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2007/11/17

七味唐辛子の全て

七味唐辛子

七味唐辛子をご存知であろうか。

前に「聖徳太子を知っているか?」と聞かれて激怒した人をウェブ上で見かけたことがあるが「七味唐辛子を知っているか?」という質問も、それに匹敵するくらいの威力を持つ質問ではなかろうか。

しかし「七味唐辛子を構成する7種とは何か?」と聞かれて、即答できる人はなかなかいないであろう。

七味唐辛子

香辛料の一。 唐辛子に胡麻、陳皮、ケシ、菜種、麻の実、山椒などを砕いて混ぜたもの。 なないろとうがらし。

広辞苑

とある。 とにかく唐辛子を含めて7種のものが合わさり、七味唐辛子となるのだ。 

しかし、近頃次々と摘発される食品偽装により、オイは食品があまり信じられなくなってきた。 自分自身で感じ取ったものしか信用できないのだ。 ということで、手許にある七味唐辛子が、本当に七味含まれているのかを調べてみることにした。

某有名商店の七味である。 原材料の欄には「唐辛子焼き粉、赤粉、黒胡麻、温州みかん陳皮、ケシの実、麻の実、青さ」と記されている。 白い皿の上で七味唐辛子の瓶を5回ほど振り、中身を出して、選別してみる。 も、すぐに断念する。 だって、メンドクサイじゃないか。 性に合わん。 このような場合は、嫁に話を振ってみると、以外や以外、興味津々だったりする事もある。 今回の「七味を構成する7種を選別する」というプロジェクトは、なかなかツボにハマったようで、快く引き受けてくれた。 変わった嫁である。

オイが日本酒をグビグビ飲っている横で、まるでスイスの時計職人のように小皿の上の七味を選別している嫁の姿は異様である。 よくもまあ、こんなに地味で、つらい、きつーい仕事をやれるものだね、ハハハなんておちょくっている間に「選別完了!」と声高々に宣言する。

「オイ、よーく見てよ、ホラ1234…5……67!」 おー7種あるじゃん!

まるで自分のことのように嬉しくなり、早速記念撮影をする。 七味唐辛子を7種に分けてしまうとは…おそらく町内始まって以来の快挙だ。 嫁さんでかしたよ! でもさ、ケシの実って、どれなん?

七味

そうなのだ。 7種にわけることができても、一体どれがケシの実でどれが麻の実かがはっきりとしないのである。 多分、そうであろうと思われるものは、まず黒胡麻、そして青さの2つだけである。 残り5種のことがわからない。 ネット上を駆け巡ってなんとか判明したのが、⑤は麻の実であろうということだ。 あとはイマイチハッキリとしない。 

「焼き粉」というのは、焼き唐辛子のことらしいので、赤いハズだ。 なので④かと思われる。 しかし、赤粉の可能性もあるのではないか? 陳皮はミカンの皮らしいので、おそらく②か③だと思われる…すると⑦はケシの実?

というように、それぞれがどれにあたるのかがわからなくて、七味を7種にキチンと選別してみよう計画は、あえなく頓挫した。

ちなみに今回使用した七味唐辛子は「やげん堀 中島商店」のもので一級品である。 そもそも七味唐辛子というものは、1625年(寛永2年)に初代辛子屋徳右衛門が考案し、江戸の薬研堀(やげんぼり)で売りだしたのが最初であるそうな。

2007/11/16

鴨南うどん

鴨南うどん

前回飲んだ後の「シメ」について書いたが、合鴨鍋を作れば、その心配はない。 鍋食っている間に、シメの準備が着々と進行していくのだ。

合鴨鍋を楽しんでいる最中、3、4枚の合鴨肉をのけておく。 ネギの青い部分をみじん切りにしておく。 合鴨鍋を食い終わった頃には、鍋に合鴨の脂がじんわりをたまっていることであろう。 この脂をみすみす捨ててしまうわけにはいかない。

