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2007/03/29

マニアック立ち飲み屋

一杯ひっかけてから帰ろうかと、行き当たりばったりのお店に入る。

生を1、2杯飲んで帰るつもりなので、ウマイ店に入ろうなんて気持ちはハナからない。 その店は鉄板焼屋だが若干沖縄かぶれのお店だった。

昔よく通ったお好み焼き屋に似たその店は、鉄板付のテーブルが5席ある縦長の店だ。 入り口に一番近いテーブルに、赤いセーターを着てクロブチメガネをかけたスキンヘッドのオヤジが座っており、競馬新聞を読みふけっている。 オイに気づき、見上げながら「あ、いらっしゃいあせー」という。 なんだ、マスターだったのか。

店内のBGMはBEGINである。 突き出しに冷えたお好み焼きが出される。 生ビールを注文する。 少しつまみがほしくなり、ランチョンミートを注文して鉄板焼く。 マスターがお気に入りの泡盛を一杯おごってくれるという。 お言葉に甘える。 ウマイ! せっかくだからもう一杯飲んでみようか。 ウマイ! ハハハ、ウマイ!

オイのみしか客のいない店内で、いつの間にかそのマスターと2人サシで飲んでいた。 なかなか面白い人である。 BIGINの一期一会について熱く語ったり、憂歌団のおそうじオバチャンがたまらなく好きなのだとかいう。 そして完全にマスターが出来上がった頃、実は近くにもう一軒お店を出しているのだと告白する。

ノリで「じゃ、そっちにも今から行ってみます」なんてつい口走ってしまったものだから、マスター同行でその店に移動することになる。

2分ぐらい歩いたところにそのもう一軒のお店はあった。 あれ、外装がなんだか・・・・電車? その店は電車モチーフだった。

真新しい白塗りの店内には、電車の写真が多数額装されている。 灰皿やその他店内の装飾品は、すべて元は電車に取り付けられていたもの、本物である。 そしてBGMは「ガタンガタンーガタンゴトンーキー」なんていう電車が走っているときの音が鳴り響く。

オイ:「ほー、電車っすか」 マスター:「そう、これからの時代、電車なんだよね」

オイは電車に対して人並みの思いしか持ち合わせていない。 が、しかし、マスターの自慢げな語り口に、おもわず相槌を打たざるを得ない。

マスター:「さっきから電車の走る音が鳴っているでしょ。 このCD、オレ大好きなんだよね。 このナントカ線(忘れた)を走る電車の音を聞きながら、このカップ酒をあおるのが何よりも楽しみでね。 ホラ、今カーブを曲がった。 ホラ、今急に速度があがったでしょう」

オイ:「は、はァ。(は?) そう言われてみるとそのような気がします。」 なんだか腑に落ちないながらも、なんとなく返事をする。 その他にも山のように電車に関する話を聞かされた。 しょーがないからカップ酒をあおる。

なにか相づちをしなければ気の毒かな、なんて思って、鉄道関係の知っている事を搾り出そうとする。 オイ:「あ、そういえば昔、銀河鉄道9○9ってあったじゃないですか。 やっぱアレも好きだったんですかマスターは?」と聞いてみると、顔を曇らせた。

マスター:「ボクはね、想像上の話は好きではないんですよ。」 シマッタ。

オイ:「あ、あのですよ、世界の○窓からって番組あるじゃないですか。 あれはお好きでは?」

マスター:「あんなナレーション聞いても何も面白くない。 何をしゃべったかではなくて、何を感じたかというのが大事なんだよ。 山手線でアレをやるならばまだしも・・・・。 」 シマッタ。

オイ:「私事で悪いのですが、昔同級生にオデコの広いのがおりましてね、その彼のことをデコイチなんて呼んでたんですよ。」

マスター:「D51はね、そんなにチャラついたものではないの。 D51のDってどんな意味があるのか知らないでしょう。」 シマッター。

ダメだ。 オイの知識ではマスターを喜ばすことができない。 困った・・・盛り上がらない。 どうしたものか、うーん・・・・・。 あ、

オイ:「そういえば桃太郎電鉄というゲームがあるでしょ。 あれってやっぱハマったりしたのですか?」

マスター:「あー、あれね! 面白いよーアレは。 たまに一日中やってたりするよ。 いいゲームだよあれは!」 ヤッタ。

~20分ぐらい桃太郎電鉄の話を聞かされる。 ちなみにオイはやったことがないし、あまりやってみたいとも思わない。~

オイ:「電車でGOとかいうゲームもありますよね。 あれについてはいかがですか?」

マスター:「あれ作った人は天才。 いいゲームだよあれは!」ヤッタ。

~30分ぐらい電車でGOの話を聞かされる。 ちなみにオイはやったことがないし、あまりやってみたいとも思わない。~

よく考えてみれば、オイは客である。 なんで客がマスターに対して喜びそうな話題を気遣ってフッてやらねばならんのだ。 普通逆だろ。 冷めた。 帰ろう。

オイ:「そろそろ帰ります。 じゃ、この辺で」

なんて伝えると、あわてるマスター。 実はとっておきのネタがこの店の2階にあるのだとか。 どうしてもそれを見て帰れという。 2階にあがってみると、なんとそこには、忠実に、電車の内装が再現されていた。 手すりにつり革、座席に広告。 前面には巨大スクリーンが設置されており、電車のDVDがビッシリと揃えられている。 ここでつり革につかまりながら、カップ酒をあおりーの、DVDを見て興奮しーの、といのが長年の夢だったのだとか。

