華麗なる寝返り
次男が寝返りをした。 人生初のことだ。
赤ちゃんと接する機会がない人にはあまりピンとこないことかもしれないが、生まれた瞬間から今日まで毎日見守っているオイとしては、これはかなり大きな事件である。 ましてや次男的にいうと、人生10大ニュースのひとつに数えられるぐらいの事柄である。
ある日突然何の脈絡もなしに、仰向けに寝かせられている次男は、右足を上げて、左側に倒しはじめる。 すると右足の重みによりひとりでに腰が回転し、ついに右足の裏は地面と接する。 現在下半身だけ、寝返っている状態だ。
下半身にあわせて上半身も華麗に回転させて、寝返りを終えたいところだが、これが生まれたての人類にとってはなかなか難しいことなのだ。 寝返りの苦労は、ここから始まるといっても過言ではない。
次男は上半身を回転させようと、若干勢いをつける。 2、3度繰り返すと「ゴロン」と上半身も寝返ることができた。 すばらしい。 寝返りを志してからここまでくるのに約10日を要している。 よく頑張ったじゃないか。
次は、寝返った上半身の下敷きになっている左手を抜き出して、右手のように、上体を保持する支えにしなければならない。 だが、上半身から左手を抜き出すことにも、大変な苦労を要するのだ。 はじめのうちは引いても引いても腕は抜けない。 大体この辺で「完全なる寝返り」をあきらめ、ひと泣きするのがオチである。 見ていてこっちが思わずリキんでしまう。
だから初めのうちは、下敷きの左手を抜き出してあげて、寝返り完了としてあげなければならない。 左手を抜くイメージを脳に刻み込むのだ。 何日かすると、上半身を回転させる際に、左手をあとで抜きやすいような位置にもっていくようになる。 乳児は賢い。
さて。 仰向けからうつ伏せになることができた。 これにて寝返り終了。 万々歳。 ではない。 肝心なアタマが残っているわけだ。 終始頭は左側を向いており、体が寝返りできた今も顔は左を向いたままである。
新の寝返りとは、ここから頭を持ち上げて、観客の顔をそれぞれ見ながら、寝返りの成功をこれ見よがしにアピールしなければならない。 しかし頭は重たいのだ。 首が座ってからまだ間もない上、うつ伏せの上体から頭を持ち上げきれるほど、筋肉、神経系が発達していないのだ。 なのでしばらくは、体がうつ伏せ完了後に、頭を持ち上げようとモガくことになる。
しかし乳児の成長は早いもので、3、4日たてば、頭を持ち上げることができるようになる。
生後4ヶ月にしてこの華麗なる寝返り。 次男、おめでと。
ちなみに、赤ちゃんが色んな動作を覚え、実行するまでにはそれぞれ個人差があるようで、それには体型もかなり影響を及ぼすそうだ(ママ談)。
友人の息子は生まれてからすでに巨大で、近頃1歳の誕生日を迎えたお祝いに駆けつけたところ、まるでミシュランのビバンダムのような堂々たる体躯の持ち主であった。
体が重すぎる故、寝返りも遅く、ハイハイも遅く、この分じゃ歩くのも遅くなるそうだ。