>うどんのツユを用意しておき、鍋に合鴨鍋の脂を適量投入する。 のけておいた合鴨肉数切れもうどんと共に煮る。 仕上げにネギを散らす。

うまいに決まっている。 無論、蕎麦でもよい。

2007/11/15

シメに苦労した末しめしめ

シメそうめん

この黄金色をした麺は、一体何なのか? これを語るには、まず昨晩の事を説明しなければならない。

炙りシメサバで奥播磨をたらふく飲って、満足だ。 ヘタな料理屋に通うくらいならば家で飲んだほうがマシだ、さ、シメ食って晩酌を終えよう。

何でシメようか…。 スープはなにもないし、そもそも麺がないな…。 チッ…ソーメンしかないではないか。 うーんどうしても今日はソウメンという気分ではない。 がしかしシメを食わねばしまらぬわけであり…でもしゃーない、今日は素麺でよい。

でもいつものように出汁とって醤油たらしてという味付けはどうもピンとこない。 どうすっか。 あ、そうだ、デタラメ麺を作って遊ぼう。 デタラメ麺とは「オイのみ」食べることが許される限定料理であり、大変危険なものである。 日によってその内容は変わり、コンセプトはあるものの、作り方はデタラメだ。 当然マズいこともあるが、激ウマな場合もたまにある。 (一例:心平そーめん

たとえば残った鶏がらスープにマルタイの棒ラーメンを放り込み、付属の粉末スープを適量入れて、チューブ入りのラードをありえないぐらい、常軌を逸した分量投入して世のベタカタラーメンにどの程度脂が含まれているのかを調査してみてみたり、同じように作ったデタラ麺に、化学調味料を一瓶の半分くらいドッサリと盛りいれてみて、食べてみたり。

いずれも想像するよりも以外や以外、食える代物が出来上がるというのが恐ろしいことであり、喜んでいいものか 、嘆いてよいものかを深夜、キッチンで一人ポツンと悩んだりするわけだ。 当たり前のことではあるが、この麺を、嫁や子供、ましてや他人に食べさせることはできない。 オイ自身がモルモットと化さねばならないのだ。

そして今晩、どんなデタラメ麺を作って遊ぼうかとしばらく思案した後に思いついたのが、ソーメン甘醤油風味である。 スープもない、出汁もない、ソーメンしかない。 この状況で、まずオイは湯を沸かした。 そしてその中にソーメンを放り込み、適度に湯がいた。 そしてそこへミリンをドボドボと注ぎ込み、さらに醤油をたらしこんだ。 少し味見してみるが、甘味をまるで感じない。 さらにミリンを追加投入する。 この麺の目指している風味は、某有名ラーメン店のスキヤキのような甘めの醤油味で、何度か食ったらやみつきになるかもしれないよ、という風味である。

甘味がそれらしくなったところで、豚肉か何か投入してコッテリさせたかったのだがあいにくそれがない。 なので、サラダ油を小さじ一杯たらした。 醤油ベースのスープだと、意外と脂が目立つ。 これにて完成とする。

酒が回っているので、ネギを切って散らしたりとかいう小細工はできない。 そのまま丼に盛る。 ススル。 これがまた、意外と食えたので驚く。 スープは一切使っていないので手抜きもいいところだ。 なのに、マズイ醤油ラーメンを食うよりはよほどマシな、しっかりとした味があるのだ。

たとえばこれに、カツブシの一番出汁を加えてカツオの風味をプラスしたら………きっと、あのラーメンよりも美味しいはずだと、酔った頭は考えた。 シラフのときは作ってみようとも思わないし、味の保障はできない。 もしもオイと同じような暴挙に挑戦するならば、全て自己責任でお願いしたい。 深夜と、酒が、オイにデタラメ麺を作らせるのである。

2007/11/14

頭足人間

頭足人間をご存知だろうか。

グーグルで探してみると結構でてくるが、要は幼児が描く人物画のことだ。

はじめはグシャグシャの線を描くだけだったのが、成長するにつれて…というもの。

その過程をスライドにしてみた。

※絵は嫁の話を基にオイが描いたもので息子が実際に描いたものではない。

2007/11/13 酒肴

ホタルイカの沖漬け

ホタルイカの沖漬け

ホタルイカの沖漬けというものを頂いた。

ホタルイカとは何か? 小型の光る烏賊で、国の特別天然記念物らしい。 特別天然記念物を食べてもよいのか? よいのだ。 特別天然記念物に指定されているのは、富山湾で群遊している様に限定されるようだ。