まさにマスター自身の為に作ったお店だと言っても決して過言ではなかろう。 ある意味幸せな人だ。

2007/03/26

レバテキ

rebateki

激安居酒屋にて」で登場していただいた幹事くん(以下T氏)は、味オンチでもなければボンクラでもない。 たまに、ものすごいお店を教えてくれたりもする。

とある日の18:00を少しまわった頃、携帯が鳴った。 T氏からである。「どや、どや、飲むけ?」急に電話かけられて、どやどや飲むけなんていわれても、なんのことだかサッパリワカラン。 しかもこの人まだ18時なのにすでに出来上がっている様子。 相当飲んでいる。

「えーっと、ナンスカ?」一応用件を聞いてみると、どうやら今から一緒に飲みに行きたいとかいう話のようだ。 なんでもすごくウマイ『トン焼き屋』があるのだそうな。

せっかくのお誘いだったが、この日、オイは家族のためにチキンカレーを仕込んでいる最中だったので、キッパリとお断りさせていただいた。

数日後、再びT氏から連絡があった。 今回は午前中で、しかもシラフでの電話である。 「あーオイくん、この前話したトン焼き屋に行ってみない?」

その日はたいした用事もなかったので、ご一緒させていただくことにした。 しかしトン焼きって豚焼きのことでしょう。 焼き鳥屋ばかり通うよりもいいかもしれん。

そのお店は町外れの住宅地にあり、周囲に街灯が少ない分、店の赤チョウチンがやけにボンワリと輝いて見えた。 普通のこじんまりとした焼き鳥屋さんみたいな店構え。 「ガラガラガラ、タイショ、コンチハ。」T氏はオイに先立ち、いかにも常連風に入店する。 その後にオイも続く。

短く刈り上げた白髪が綺麗な大将はおそらく70代である。 しかし背筋はピンと伸びて、表情は穏やか。 清潔な作務衣姿が様になっており、トン焼き屋の大将には似つかわしくない。 「アラ、このところ毎日だねー」と、T氏に親しげに声をかける。 続けて「ホラホラ、寒いから早く入って引き戸を閉めてくださいよ。 お客さんの体が冷えちゃうよ。」と、早く入店し、入り口を閉めることを促す。 カウンターに座る常連さん達への心配りである。

嬉しいことにカウンターがちょうど2席空いており、そこへT氏とオイは座る。 T氏がビールを注文後、いつものように、まくしたてるように、ダーっと一気に食べたいものを注文する。 が、注文を聞いてくれるニイチャンがまだこっちに来てないので「ちょっと待ってね」と大将に言われる。 慌てんな、常連なんだろ、T氏。

「ウォーイ、お待ち。」と、イイ感じに色落ちしたインディゴのバンダナをワンピースの刀持った人のように目深に頭に巻き上げた、多少気合が入っている風のニイチャンが現れる。 T氏は彼に「ヨオ、元気」と声をかけた後、先ほどの注文を繰り返して伝える。 さらに「ニイチャン、あんたにもビール一杯おごるよ」と、ニイチャンにも景気付けの生一杯を注文する優しげなT氏。 「あーあざーす」と、それにとってつけたような礼を言うニイチャン。

よく冷えた生ビールはすぐに運ばれてきて、突き出しのイカの醤油風味塩辛をつまみながら、我々が注文した串を作る工程を眺める。 いや、眺めたかったのだが、隣のT氏がショーもない話をベラベラしゃべってくるものだからなかなか集中して大将の丁寧な仕事を眺めることができない。 少しイラついたオイは、なんの脈絡も無く「Tさん、見てくださいよあの豚バラの美しさ。 フワー、脂肪の層が素晴らしいッスヨ。」と、大将の仕事を見るように促す。

ここで気づいたのだが、突き出しのイカ醤油風味塩辛がすごいウマイ。 突き出しがウマイ店にハズレ無し。 その逆もまた然りというオイの持論があるが、この店はイイぞ、ウマイぞ、という期待感が高まる。 イカの塩辛は、このように作る(イカの塩辛)わけだが、ワタを塩漬け後、流水で洗い、その後醤油、酒、みりんを合わせた漬け汁に24時間漬け込んでおいて、それをイカの身に和えたものがイカの醤油塩辛である。 この店の場合、イカの食感、新鮮さからして、今さっきワタと身を和えたハズである。 あえてそうしているハズなのである。

「このイカ相当ウマイですよね」とT氏に伝えると「ウメェ、これもうひとつ注文しようぜ」と言う。 同感。

この店の串焼きスペースは非常に短い。 どう長く見積もっても80センチ程度であり、店の入り口横窓際に設置されている。 串焼きの作業は大将以外はやらない。 もっと言うと、大将は、串焼きしかしない。 客の注文も聞かない。 「大将、生もう一杯」なんて目の前で言ってもシカトされる。 注文は、バンダナニイチャンに伝えなければならない。

お店は狭いが区画の取り方が巧妙な為、奥に座敷が2部屋ある。 カウンターの真後ろには小さく小奇麗なカウンターがあり、女性客が4人座っている。 満席の店内だが、串を焼く場所は狭い。 でも串焼きを待ちすぎてイライラしているお客はおそらく見当たらないところを見ると、大将が効率よく串を焼いているのだろうなという憶測が立つ。 目の前で大将が串を焼いている様子をさっきから眺めているが、さほどイソイソ焦っている様子もなく、ズラリ並べられた串を、炭火の上で優雅に転がしている。

