クモには気づいていると思われるが、両者の間にはまだ十分に距離があるから、いざとなれば飛んで逃げようなど考えているのかもしれない。 その距離20センチ。
クモは跳ねるでもなく、歩くでもなく、いうなればそう「コマ送り的な動き」でなんちゅうかこう5ミリほどの距離を瞬間移動しながら近づいていくような、実に巧く間合いを取りつつ、両者間3センチになったところで一瞬止まり、サッとハエに飛びかかった。
ハエは複数の腕にガッチリ捕らえられて身動きできない。 そしてそのままエジキとなった。
夏休みの宿題で「雲の観察をしよう」というお題があった次男は困惑していた。
「だって、クモどこにもいないし!」
「だからその蜘蛛でなく!」
という母子のやりとりをほほえましく聞いたばかりの出来事だった。 案外雲より蜘蛛を観察したほうが面白いのではなかろうか、と思うけど。