沖漬けとは一体どういうものなのか? 以前、富山のホタルイカ漁に同行したことがあるという人物に聞いたところ、漁師がホタルイカを獲り、生きたまま醤油の中に投げ入れる。 ホタルイカがビックリしてもがいてうちに、全体に醤油風味が浸透していく、というものらしい。 獲ったその場で醤油に漬けるから沖漬けなのだとか。

瓶から丸ごと一匹のホタルイカをつまみ出し、口に入れる。 イカの塩辛が薄味になったような風味であり、やけに瑞々しい。 酒肴にはもってこいだというしかない。 酒肴によいということは、ご飯のおかずにも最適だということだ。

キラキラ光るホタルイカを眺めてみたい。

ホタルイカミュージアム

2007/11/12 果物

柿取人

柿取人

息子と二人きりでドライブをしながら、早くもクリスマスプレゼントについての議論を交わす。

オイ「んで、何が欲しいんだねキミは」

息子「ドラゴンボールのケーキとコジマヨシオのパンツ」

オイ「……」

とにかく某パンツ一丁男の人気はすごくて、息子の通う保育園ではどの園児もカンケイナイカンケイナイ、と地団太をふんでいる。 親としては、甚だ迷惑なことである。 でもしかし、赤いパンツを買い与えることは何も悪いことではない。 クリスマスプレゼントは赤パンに決定! なんだか安すぎて息子に悪い気もするが、本人が決めたことだ。

突如目の前に柿の木が現れ、すぐにはるか後方に流れていった。 一瞬なのでハッキリとはしないが、柿の木の下に男がいてかがみこんでいた気がする。 気になったことはすぐに確かめなければならない。 柿の木までUターンする。

男は柿の木に竹ざおを伸ばし、熟した柿の枝にそれをからませる。 枝がポキリと折れて、柿を収穫することができた。 黙々と、その作業を繰り返している。 オイと息子は、その光景を黙って見続けている。

男は「柿泥棒」ではないようだ。 作業が手馴れているうえに、堂々と収穫している様は、きっとこの柿の木のオーナーに違いない。

柿取竿

しかしよくもまあ、あんな竹ざおいっちょで、こうも簡単に柿を取ることができるものだね。 あの竹ざお、一体どうなってんだ? 息子と二人、凝視する。

竹ざおの先端部分、真ん中にちょうど切れ込みが入れられており、その切れ込みに柿の枝を挟ませておいて、一気に竿を回転させる。 すると、枝はポキリと折れるものの、枝自体を竿がしっかりとホールドしているので、落とさない。 まさに簡易版高枝切ハサミのようだ。

このように分析しながら、柿を収獲する様子をじっと眺めていたら、さすがに柿取男も我々の視線に気づいたらしく、手を休め振り返った。 我らはペコリ、こんにちは!と挨拶をする。 人と目が合ったら、挨拶をしなければならない。 できれば先に挨拶をすることが望ましい。

「あーら見てたのね」どこかで聞いたことのあるような受け答えをする柿取人。 「柿食べる?」と聞かれたので「はい!ハイッ!」と返事をする。 柿が竹竿で?がれるまで待ち、手を伸ばしてそれをもらう。 計20個ぐらいはもらった。

「最後にひとつだけお願いです。 一度、その竹竿でオイも柿を取ってみたいのです。 やらせてくれませんか?」

すんなり承諾を得て、よころんで柿を収獲した。 楽しかった。 おわり。

柿

2007/11/11 酒肴

超旨葱料理

超ウマネギ料理

まずネギが悪いということだけ申し上げておきたい。

オイは一体何をつまみあげているのか? それは長ネギの白い部分である。 ネギを3.5センチに切り、中身を抜いて、筒にする。 そこへ、コンビーフを詰め込んで、オーブンでこんがりと焼く。

