赤子が成人する時間
20年ぶりにかつての友と会った。
待ち合わせ時刻の前に、それこそ20年ぶりに電話でやりとりをしたが、この何事もなかった感は何なのだろうか。 まるで先週こうして話をしたかのような距離で会話はよどみなく進んだ。
青春時代の、わずか数年間をただ共に同じ場所で過ごしただけだというのに、この絆は一体何なのだろう。 大人になってからの付き合いでは、なかなかこうはいかないのではなかろうか。
実際会ってみても、20年ぶりだという気がまるでしないのは何故だろう。
こうして会うキッカケとなったのは、先方がたまたま、インスタグラムで私を見つけてくれたからだった。
20年も経てば当然身辺に変化はある。 だがその後の近況を話していたのは最初だけで、話題は当時の事へとなるのは同窓会などでも経験済である(尤もほとんどそういう場に顔を出す事はないのだが)。
懐かしさがあり、温かさもあり、20年という歳月の早さに驚き、気持ちよく酒に酔い、いざこざも無く、笑って、次に会う約束もせず、またね、と別れる事が出来るというのは実に幸せだ。
私は幸せ者だったのだ。