職人といっても過言では
子供たちが四人集まるのは春休みぐらいしかない。
朝から皆ヒマしてそうだったので、うどんを打ってもらう事にした。 あいにくきょうだいにおける「精神的支柱」である長男は出かけてしまうから不参加だ。 年頃だから忙しい。
三人での製麺作業を洗い物しながら見守った。
皆幼い頃からやり続けているコトなので手慣れている。 特に長女は普段から料理をしているので手際が良い。 テキパキ下の二人に指令を出して役割分担をし、よどみなく麺打ちは進む。
PCに向かって仕事をしていると早くも「うどん完成!」の報告を受けた。 キッチンに向かうと、絶妙なる太さの美しいうどんが、麺箱に整列されていた。
正直言って、私よりも上手い。 麺に対する愛情すら感じる。 もはや一切口を出す事なくこれほどまでに完成度の高い食品を作り出せるようになっている彼女らに敬意を表する。
昼ごはんは打ちたての麺で釜揚げとした。
「旨い! 美味しいワ!」
嬉々としてススりこんでいるのかといえばそうでなくただ黙々と「旨くて当然」という顔をしながらペロリと4玉を平らげた。 胃袋もよく成長している。
長女はもはや、妻の背丈を超えている。 次男もじき、そうなる事だろう。 気づかぬ間に「生きる術」をどんどん身につけてゆく子供たちの事が、父はとても誇らしい。