これは東海林さだお氏が「ネギでお腹いっぱい@おでんの丸かじり」で披露しているオリジナルのネギ料理なわけだがビールとイケル。

これを沢山作ってつまもうと、長ネギを求めてスーパーへ向かう。 だがしかし、長ネギの質が悪い。 長ネギが2本束になって298円。 普段ならばせいぜい158円ってところが298円。 どーしたんだ長ネギ。 天候の影響なのか。 長ネギ買うのに300円支払うというのもなんだか勇気が必要とされるが、仕方がない。 美味しいネギ料理のためだ。 298円の長ネギを手に取る。

コンビーフ

カゴに入れようとした瞬間、長ネギの異変に気がついた。 長ネギがなんだか、スカスカのゴワゴワなのだ。 よく見ると長ネギの表面は張りがなく、乾燥気味だ。 おそらく、この長ネギを鍋ものに使用すると、外側が固くて食べきれないと思われる。 多分年をとった長ネギなのだ。 なので使用する際は、長ネギ自体を一皮むいてから調理しなければならない。 一皮むくと、一回り小さくなる。

298円ネギのとなりには、普段見かけない中ネギというものが並べられている。 これはまさに長ネギを一皮むいた中身であり、一皮むくことによって小さくなった分、値段も安くなっている。 一束158円だ。

いやまてよ、298円ネギの一皮は、食用に適さない一皮なのであり、その一皮分を中ネギとの差額から算出すると298-158=140円となる。 長ネギの乾燥した分厚い一皮は、140円なのだ。

長ネギを298円で購入してもどうせ一皮むかねば食べることができないわけで、140円分の外側は廃棄処分となる。 中ネギは長ネギを一皮むいた状態で勝手にスーパーがそう名づけて販売しているのであり、丸ごと調理に使うことができる。

ただ、ネギコンを作るにあたり、中ネギ程度の太さでは、いささか具合が悪い。 コンビーフを詰め込みにくいのだ。 しかし長ネギを購入したところで、実際使える部分は中ネギと同じ部分になるわけだし…。 

このような葛藤から作られたのが、ページトップの写真である。 中ネギで作ったので、旨いけど細い。 コンビーフをコツコツと詰め込んでいくうちに上手くゆかずイライラしてくる。 こんなに苦労しなければならないのは、長ネギの外側がゴワゴワだからであり、ゴワゴワの長ネギを一束298円で売るとはなにごとか、という怒りがこみ上げてきて、いっそうのこと、上等の長ネギを探す旅に出かけてみたいような気さえしてくる。 なのでこの一品は、上質な長ネギがあることを確認した上で作りはじめなければならない。

飲んでいるうちにメンドクサくなってきて、焼いた長ネギの上にコンビーフをのっけてつまむ、という風に調理法が変わってきた。 どっちにしてもウマカッタ。 長ネギのバカ。

2007/11/08 なるほど

赤い布

インドでは交通事故が起きると、その後ろを走っていた車が救急車のかわりをするそうだ。 インド人はたいてい車内に赤い布を常設していて、けが人を乗せた車は車外にそれを吊るしてサイレンのかわりに使用する。

事故を起こした当事者のほうは、群集で取り囲んで逃げれなくするそうである。

(読むクスリ29巻より)

2007/10/29 雑記

ブログ覚えたてのおっさん

彼は自称チョイワル親父である。

彼は自称食通である。

彼は自称本物のわかる男である。

彼は萩原健二をこよなく愛す男である。

そして彼は、味オンチである。

彼(以下ショーケン)が最近ハマている事、それはブログである。 流行の最先端をゆくブログなのである。 チョイワルで食通で本物がわかり、萩原健二を愛する男であるからネタは事欠かないわけで、モットーは『ブログを毎日更新すること』らしい。

ブログの面白さを覚えてからというもの、文章を書くことの面白さ、写真を撮ることの妙味を覚え、寝る間を惜しんでブログの更新に励んでいるらしい。

「オイってブログ持ってないの? 何系? アドレス教えて? リンクして? SEP対策にもなるんだよ?」

SEP対策っ!?とにかくワケがわからんので関わりたくない。 とかなんとかいいながら、オイはこのテの面白みのあるヒトが好きで、観察したくなる。 もう少し話を聞いてみようか。