「はいお待ちどうさま」串がきた。 ハツとカシラである。 ビールを改めて数回グビグビやり、ハツをがぶり。 ハツとはハート、すなわち心臓であり、プリプリとした食感がステキだ。 しかもこの店のハツは新鮮なのであろう臭味がまったくなく、そして一切れ一切れが大ぶりである。 塩加減もちょうどよく、外側はカラリと焼けているが、噛み千切ると透明な肉汁があふれてジューシー。 こんなウマイハツ、食べたことがない。 ハツ1串中、2切れのハツを食べて感動しているオイをよそに、T氏は次々と串からハツ、カシラを取り外し、コロコロと皿に散りばめる。 それを箸でつまんで食べるのだ。 「このほうが早いで」だという。 オイは別に急いでトン焼きを食おうとは考えていないので、せっかくの串焼きだし、串から歯でしごいて食べたい。

「早く食わな、次来るデ」とT氏。 彼の皿を見ると、すでにハツとカシラは跡形もない。 早っ。 別に昼飯を食いに来ているわけではないのだ。 飲みに来ているわけだから、串焼きは、酒の肴として、ゆっくりと味わいたい。 もっと言わせていただくと、串を一気に注文するのはやめていただきたい。 冷めてしまうではないか。 ゆっくり飲もうぜ。

串の美味しさをそれぞれイチイチ語っていてはキリがないので割愛させていただくが、どれも本当に美味しい。 豚以外だって野菜だってなんだって美味しい。 こんな美味しい串焼き食べたことがない。 もうビールなんて飲んでらんない。 焼酎一本と氷ください。

鳥の串だってある。 鶏レバをレアに焼いてもらって焼酎を飲りながらようやく店内を見回す余裕がでてきた。 これといって何の変哲もない焼き鳥屋然とした店内で、木彫りの熊など余計な調度品は一切見受けられない。 あとで大将に聞いた話では、この建物、元は民家なのだとか。 何っ! 店内に張られた張り紙のなかに『牛レバー刺』を発見。 「ニイサン、レバ刺2つおねがい」

本能のままにレバ刺を注文したオイにとなりのT氏は言った。 「オマエラッキーやなー。 この店はな、レバ刺あっても張り紙なんてせんのや。 だからレバ刺があると知ってる客しか注文せえへん。 それをな、今日はわざわざ張り紙で大々的にレバ刺があると公表しているわけや。 これがどういう意味かわかるか? おまえ。 これはな、今日のレバ刺には大変な自信があるっちゅーことやねん。 いわばレバ刺オススメなわけや。 2人前注文したのは正解やでしかし。」

だ、そうである。

しばらくして到着したレバ刺しは、テカリからして普通のとは違っていた。 色は赤というかほんのりピンク色をしており、店内のスポットの光によって輝いている。 適度な厚みに切られたそのレバ刺しを箸でつまむと、レバ刺しをつまんだというよりも、まるでピチピチのハマチの刺身をつまんでいるかのような抵抗感というか強い弾力を感じさせる。 上質のごま油と塩を少しつけて口に入れると、またもや臭味がまったくない。 レバ刺しが甘い。 食感としてはもはやプリプリである。 美味である。

レバ刺しをもうひとつ注文しようかとも考えたが、やめた。 己の欲望のままレバ刺しを注文し、食べるのはよいが、これほどのレバ刺しならば、より多くの客に食べていただきたいと思う。 独占は悪である。 レバ刺しが嫌いな人だって、これを食べてみると価値観が変わるはずである。 大将、うまいよこのレバ刺し。

この店は獣肉だけではない。 何と魚もうまいのだ。 普通、串焼き屋にある魚の刺身といえば、メニューの数を増やしたいがためだけに置かれているといった感じのものが多く、クオリティーを追求するのはヤボだという、もはや諦めの境地に立たざるおえないという印象を拭いきれないのだが、ここでは魚もウマい。 タチウオの刺身がウマイのだという大将の、言われるがままに注文してみたそれは、盛り付けよし、鮮度よし、味よしの3拍子そろったものであった。 穂シソをセンスよく飾った刺身は美しかった。

というように、この店を絶賛し始めると、キリがないのでここで今回のシメとさせていただきい。 このトン焼き屋で、一番感心したメニューはというと、それは『レバテキ』であった。

レバテキとはレバーステーキの略で、そういうとなんだか洋風のものを思い浮かべてしまいがちだが、これは和風である。 新鮮な豚のレバーの塊に塩コショウで下味をつけたあげく、絶妙の炭火で表面を焼き上げる。 そしてそれをほどよい大きさに切った後、皿に盛り、周囲に醤油とみりん、酒、ザラメを調合した甘たれを注ぎいれる。 そして皿のわきにからしをひとつまみ配置すれば、それだけでレバテキのできあがりである。 からしをこすりつけながら、中身がレアなレバーをほうばると、甘辛いたれの味とレバーのプリプリした食感、風味が渾然一体となり、飲める飲める。

とりあえず3皿食ったこのレバテキは550円である。 久しぶりの興奮した酒肴であった。 しかしよく考えてみると、鶏レバーの煮付けだって、甘辛な味で美味しいんだから、レバーに醤油とみりんの味付けが合わないワケがないのである。

そんなレバテキをどうしても忘れられず、我が家で作ってみたのがtopの写真である。 トン焼き屋では、この写真よりもだいぶ見た目も美しいし美味しいのは事実であるが、テイストはわかる。 今回は新鮮な豚レバーを入手することができなかったので、あらかじめカットされた豚のレバーを使用して作ったが、これでさえ、我が家の酒肴の定番になりそうな勢いである。 オススメします。 ぜひ作ってみてください。

