カチョカバロ
「ほら!これさこれ。」
カミさんはてるてる坊主風の物体を袋から取り出した。
オイ:「何これ?」
カミ:「チーズさチーズー」
へーえ、こんな奇抜な姿をしたチーズってあったっけ、ていうかその奇をてらうところがなんかムカツク。 要は味だよ味。
カミ:「ちゃうちゃう、そうじゃなくてカチョカバロはそもそもこんな形のものなのさ」
オイ:「何?チュパカブラ?」
カミ:「カチョカバロて!」
カチョカバロというチーズらしい。 付属のチラシによるとカチョカバロ(Caciocavallo)とは、イタリア語で「馬上のチーズ」という意味で、馬の鞍の両側に吊るして作ることからこんな形のチーズになったのだとか。
何日か前、タレントがテレビでカチョ(以下略)の話をしていて、どうしても気になったので買ってきたのだとか。
とりあえず今は息子と餃子を焼いている最中なので、明日にでも食べてみようかというと、どうしても今すぐ味見したいのだという。 いつも毒見のような事をさせられる。
雪ダルマのような姿をしている。 封を開ける前は、くびれの部分に紐がグルグル巻きにされていた。 「ほう、これが馬の両側にねえ」紐をつまんで持ち上げると、カチョはうなだれるようにうつむいてブラーン、ブラーンとなんか嫌な場面に遭遇してしまったかのような気にさせる雰囲気を醸し出した。
紐をといて、座りがよさそうだったのでテーブルの上に置いてみた。 カチョはうつむきながら考え込んでいるように見える。 なんだか暗い空気がカチョ周辺に漂っている気がする。
オイ:「カチョ、何ヘコんでんだよ!」と丸い頭を平手でパシリとやったら息子がウケたので、パシパシやってると「早く食え!」とカミがせかす。
いきなり頭から、まるでサトウの切りもちのような表面にかぶりついた。
シャクリと、妙なかまぼこにかぶりついたかような食感がしてちぎれた。 よくかみながら味わうと、これはどこか覚えのある味だということがわかった。 なんだったかな、あ、ピザのときのあのーほら、何チーズだっけ、あの白くてスベスベで浮かんでいるホラ、何あれ・・・・・・モッツァレラ!
「そう!モッツァレッラよ!」とカミは自慢げに言う。 なにやらカチョカバロはモッツァレッラと関係ありげでどうのこうのという説明をし始めたが、意味がよくわからなかったので聞き流した。
「ふーんカチョカバロって、へぇーこんな味なんだ、ふーん」という感想以外思い浮かばない。 美味しいとか、どうとかいうチーズではないと思う個人的には。 これよか、嫌いな人の多い山羊の臭いチーズのほうがよほど旨いし口に合う。
アンパンマンばりに顔をかじられたにも関わらずたいした評価もされなかったカチョには悲壮感があふれていた。 おもわずゴメンといってしまいたくなるぐらい重たい空気。 せっかく餃子で盛り上がっていたのにカチョがきたせいで・・・こんな事ならば出会いたくなかったカチョとは。
カミ:「そういえば、切って焼いて食べてって言ってた」
早く言っていただきたい。 生でかぶりついてしまったじゃないか。 ちょうど餃子を鉄板で焼いている最中なので都合がよい。 「カミさん、カチョを全部輪切りにして持ってきて!」
輪切りで皿に並べられたカチョに面影はない。 だけど食品らしくなった。
カチョを一枚つまみ、鉄板の上に置くとすぐに溶け出した。 そうか、こいつモッツァレッラぽかったからなあ。 あわてて皿にとり、ドロドロのところをつまんでみると・・・旨い旨い。
「この塩気、どこに隠し持ってたの?」とカチョに詰め寄りたいぐらいちょうどよい塩気、これぞチーズだ、という旨味にあふれている。
餃子はとりあえず置いといて、カチョ焼き大会になってしまった。 「おーいカミさん、カチョもうひとついたよね、あれも切ってきてよ!」
何度か焼くうちにコツをつかんだ。 カチョを鉄板に置いて溶け出してもしばらくほっといて、それから裏がえす。 すると見事な、いかにも美味しそうなキツネ色に焼きあがったカチョの姿を拝むことができる。 両面こんがりと焼いて食べるともう幸せ。 こりゃもう、カチョカバロしかないなという感じ。