「ブログのテーマは何なんですか?」と聞いてみると

「テーマなどないねん。 自分の書きたいことを書くだけやねんねんか。 そしたらアスセスがあがってきて、もはや40アクセスやー!」とかいう。

すでに名刺にサイトのアドレスが刷り込まれており、渡される。 数日後、オイは飲んだ勢いでそのブログを尋ねてみることにした。

いきなりショーケンの自己紹介というか、生い立ちからはじまる。 子供のころの白黒写真をスキャナで読み取って載せている。 食い物屋レビューというカテゴリがあり、彼お気に入りのラーメン(3回食ったらヤミツキとかいう例のラーメン)を超接写でデカデカと載せている。 「世界の皆さんはじめまして!」というサブタイトルからして、このブログは全世界を視野に入れながら日々更新を続けているらしい。 よくわかったのでページを閉じる。

後日、ショーケン氏とバーで会談したときにブログを見たかどうかを聞かれ、正直に見た、面白かった、と、伝えた。 すると彼は、オイがブログを訪れたことが手に取るようにわかったのだという。 なんでか? それはアクセス解析を覚えたからであるそうだ。 「この前、来てたな」と。

彼はルイ・ヴィトンからVAIOのTYPE Sを取り出した。 電源を入れ、自分のブログをひらく。 そして、アクセス解析のページへむかう。 「ほら、ここで…誰がきたか…わかるんや。 そしてココから……アレ? おかしー…あ、ここや。 ココでどんだけどのページが見られたかわかるんやー」と、いちいち説明される。 彼、パソコンの挙動、共におかしい。

他人のブログの、面白くもなんともないアクセス解析を、延々と見せ続けられながら、夜は更けていくのだった。

オヤジ、ズブロッカもう一杯ちょうだい。

2007/10/27 雑記

海鮮丼のハズが……

海鮮丼が美味しい店があるという記事を読んで、早くも午前中からその店にいきたくてウズウズしていた。

こんな日に限ってお誘いの声はかかるもので、一緒にメシでも行かないかと誘われる。 断れる場合とそうでない場合があるのが社会であり、今回の場合断ることができなかった。 まあ、しゃあない。 海鮮丼は明日に持ち越すか。

メシをどこに食べにいくのかはまだ決まっていないらしい。 とりあえず、3人はタクシーに乗り込みあっち方面へ向かう。

「メシってどっかなんかイイ店でも見つけたんスか?」

と聞いてみると「うーん、今日は遅いからどっかで軽く済ませて帰ろうや」という。 どっかで軽く済ませる程度の食事をするのに人を誘わんでもよいのではないか。 悩みでも聞いてほしいのか。 yesと言ったオイは失敗だったのではないか、という思いが頭をよぎる。 そもそも「軽く済ませて帰ろうや」の「軽く」とは一体どの程度軽いのか? 生ビールを一杯飲んで、それからうどんでも食って帰るのか、それとも焼酎2、3杯飲るのも「軽く」の範ちゅうに入るのか。

そもそも「一緒にメシでも行かないか」と一口に言っても、それは言う人によって若干意味合いが異なる。 本当にメシだけを食いにいく人もいれば「一杯やろう、てか飲むぞ」メシ=飲むという意味合いの人もいる。 いや少なくともオイの周りはそうだ。 今横にいる人物のいうメシは「酒ぬきで晩御飯を食べに行こう」という意味に違いない。

「うーんどの辺がいいかなーどっかいい店しらない?」彼はいいだしっぺにも関わらずオイにフル。 「実は旨い海鮮丼を食べさせてくれる店があるんですよ」と強引に都合のよい展開にもっていこうと考えたが、ここからは遠い。 「うーん、その辺でいいんじゃないですか?」と答えるのが精一杯である。

「んじゃーそこに入るか」と指差す方向には、何の変哲もない一軒のソバ屋があった。 店から醸し出されるオーラが「ウチはマズいですよ」と訴えかけてくる。 でもオイに選択の余地はないていうかもはやどうでもいい。 早く帰りたい。