2007/03/25

某ハウス系ラーメンにて

某有名ハウス系ラーメン店にて。

相変わらずいつも行列ができていて、食券を購入後、店の外に設置されたベンチに座る。 ベンチに座れただけでも今日はまだいいほうである。

「ここが最後ですか?」なんていま来たばかりの客に問われ「そうっすよ」と返事をする。 オイの後ろに、新たに2人の客が並ぶ。 店内からねじりハチマキに白Tシャツ、ナイロンベルトに作業ズボン、足元は白の長靴というスタッフが出てきて「えー、食券を購入されていない方は購入されてから並ばれてください」と言う。

「ヤベ、食券買ってなかった」とオイの後ろの2人はつぶやき、あわてて食券を購入しようとベンチを立つ。

ベンチに座りながら、店内でラーメンをススリはじめたお客をボーっと眺める。 皆無言で無心にラーメンをススっている。 時折、水を注ぎに席を立つ者もいる。 会話は聞こえてこない。 チラホラ食べ終わって店を出る客も出始めた。

再びスタッフが店内から現れて「えー食券拝見しまーす」と言う。 ベンチに座ったまま手に持つ食券を見せる。 それをひとつひとつ確認してスタッフは店内へ戻る。

店内にはチラホラ空席が目立ち始めたが、まだ入店許可がおりない。 オイの前に並ぶおじさんは、手に持つ食券をイジリまわし、少しイライラしたように店内を覗き込んでいる。 相当腹が減っているのだ。 早くラーメンをススリたいのである。

スタッフが再び現れ、ベンチに座る客の数を数える。 念を押して2度数える。 そして「はいここまで」と、客の列を割り「お客様どうぞ先頭の方から一列に並ばれて入店してください」という指示が下る。 入店許可がでた客は、無表情を装いつつも、どこかに安堵の表情が見え隠れし、言われたとおり一列に行儀よく入店する。

「はいここまで」と直前で区切られてしまい、入店が次回に見送られた客は、イライラを増幅させながらも無表情を装いつつ、半分腰を浮かせながらベンチの先頭へと移動する。

幸いオイは入店することができた。

食券をカウンターに置く。 そしてすかさず給水機へ向かい水をコップに注ぎ、急いで戻る。 「お好みなどございましたらどうぞ」と厨房内のスタッフが今回入店できた客に一人一人尋ねていく。 「麺固め」とか「油少な目」とか「味濃い目」とかそれぞれ伝える。

太めの麺をほぐしながら、湯へ入れる。 それぞれのお客の好みを聞いたスタッフは、ラーメンを作るスタッフにそれをつたえるのだが、その際、聞いても意味のわからない隠語というか業界用語を用いる。 「はじめの小油多め」「大中小いってその次小固め」(どちらもニュアンスだけのデタラメを例に書いています)

今回オイが来店したときは、どうも新人のスタッフが客の好みを聞いたらしく、テンパってしまった。 「大中小いってその次油多め」あれ? いやモトイ。 「中中小いってその次麺少なめ」ん!? も、もとい。 「大中は麺が・・・・・・。 と、3、4回繰り返し、麺を茹でてる先輩スタッフの顔がこわばる。

そして、海苔が3枚のっかった、豚骨醤油系の太麺ラーメンが出来上がった。 「はい麺柔めおまちどうさま」 カウンターにどんぶりが置かれる。 その客は、キョトンとした顔。「注文したのは、普通のラーメンなんですけど。」

新人スタッフの聞き間違い、もしくは伝え間違いで、客の注文した普通麺ではなく、麺柔めのラーメンが出されてしまったのである。 「お客様大変申し訳ありませんでした。 もう一度作り直しましょうか。」と尋ねるスタッフに、その客は「いや、大丈夫です」と言う。 寛大な客。

そんなやりとりを横目で眺めているところに、オイが注文した大盛チャーシューができあがった。 そう、これこれ。 レンゲを取り、まずは油多めのスープをススル。 うーんマイルド。 すぐさま麺をすすりこむ。

そういや数日前、大勝軒が閉店したというニュースを見た。 実は一度も足を運んだことがなかったわけであるが、やっぱり一度つけ麺を食っておくべきだったかな、なんて後悔もしている。 手許にある愛読書、東海林さだおの『ケーキの丸かじり』に「行列店のラーメンは」という項目があり、大勝軒のことが書かれてある。 大勝軒のスタッフの方々本当にお疲れさまでしたという気持ちを込めて、ここに引用させていただきたい。

以下その項目の大体の内容を記します(未読の方要注意)

「行列のできるラーメン屋」ということが言われ始めてもうだいぶたつが、その嚆矢(こうし:ものごとのはじめの意)は、荻窪の丸福と池袋の大勝軒だったと思う。 2軒のうち、丸福は前に制した。

ずっと気になっていたのが、大勝軒である。 この店の評判は依然として高い。 どうしても一度いってみたいと思いつつ、10年もたってしまったのは、大勝軒の行列の厳しさによる。

いつ行っても最低15人は覚悟しなければならないし、そのうえ営業時間がきわめて短い。 午前11時に開店して午後3時には閉店してしまう。 たったの4時間。

そのうえ大勝軒に並んでいる人々は、ラーメン道のプロ中のプロばかりで、麺道6段、8段なんてのはざらにいるし、一体、どんな人々が、どんな表情で、どんな雰囲気で並んでいるのか。