こりゃ絶対ナス焼きチーズにすると旨いだろうな、と気づいてしまったので、すぐさまナスを切ってきてもらう。 ナスを両面こんがりと焼いてから、上にドロドロのカチョカバロを乗せて食べる。 やっぱりね!旨い! カチョカバロを食べるならばナス焼きチーズに限ると言ってよい。
カチョカバロは焼いて食べると旨い。
※もしも今晩の献立が餃子でなかったら、カチョの可能性に気づかなかったハズ。 そう考えると餃子もまた偉かった。 もしかすると自家製チーズを焼いて食べても旨いもかもしれんとワクワクしている真っ最中。
合鴨のロースト
古い雑誌の切り抜きに合鴨のローストが載っていて、美味しそうだから作ってみた。
合鴨に塩、胡椒をふってこんがりと焼き上げ、わさび漬けとマヨネーズを和えたソースで食べる。
たしかに旨い。 旨いがしかし、合鴨鍋のほうがやはり好みだ。 酸味のあるタレでさっぱりと食べたい合鴨は。 今日は合鴨鍋で一杯やろう。
※鴨の手羽に塩を振り、ショウガの薄切りとともにカシワの葉で巻いて濡れ紙で包み、燃やし火にもぐらせ蒸し焼きにする、という調理法が『あまカラ』にあった。 執筆者は北畠八穂さん。
茹で鶏のスープ
海南チキンライスを作る際、鶏の茹で汁でご飯を炊く。 これがまたウマイ。
ムッチリとした茹で鶏のみを作り、酒の肴にしたい場合、茹で汁はどうするのかというと、スープに仕上げる。
2、3日分の茹で鶏をいっぺんに作っておこうと鶏もも肉を4枚買ってきてヒタヒタの、そう、ヒタヒタの湯で湯がいた。
蓋をして蒸らした後、鶏もも肉を取り出し、個別にくるんで保存した。 残った茹で汁の美しさといったらもう、見てるだけで満足してしまいそうだがそうはいかない。
薄口醤油、塩少々で味を決め、ごま油を数滴たらす。 トリガラを使わずに、かなり旨味のあるスープがとれてしまうことに驚いてしまう。
家族中に大人気であり、子どもたちのは春雨スープに仕上げた。
予想通りおかわりの嵐。
松尾精肉店:チキンカツ
夕月のカレーと共に載っていたチキンカツが気になったので買いにいってきた。 その店は松尾精肉店という。
この店のチキンカツは手羽先、手羽元、要は鶏の腕一本を切り開いて骨を取り除いているもので、手羽先の先っちょがチョロっと出ているところが特徴的である。 持ち帰って揚げるだけになっているものを購入した。 一枚150円。
早速揚げてみる。 やけに大きいチキンカツだ。 揚げたてに塩を振り、かぶりつく。 大きいが薄いチキンカツだということがわかった。 それもそのはず、これは鳥のムネや足ではなく「手」なのだから。
ご飯のおかずというよりも、ビールのつまみにしたいチキンカツだった。 冷凍して常備しておくと便利だと思う。
松尾精肉店
- 長崎市西海町1728-10
- TEL 095-884-2053
- 第一日曜日が休み
とよ田を思いつつ手羽先の素揚げ
東京都目黒区緑ヶ丘にとよ田というから揚げ専門店がある。
唐揚げ一本で勝負している有名店だ。 ひな鶏のみを使い部位は手羽、モモ肉、砂肝の3つ、厳密いうと唐揚げではなく、素揚げになる。 衣はない。 下味なんてものもない。 揚げたてに、塩をパラリと振るだけでもうビールが何杯でも飲めるのだ。
ひな鶏といっても特別な地鶏などではなく、普通の鶏。 揚げ油も普通の。 2度揚げなんてもってのほか、やらない。 塩も普通の食卓塩。 なのに、骨まで食べられる程美味なのだ。
あたかも行った事のあるように書いたが実はない。 行った気分になって家で手羽先を素揚げし、飲んだ。 うーどうしても行きたい。
牛のほほ肉:肉のとみなが
長崎県雲仙市に「肉のとみなが」という店がある。
牧場直営店であり肉が安い。 近くを通ると大体立ち寄り、豚足やモツ系の肉を買いだめしている。
先日は牛のほほ肉が売られていた。 ほほ肉ってめずらしか、ということで購入し、冷凍庫に放り込んでおいた。
ある日酒の肴が底をつき、冷凍庫をあさっていた所このほほ肉を発見した。 すでに買ったことさえ忘れていた。
