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2009/10/22 酒肴

カチョカバロ

カチョカバロ

「ほら!これさこれ。」

カミさんはてるてる坊主風の物体を袋から取り出した。

オイ:「何これ?」

カミ:「チーズさチーズー」

へーえ、こんな奇抜な姿をしたチーズってあったっけ、ていうかその奇をてらうところがなんかムカツク。 要は味だよ味。

カミ:「ちゃうちゃう、そうじゃなくてカチョカバロはそもそもこんな形のものなのさ」

オイ:「何?チュパカブラ?」

カミ:「カチョカバロて!」

カチョカバロというチーズらしい。 付属のチラシによるとカチョカバロ(Caciocavallo)とは、イタリア語で「馬上のチーズ」という意味で、馬の鞍の両側に吊るして作ることからこんな形のチーズになったのだとか。

何日か前、タレントがテレビでカチョ(以下略)の話をしていて、どうしても気になったので買ってきたのだとか。

とりあえず今は息子と餃子を焼いている最中なので、明日にでも食べてみようかというと、どうしても今すぐ味見したいのだという。 いつも毒見のような事をさせられる。

雪ダルマのような姿をしている。 封を開ける前は、くびれの部分に紐がグルグル巻きにされていた。 「ほう、これが馬の両側にねえ」紐をつまんで持ち上げると、カチョはうなだれるようにうつむいてブラーン、ブラーンとなんか嫌な場面に遭遇してしまったかのような気にさせる雰囲気を醸し出した。

紐をといて、座りがよさそうだったのでテーブルの上に置いてみた。 カチョはうつむきながら考え込んでいるように見える。 なんだか暗い空気がカチョ周辺に漂っている気がする。

オイ:「カチョ、何ヘコんでんだよ!」と丸い頭を平手でパシリとやったら息子がウケたので、パシパシやってると「早く食え!」とカミがせかす。

いきなり頭から、まるでサトウの切りもちのような表面にかぶりついた。

シャクリと、妙なかまぼこにかぶりついたかような食感がしてちぎれた。 よくかみながら味わうと、これはどこか覚えのある味だということがわかった。 なんだったかな、あ、ピザのときのあのーほら、何チーズだっけ、あの白くてスベスベで浮かんでいるホラ、何あれ・・・・・・モッツァレラ!

「そう!モッツァレッラよ!」とカミは自慢げに言う。 なにやらカチョカバロはモッツァレッラと関係ありげでどうのこうのという説明をし始めたが、意味がよくわからなかったので聞き流した。

「ふーんカチョカバロって、へぇーこんな味なんだ、ふーん」という感想以外思い浮かばない。 美味しいとか、どうとかいうチーズではないと思う個人的には。 これよか、嫌いな人の多い山羊の臭いチーズのほうがよほど旨いし口に合う。

アンパンマンばりに顔をかじられたにも関わらずたいした評価もされなかったカチョには悲壮感があふれていた。 おもわずゴメンといってしまいたくなるぐらい重たい空気。 せっかく餃子で盛り上がっていたのにカチョがきたせいで・・・こんな事ならば出会いたくなかったカチョとは。

カミ:「そういえば、切って焼いて食べてって言ってた」

早く言っていただきたい。 生でかぶりついてしまったじゃないか。 ちょうど餃子を鉄板で焼いている最中なので都合がよい。 「カミさん、カチョを全部輪切りにして持ってきて!」

輪切りで皿に並べられたカチョに面影はない。 だけど食品らしくなった。

カチョを一枚つまみ、鉄板の上に置くとすぐに溶け出した。 そうか、こいつモッツァレッラぽかったからなあ。 あわてて皿にとり、ドロドロのところをつまんでみると・・・旨い旨い。

焼きカチョ

「この塩気、どこに隠し持ってたの?」とカチョに詰め寄りたいぐらいちょうどよい塩気、これぞチーズだ、という旨味にあふれている。

餃子はとりあえず置いといて、カチョ焼き大会になってしまった。 「おーいカミさん、カチョもうひとついたよね、あれも切ってきてよ!」

何度か焼くうちにコツをつかんだ。 カチョを鉄板に置いて溶け出してもしばらくほっといて、それから裏がえす。 すると見事な、いかにも美味しそうなキツネ色に焼きあがったカチョの姿を拝むことができる。 両面こんがりと焼いて食べるともう幸せ。 こりゃもう、カチョカバロしかないなという感じ。

こりゃ絶対ナス焼きチーズにすると旨いだろうな、と気づいてしまったので、すぐさまナスを切ってきてもらう。 ナスを両面こんがりと焼いてから、上にドロドロのカチョカバロを乗せて食べる。 やっぱりね!旨い! カチョカバロを食べるならばナス焼きチーズに限ると言ってよい。

カチョカバロは焼いて食べると旨い。

※もしも今晩の献立が餃子でなかったら、カチョの可能性に気づかなかったハズ。 そう考えると餃子もまた偉かった。 もしかすると自家製チーズを焼いて食べても旨いもかもしれんとワクワクしている真っ最中。

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