JR池袋駅から地下鉄でひと駅の東池袋駅で降り、歩いて5分。 行く手に古びた木造モルタルアパート風の建物が見えてきて、その一階のところに行列が見える。 行列の最後尾につく。 店より頭にハチマキの愛想のいいニイチャンが出てきて、行列の人々の注文をとる。 行列の人々は「中華」「もり」「あつもり」のいずれかを口にする。

店内へ。

愛想ニイチャンが客の座るべき場所を指示する。 ニイチャンはぼくにカウンターの一番奥のテレビの下の席を指定した。 その後この席は、店内では「テレビ下」または略して「テレビ」と呼ばれていることがわかった。

4畳半くらいの広さのところに4人掛けのテーブル席が2つ、カウンターの客5人、カウンターが厨房側に折れ曲がったところに3人。 計16人がひしめいている。

厨房内に男性3名、洗い係のオバチャン1名。 ニイチャンを入れて総計21名が集結しているのに、店内に私語はいっさい聞こえず、ただラーメンをすするズルズルという音のみ。 かといって名店特有の緊張感があるわけではない。 熱気、そうです、ラーメンを愛好する人たちの熱気がムンムン狭い店内にうずまいているのだ。

厨房も無言。

テレビなどでおなじみの店主の、白ハチマキの中の髪の毛が白い。 10年のうちに店主も年をとっていたのだ。

フロアマネジャーのニンチャンは、客の顔と注文を覚えていて、「テレビ 中華」と厨房に注文する。 テレビと名づけられた男は、早々と箸を割って中華そばの到着を待つ。 中華そば来る。 まずそのボリュームに驚く。 丼のフチの所まで麺が盛り上がっていて、ふつうの店の2倍はある。 その分スープが少なく、麺をその都度スープにまぶすようにしてすすりこむことになる。 麺はやや太め、つるつるのモッチリ系で、やや茹ですぎかなというタイプ。 スープは東京風醤油系をやや茶色っぽく濁らせた感じで味は濃く、脂っぽいギトギト感はない。 チャーシュー巨大。 赤身系2枚。 味よし。 メンマ多数、おいしい。 レンゲなし、水なし。

ラーメン以外のものは何も要らないという人々のメッカなのだ。

2007/03/23 野菜

シイタケのバター焼き

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デカいシイタケを沢山もらった。

定年後、毎日家庭菜園に励んでいる近所のおじさんは、シイタケの他にもゴーヤ、ナス、キュウリ、キャベツ、白菜、トマト等、様々な野菜をほぼ無農薬で作っている。 そのおすそ分けを季節ごとに頂戴しているわけだ。

どの野菜もおじさんのまじめで実直な性格が現れていて、形がよく、そして美味しい。 オイはもらった野菜を料理にしてお返ししたりもするわけだ。

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デカいシイタケは、バター焼きにして食べた。 鉄板にバターを多めに溶かし、石づきを取り除いたシイタケを放り込む。 そして塩コショウ少々。 ジャーとイイ音を出しながらバターはシイタケに染み込んでいきつつ、まろやかな香りを放つ。 傘の裏のヒダヒダの部分なんて、バターをたっぷりとかかえ込んでいる様子がうかがえる。 仕上げに今飲んでいる日本酒を少量『ジャッ』とかける。

熱々のところをほうばると、シイタケからバターがにじみ出てきてウマイなんてもんじゃねえ。 気が付くと、5つもシイタケを平らげていた。

キノコについて

キノコといえば、日本とか、東アジアでしか食されない食い物というイメージがありそうでもないが、実はヨーロッパ、アフリカ、アメリカと色んなところで食される。

日本ではキノコを『茸』なんて書くが、中国では『菌』と書き、さらにアメリカでは『muchroom(マッシュルーム)』、フランスでは『champignon(シャンピニオン)』という。

そんなキノコを学問的にいうと、食菌という部類にはいり、分類的には微生物になるのだという。 マツタケもシイタケもシメジもエノキもエリンギも、全て微生物なのだ。

微生物ったって、キノコは目に見えるじゃないか。 ぜんぜん『微』じゃないじゃないか! なんていう声も聞こえてきそうだが、待て。 キノコは目に見えないぐらい微細な胞子というのがその本体であり、その胞子から芽が出て、四方八方に伸びていく。 それが菌糸であり、菌糸がもつれあってキノコの形になる。 これを子実体というそうな。

なんでキノコはウマイのか? それは子実体の主成分がタンパク質であり、キノコが収穫された後、自己消化(自然に分解)してうまみ成分であるアミノ酸になるというわけだ。 さらに食べる際に唾液でもタンパク質が分解されてアミノ酸になるわけだから、ウマイに決まっているわけだ。

※さらに、キノコにはうまみ成分である『核酸』も多量に含まれている。 核酸がふくまれている食品としては、鰹節等が知られている。

キノコについては小泉武夫著:地球怪食紀行より

2007/03/19

嫁化する娘

はぁー娘ってなんてかわいいのだろう!!