鯛の頭をカブト焼きにした場合、目玉周辺と同じぐらい好きな部位がホホ肉である。 若干歯ごたえのある食感がたまらん。 だからたぶん牛のホホも歯ごたえがあるのではなかろうか、と推測をし、とりあえず少し切り取って焼いてみた。 味はあるが固かった。 やはり長時間煮て喰う系の肉なのだ。
湯玉のたつ鍋にホホの塊を放り込んで、3、4時間煮込んでみた。 牛すじのように柔らかくなっている。
アツアツを薄切りにしてつまんでみた。 ギュウスジと牛アキレスが混合したような食感であり、味もそんな感じだった。 コンビーフと似ているところもあるようだ。 結論としては旨い。
ポン酢をまわしかけてつまみながら芋焼酎のお湯割りを飲んだ。
たしかグラム100円だったと思う。 おでんに放り込んでも美味しいんだろうなあ。 こりゃ、ちょくちょく買わんばいけん。
地鶏の鉄板焼き
大分旅行のみやげとして地鶏をもらった。
さっそく網焼きして食べる。 地鶏特有、歯ごたえのある食感が心地よく、焼酎をガブガブ飲める。 いい酒の肴だ。
「網焼きする分脂が落ちて、すこしサッパリしすぎている」とカミさんは言った。
そこで急遽、鉄板を引っ張り出してきて、胡麻油に叩きつぶしたニンニク、ショウガ、ネギを加えて焼き炒めた。 塩と七味を散らした。
実際このほうが旨かった。
福辰の酒盗
「酒盗アボカドカマンベール和え」という素晴らしい酒肴がある。 一度食べるとクセになるので、数日間連続で肴にしたりもする。 酒盗の食べ方としてはベスト3に入るのではなかろうか?
と常々思っていた所、最近考え方が変わった。
「酒盗は、そのままつまんで酒を盗まれたほうがよい。」
そう考えるようになったのは、本物の酒盗を食べてしまったからである。 先日デパートの地下食品売り場で偶然手に取った何の変哲もない酒盗の瓶が優れものだった。
原材料にはどうせワケのワカラン色んなものが入っているのだろう、と瓶を裏返すと「原材料名:カツオ(国産)、食塩、醸造酢、みりん、砂糖」というシンプルな表記。 こりゃ、本物の酒盗だ。
たしか120g入りで600円かそこらだったので、2瓶連れてかえることにした。
まさに酒盗の味わいがある。 色んな形の切れ端が入っているところから手作り感がある。 旨い酒盗だ。 レモンを絞りこんでつまむのがたまらん。 この酒盗で「酒盗アボカドカマンベール和え」を作ってみたところ、かえって美味しくなかった。 それぞれがまったく調和しなかったのだ。
本物はそれ単独で食べたほうが旨い。
この酒盗を作っているのは、高知の福辰という会社だ。 サイトを見てみると、今回購入した酒盗は辛口だということが判明した。 甘口もあるが、それには「地酒・みりん・はちみつ・オニオン」が入っているとあるので、根っからの酒盗好きには辛口がいいと思う。
福辰
東海林風チャーシュー豚肩版
東海林風チャーシューを特売の豚肩ブロックで作ったら肉がホロホロしていてかなりイケた。 豚バラよりも油がしつこくない。
エタリの塩辛
エタリとはカタクチイワシのことで、エタリの塩辛はエタリに塩をしてワラをかぶせ、重石をして熟成させた和製アンチョビのようなもの。
「美味しんぼ 長崎編」でその存在を知り、食べてみたいと思っていたところ夢彩都に売っていた。 1パックで400円ちょっとだったと思う。
そのまま酒の肴にするのはもちろんのこと、同封されていたチラシの通り、エタリソースをこしらえて、ふかしたジャガイモにかけてつまむとたまらんかった。
ちなみにエタリソースはオリーブオイル、刻みニンニク、エタリをあわせて火にかけるとすぐに作ることができる。 エタリの塩辛を1パック食べきってしまった後にはパックにエタリ汁が結構残る。 これはいわゆるひとつの魚醤なので料理の隠し味として存分に活用した。
エタリソースでパスタをあえるのもオススメ。 ピザだっておいしい。 西海橋の直売所にて冷凍状態で売られていたので冷凍も可能なのだろう。 我が家の酒肴として、調味料としてハズせない一品である。