めおと

休日、下二人の子がヒマそうにしていたので「棚作ってみる?」と聞いてみたら二つ返事が返ってきた。
この棚は以前ホームセンターで買ってきた、作らずじまいでいたものだ。
早速ふたりは箱を開いて説明書その他部品を取り出して並べた。 このあたり次男はプラモデル作りで鍛えられているのでかなりスムーズだ。
おのずと助手に回った次女は、「まずこれをこうやって」という説明を熱心に聞いている。
私は隣の部屋で書きものをしているのでふたりの会話だけが耳に入る状況である。
道具は電動ドライバだけを与えておいた。
時折「ちがうそうじゃなくて!」や「だってココ持てっていったじゃない!」というやり取りが聞こえるが、思っていたよりも順調に事は進んでいるらしい。
小一時間経ったところで完成の報告が入った。
見事だ。 寸分の隙もなく、説明書通りに作られている。 二人の協力を絶賛して、棚は好きな所に置くよう言い、その日のヒマツブシは幕を下ろした。
意外と早く作れてしまったふたりに対し、ちょっと試しにやや難易度の高い棚を買ってきて作ってもらう事にした。
「棚作ってみる?」二つ返事が返ってきた。
今やふたりには成功体験がある。 だからまず次女の顔つきが違う。 「できるかなあ…」ではなく明確に完成後の棚がイメージできている模様。 どこに設置するのかを作る前から二人は相談しているのだ。
今度はすぐ近くで本を読みながら、つぶさに作業工程を観察する事にした。
しばらく説明書を覗きこんでいたふたりは、板を取り出して手際よくジャンル分けし、ビスを取り出して小皿に入れ散々にならないようにし、静かに組み立てを始めた。
20分ほどしたろうか。 「できた!」と声が上がった。
前回よりも難易度の高い棚なのに、制作時間は半分以下になっている。 これだから子供は面白い。
作り終えた次男は「後片づけはオレやっとくから良いよ」と妹に言い、その妹はというと「おねがい、じゃあ私お風呂してくるね」と兄に返す。
さながら新婚夫婦を見ているようだった。