夕食のときは隣に座り、お互い酒の肴をつまみながらビールと牛乳で乾杯! 時にはお酌までしてくれるというサービス。

寝る時は寝室まで手を引いてくれて逆エスコート。

洗濯籠に汚れ物をシュート! おしいっ! はずれたっ! なんてときには、トコトコと向かい、洗濯籠へきちんと汚れ物を入れてくれる。

お風呂へ一緒に入ると「ハイ、頭洗って。 横っちょも洗ってねー」と、自分がいつも言われているように指図してくれる。

オイの息子、すなわち娘の兄には、まるで母親のように接する。 「あーまたこぼして。 ちゃんと自分で拭きなさい」だとか「お菓子ばかり食べちゃダメ」なんて口うるさく言う。

だんだん成長するに伴い、オイに対しても小言が多くなってきた。

「あーけむたい。 タバコはベランダで吸いなさい」「この部屋男臭ー(祖母のマネ)」「いつまで飲んでんのよ!」「(携帯に電話がかかってきて)早く帰ってきなさい!何時だと思ってんのよ。」「遊びに連れて行け」

まるで嫁である

お風呂に何歳まで一緒に入ってくれるのかとか、決して嫁にはやりたくないだとか、やっぱり反抗期ってあるのかなとか、イロイロ月並みな想像もしてみるけども、ともかく娘がいてよかったな、って実感する毎日。 3人目の子は男だと判明したけれど、もう一人ぐらい女の子欲しいなって思うほど、女の子ってカワイイし。

2007/03/15

三ツ星だったはずのあの店

歩いていると、たまたまあのラーメン屋に出くわした。

赤いどんぶりと、白いどんぶりがあり、赤がこってりで白があっさりめだとかいうあのお店で、昔よく本店にかよったものである。 そうだな、たまには悪くないかも。

そのラーメン屋を発見することができたのは行列のおかげで、いまだに行列ができるほどの人気であることはたしかだ。 10分程度待っている間に、赤いほうのチャーシュー麺を注文し、店内へ。

テキパキ動く女性スタッフ皆感じがイイ。 「ありがとうございまーす」なんて甲高い声が飛び交う。 接客態度も万全。 さすがは名店である。  いやでも待てよ、スタッフの中に新人がひとりいるな。 動きがぎこちないし、時折麺の固さの注文を間違えて、客からクレームをつけられていたりする。 いや大目にみてやれよしかし。 あ、チャーシュー麺がきた。

そうそう、こんなラーメンだったよね。 どりどり、まずはスープをすすって・・・・、アレ? こんな味だったっけな?

想像していた味よりもかなり落ちる味だったことに驚きを覚え、何かの間違いだと自分に言い聞かせるように一玉目の麺を食べきり「替え玉」。

醤油ダレを注ぎ、二玉目の麺をススル。 なんだか麺までもが、以前よりもずいぶんマズくなっているように感じられる。 うーん納得できない。 もういっかい「替え玉バリカタ」で。

三玉目はじっくりと時間をかけて、味わってみたが、やはりなんだか口に合わない。 いわゆるひとつのマズいというものだこれは。 てんでイケナイ。 これはオイが年を重ねてきて味覚が変わったのかも知れんし、その店の味のレベルが落ちたのかも知れん。 とにかくこの店には金輪際もう行くことはないということはたしかだ。

ラーメンの味以外はこれといって文句はないが、ひとつだけ気になったのは、どんぶりについて。 赤いどんぶりが、年月をかさねて酷使されていくうちに、その赤が所々はげてきている。 そのはげかたは、はっきりいてあまり清潔な印象を与えないと思う。 これだけは新しいものに替えたほうがよいかと思われる。 店内には、赤いどんぶり、白いどんぶりがオブジェとして飾られているわけだが、そのどんぶりは、まったく新しいものである。 どうせどんぶりを飾るのならば、いまお客にだしている年季のはいりすぎたどんぶりのほうが、これまでのお店の歴史を感じさせる効果もあり、美しくもあると、思ったりもするのではあるが。

個人的に「三ツ星」だったこのお店の評価は落ちた。

そうそう、三ツ星といえば、あのミシュランの東京版が今年の11月(だったかな)に刊行されるのだそうな。 そのレッドガイドブックの起源は、タイヤメーカーであるミシュランの創設者であるミシュラン兄弟が、モータリーゼーションの時代が到来することを確信し、同社の製品の宣伝のためをかねて、ドライブする際に有益な情報をユーザーに提供するためのガイドブック作ることを思いつき、無料で配布したのが始まりである。(と、辻静雄氏の本で読んだようなきがする)

すんごい楽しみな話である。

日本ミシュラン

2007/03/08

バーでとりつかれる

あれー、たしかこの辺のはずなんだけどな。

お気に入りの酒屋に久しぶりいってみるが見つからない。 その酒屋は、長期熟成酒に懲りまくり、酒屋内に小さなバーを開いたという面白いお店である。 久しぶりに一杯飲(や)ろうかと考えていたのに、そのお店がない。

おそらくその酒屋があるであろう付近をウロウロしてみるが、やはり見つからない。 そのかわりに、その酒屋があったハズであろう場所に、バーができている。 もしかすると本格的にバーに改装したのかもしれん。 とりあず覗いてみるか。

大体外観からして怪しいとは思っていたが、その酒屋とはまったく関係のないbarだった。 「あのさ、ここって酒屋でなかったかい?」スタッフに聞いてみると、やはりこの場所は、元酒屋であり、その酒屋はどこかに移転して、その跡地でこのバーをやっているのだとのこと。 しかも酒屋とは、これっぽっちも関係がないのだとか・・・。

でも入店したものはしゃーない。 ズブロッカ飲んで帰るか。 からすみの盛り合わせもちょうだいよ。

そのからすみが、なかなか上等だったので、つい2杯3杯と飲み続けてしまった。 居たくもないお店に長居してしまった。 帰ろうか。 と、考え始めたころ、やはり隣の男が話しかけてきた。