早く店に入ればいいものの、店の前に並べられたサンプルを見ながらどれを食べようか悩んでいる。 「どれを選んだっていっしょだよ、まあ早く入ろうや」とココまで出たのを飲み込む。 ようやく店内に入る。 ダルそうなオバチャンに奥へと案内される。

「さぁー何を食べようかな、鍋焼きうどんかなそれとも天ソバかな…」と言いだしっぺ氏は大いに悩む。 オイは……しれーっと生ビールを注文する。 「あーオイくん、ビール飲むの、じゃ、俺らも一杯注文しようか。 それで明日も早いしソバでも食って帰ろうや」という。

「ビール飲むならばつまみがいるよね。 オイくん、何か注文しないの?」というので「つまみも何も、ビール一杯飲んでそば食って帰るんでしょう。 ビール一杯飲むのにツマミは要りません、一気です一気」とココまで出たが「じゃ、枝豆でも頼みますか」と収める。

「オイくんが枝豆ならば私は冷奴。 で、あなたは?」ともう一人に注文を促す。 彼はモツ煮込みを注文した。

しばらくして3杯の生ビールが運ばれてきた。 続いてボロボロの湿ったザルに入った枝豆が届いた。 マズそうである。 「ささ、枝豆でも食べましょうよ」とオイが言うと「それはオイくんが注文したのでしょう。 オイくんが食いなさい。 冷奴はやらんよ」とかいいだしっぺ氏は言う。 それを聞いてあきれる。 枝豆、冷奴、モツ煮込みを皆でつついて生をグッと飲み干すのかと思えば、注文したものは各自で処理しろ、ということらしい。 こんな人物と食事をしたことは今まで一度もない。 なんてヤツだ、アッタマきた。 ビール一杯飲むのに枝豆が一盛りも要るか。 ビール一杯飲むのにモツ煮込みが一皿要るか。

今日ほど枝豆がマズイと思ったことはない。 こんなに早く枝豆を食べたことはない。 早くソバ食って帰ろうと、鴨南そばを注文し、ビールを一気飲みし、枝豆を一生懸命口に運んだ。

モツ煮込み氏はひとりでチョボチョボとそれをつつきながらおそらく発泡酒であろう生ビールをちびりちびりとやってる。 いいだしっぺ氏のことは知らない。 この場は全部オイのおごりでいいから一刻も早く店をでて家に帰りたいなという思いで鴨の細切れの浮かんだノビノビのソバを一気にすすりこんだ。 そして残る二人がソバを食べきるのを待ち「さあ、帰りましょうか」というと食後の一服をしたいといいだしっぺ氏はいう。 どこまで身勝手なヤツなんだ。 モツ氏とオイは彼が一服し終えるまで待つ。

早く吸い終ればいいのにやれ仮面ライダーを見て育った子は攻撃的になるだの、ウルトラマンを見て育った子はそうでなくなるだの面白くもない話を酒を飲んでもいないのにダラダラと語りはじめ、城が好きだとか、戦闘機が好きだとかどうとかこうとか言ってる途中で、モツ氏がヤケに「戦闘機」という言葉に反応したのがその眉毛のつりあがり具合でわかった。

戦闘機というキーワードに異常な反応をみせたモツ氏は「わたしはゼロ戦が好きなのです」とボソリと、まるで相手の知識の深さを測るかのようにつぶやいた。 それを聞いたいいだしっぺは「ゼロ戦ならどこそこに展示してあるよ」と答えた。 「うほっ、お詳しいですね。 もしかして結構好きなんですか?」とモツ氏がニシャーと笑う。 「好きもなにも、戦闘機のプラモデル作らせたらボクにはかなわないよ。 エアブラシはどこのメーカーのがいいか知ってるかい? 戦艦も好きだよボクは」といいだしっぺ。 会話に花が咲いた瞬間である。 それから数十分にわたり戦闘機についての対話がはじまり、

そうな気がしたので、オイは焦り「じゃボクは帰ります金は払っておきます」と言い席をたとうとすると、いいだしっぺは「ワリカンでいきましょうや」と言う。 あたりまえだがや、ダレがお前のメシ代をおごるか、バーカと思いつつも、にこやかな笑みを浮かべながら彼らをおいてソバ屋を去ったのだったのであった。

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