DIESEL ZATINY
家内がやけに年季の入った、味のあるデニムを履いているので「そんなの持ってたっけ?」と聞くと、最近買ったのだという。
ダメージ加工のデニムにしてはやけにリアルなほどけ具合であり、なによりインディゴの美しさに目が惹かれる。 ラインはてんで今っぽい。
本人はさておきデニムのみをベタ褒めしていたところ「感じ悪」とつぶやきながら、どこのデニムかを教えてくれた。 DIESELである。
「あー、ディーゼルね」
(more…)もらいもの
娘が「目がゴロゴロする」と言い出した。 登校前の慌ただしさの中まったくもって・・・眼科に行くべきか? そうしていると、突如玄関のドアが開き「ヨーイ」というなじみの声が聞こえた。 近所のお婆さんである。
もぎたての4、5本のきゅうりをゴツイ手でワシ掴みにしている。 「ほら食べれー」
毎度ありがたいのだが、ただ今娘は「ものもらい」の疑いがあり、病院へ行こうかどうか悩んでいるとことだと伝えたところ、そんなの何の問題もないぞとお婆さん。 「ほうきを持ってこい」と言う。
(more…)映画『タンポポ』よりラーメンに関する部分のまとめ
(more…)ある晴れた日、僕は一人の老人にともなわれてふらりと町へ出た。 老人はラーメン暦四十年。 これから僕に、ラーメンの正しい食べ方を伝授してくれるのだという。
僕:「先生、最初は、スープからでしょうか、それとも麺からでしょうか?」
老人:「最初はまず、ラーメンをよく見ます」
僕:「は、はい」
老人:「どんぶりの全容を、ラーメンの湯気を吸い込みながら、じみじみ鑑賞してください。 スープの表面にキラキラと浮かぶ無数の油の玉。 油に濡れて光るシナチク。 早くも黒々と湿り始めた海苔。 浮きつ沈みつしている輪切りのネギたち。 そして何よりも、これらの具の主役でありながら、ひっそりとひかえめにその身を沈めている三枚の焼き豚」
老人:「ではまず箸の先でですね、ラーメンの表面をならすというかなでるというかそういう動作をしてください」
僕:「これはどういう意味でしょうか?」
老人:「ラーメンに対する愛情の表現です」
僕:「ははぁー」
老人:「次に、箸の先を焼き豚のほうに向けてください」
僕:「ははぁーいきなり焼き豚から食べるわけですか?」
老人:「いやいや、この段階では触るだけです。 箸の先で焼き豚をいとおしむようにつつき、おもむろにつまみあげ、どんぶり右上方の位置に沈ませ加減に安置するのです。 そして、これが大切なところですが、この際心の中で詫びるようにつぶやいてほしいのです。 『あとでね』と」