やはりというのは、オイが入店する前から飲んでいた男で、ずっとオイが飲んでいるところをチラチラ見ていた男だからだ。 その男は、某総書記の息子にそっくりである。 そこがウケて、実はオイも飲みながらその男をマークしていたのだ。

いきなり自転車の話を持ち出す。 購入した電動アシスト付自転車のハンドルがズレて取り付けられていて、そのクレームを自転車屋に言いにいったのだとか。

「は、ハァ・・・」

としか答えようがない。 急に自転車の話をされてもさ、ね。 この後、少しガードの低い返事をしたことを後悔するハメになった。

自転車の話の次は、母親のことについて事細やかに話し始めた。 実はお金持ちの娘だったのだが、結婚した相手(すなわち自分の父親)が悪くて、大変な苦労をしたのだとか、結婚前は美容師さんだったのだとか、いつもバームクーヘンを買ってきてくれるのだとか、最近は太ったのだとか。

「実はワシ、医者に行かなアカンのよ」といきなり方言が変わった。

「ホウ! なんでまた」なんて乗ってあげた。

なんでも、太りすぎにつき血がドロドロで、このままの生活を続けていると、糖尿病間違いなしという太鼓判を医者に押されたのだとか。 そりゃ大変だ。 早く病院に行ってください。

今度は食い物にこだわりがあるという話になり、急にモスバーガーの匠味の話になる。 野菜が少ないだとかで、購入したお店にクレームをつけにいったのだとか、匠味を販売している店舗は限られているのだとか「オマエ車持ってる? 車出す? 今から匠味食いにいかない?」と誘う。 なんだかアブナイぞコイツ。 なにが楽しくて初対面のあなたと連れ添ってモスバーガーを食いに行かなければならないのか。

そろそろ疲れてきたので、電話に出るフリをして、話を切り上げさせてもらう。 「ちょっと呼ばれちゃって。 楽しい話、ありがとう。 ではまたいつか。」 と、まだ話し始めようとする彼をふりきり店をでた。

今宵はイイ酒だったのか悪い酒だったのかよくワカラン夜だった。


激安居酒屋にて

安いということに特化した居酒屋があるというので行ってみることにした。

ていうか「刺身が300円」だの「焼酎一本が560円」だとかいうその激安居酒屋入店経験者の話にソソられたわけではないのだが、話の流れで行くことになってしまったといったほうが当たってる。 もっと言うと、これまでの人生経験上、激安を自他共に認める居酒屋というもので、おいしく飲めた試しがない。 いくら安かろうとも、タダではないわけだから、金を払う以上、美味しいものを食いたいに決まっている。

その某居酒屋の店構えは、駅前によくあるチェーン系のお店によく似ていて万人向けである様子がうかがえる。 なになに、よく見てみると、ほかにも支店が結構あるような風なことが書かれてある。 他の土地にもこの激安居酒屋はあるのだ。

経験者によると、その居酒屋を経営しているのは、某魚市場内の業者さんで、そんな立場をフル活用して海産物の仕入れを行っているので、刺身やその他酒肴を安く提供できるのだとか。 なんだかまともなお店のような気がしてきたが、まだ怪しさをぬぐいきれないでいるオイ。

「ガラガラガラッ、4人っ」と一味の人数を店員に伝え、テーブル席に案内される。 興味本位で言うと、ホントはカウンターに座り、いったいどのような手法で激安の酒肴を作り出すのかを調べてみたかったという気がしないでもないが、幹事に従うほかない。

テーブル席に案内してくれた兄ちゃん店員とは別の、少し目が死にかけているおばちゃんが飲み物の注文をとりにきた。 「飲み物なんにする?」あまり感じのよくないタメ口である。 「生4つ。」と幹事くんは言う。 そして「銘柄は何なのだ」とか、「夏でも冬でもギンギンに冷えたビールしか俺は飲まないのだ」とか、「もしやこの店のビールの銘柄はモ○ツではあるまいな。 俺はモ○ツは受け付けないのだ、俺は喉がかわいて死にそうなのだ、モ○ツ以外のビールを持って来いだのという注文をつけるものだから、その感じの悪いおばちゃん店員に、はやくも「要注意お客」としてチェックされてような気がした。 激安が売りのお店に来て、そんなにイロイロ注文をつけるこたーないのだ幹事くんよ。 聞いてくれるワケないじゃないか。

割合早めに到着した生ビールで手早く乾杯し、生ビールになにかおかしいところがないかをチェックする。 激安を謳うわけだから、もしかすると生ビールを注文しているハズなのに、他店の「生ビール小」程度の大きさしかジョッキがないかもしれないし、その生ビールがほとんど泡で構成されているという恐れもありそうな気がしないでもないが、そんなことはない。 普通の、よく冷えた、生ビールである。 しかもこの味はモ○ツではない。

警戒していた割には普通の生ビールだったので、なんだか逆にがっかりして、テーブルに目をおろすと、メニューが貼り付けてある。 そこに生ビール550円の文字を発見する。 550円っていうと、決して安いほうではないような気がするのだが・・・・。 ビールは当たり前の値段をとるのだねこのお店は。 わかりました。

生ビールと共に、突き出しが運ばれてきていることに気づく。 パッと見何の料理かわからないような黄色い物体が小鉢の中にあり、恐る恐るつまんでみる。 「ガリッ」あ、これ漬物じゃないか。 「ウッ」マズー。

突き出しとは勝手に運ばれてくるものだし、それがお店方針でもあるわけだから、それを断ることはできないが、それにしてもマズイ漬物であることは確かだ。 この突き出しって、一体いくらなんだろう。 マズッ。

マズイ突き出しをしかも2品必ず勝手に出してくるという居酒屋をオイは知っているが、その理由はというと、そのほうがお客から突き出しの代金を2品分とれるからだという。 とんでもないお店だが、それでもこれほどまでにマズイ突き出しを出していなかったはずである。

ビールで一息ついて気分がよくなった幹事くんが、メニューを嘗め回すように隅々観察しつつ、さてどの激安酒肴を注文して皆を驚かしてやろうかと、思案している。 その横からさりげなくメニューをチェックすてみる。

「今日のお勧め」ではカンパチの刺身を一押しとしている。 その代金330円。 非常に安い。 「エンガワ:330円」なんていうものある。 「アジ:330円」なんていうものはない。 でもその他の刺身も大体330円だったように記憶している。 何故か330円が好きなのである。

さらにお勧めではない刺身コーナーには、やはり330円のシメサバと書かれてあったので、喜び勇んでそのシメサバをオイが注文しようとしたその時、幹事クンはこれまでの土偶顔を一変させて、まるで金剛力士像のようないかめしい表情に変わり「それを注文するのはやめれっ!」と、オイの注文を遮った。 その表情には怒りにも似た焦りが垣間見え、それを察したオイは、まるで父に咎められた息子のようにだまってしまったのである。 これにより過去にこの店のシメサバで何かが起こったことを推測できるということはいうまでもない。

他にもチゲ鍋380円や、イカの姿焼き280円、エイヒレ130円、糠付け130円、枝豆180円、アンキモ400円、サラダ280円なんていうのも注文してみる。お、マグロ刺身380円なんていうものあるし。

何っ!魚肉ソーセージ50円!? 安っ。 注文してみるか。 魚肉ソーセージだけに時間を置かずに運ばれてきた。 一本の魚肉ソーセージの半分ぐらいの分量がスライスされてマヨネーズ付きで小鉢に無造作に並べられている。 ひとつ食べてみる。 たしかに魚肉ソーセージの味だが、歯で食いちぎった食感や味、やけに白っぽい色は、この魚肉ソーセージが決してメジャーどころのメーカーのものではなく、量販店で叩き売りされている魚肉ソーセージだということがわかった。

魚肉ソーセージを賛否両論している間に、テーブルは次々に運ばれてくる酒の肴で埋め尽くされた。 さてどれからつまもうかな。 とりあえず茄子のヌカヅケをひとつつまんでみる。 「マズッ!」

ヌカズケに関しては毎日自宅でこしらえているのでよくわかるのだが、このナスビを漬けておいたヌカ床は、いけない。 毎日のかき混ぜ作業を怠っているハズである。 外人にタクアンを食べさせると「ぞうきんの味」と表現して嫌うという話をどこかで聞いたような気がするが、このナスビのヌカヅケの味はまさにソレそのものである。 いくらマズくても、それが食品である以上、口に入れたものは必ず食べきるというポリシーを持つオイでも、こんなにマズイぬか漬けは食えない。 飲み込めない。 うーん、マズい!

あまりにも酒の肴がマズすぎると、おもわずビールがすすんでしまうという不思議な現象がこの世にあるのだということに驚きを覚えつつ、さて次はどれをつまんでみようか。

目の前にある物体は、刺身なのだろうか? 黒ずんだ、刺身というか魚の切り身が無造作に横長の皿に並ぶ。 おそらくこれがカンパチの刺身330円である。 刺身一切れ一切れは非常にコンパクト。 切れない包丁で切ったのか、刺身全体がグニャリとしていてだらしがない。 刺身のツマなんて不必要なものは一切付属されておらずシンプル極まりない。 一口食べてみるマズイッ!

もはやカンパチだとか、マグロだとかいう魚の種類を超越した味がする。 鯛等白身の魚は寝かすと風味が増すが、このカンパチの場合、寝かしているというか、水揚げ後長時間経過した魚というほうが当てはまる。 妙にグニャリとした一切れをかみしめると、古くなった脂の味が口の中いっぱいに広がる。 たぶんこれは刺身で食える鮮度のものではないのだ。 幹事くんがシメサバをあれほどまでに拒否した理由はここにあるのだ。

確かこの店は魚市場関係のアレであり、それにより安く提供できるのだとかいう話であったと思うが、そんなハズはない。 ならば何故これほどまでにどの刺身も古くてマズいのか。 築地市場内にある寿司屋が安くてウマイとかいう話はよく聞くが、本来ならばこの店もそうであるべきである。 こんなにマズいものばかり(しかも少量)並べて安さを謳うのは断じて間違いである。 オイだって、このぐらいならばできる。 これはお客をもてなすに至っていない。

頭にきたところで、焼酎でも飲って帰ろうかと思い、メニューを見る。 オリジナル焼酎560円なんてのがある。 560円ったら安いよね(どんな焼酎なのかは知らんが)一本持ってきてよ。

そのオリジナル焼酎は、一瓶360mlだった。 よく見ると、メニューにもそう書いてある。 なんだ安くないじゃないか。 それだけではなく、次の日頭が痛くなりそうな風味を持つ焼酎であった。

このお店を総括すると、アルコールは普通のお店並みの価格で提供し、すごくマズイ酒肴を少量ずつ出す故に安く感じてしまうというお店だということがわかった。

こうして書いてきて、なんだか少し辛口な意見にまとまったかな、なんて少し考えてもみるが、本当の事だし、感じたままの意見を述べたまでのことである。 もう二度と行かない。

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