神田古書店街の鳥海書房
偶然古書店街に出くわした。
神田で人と待ち合わせをしていて、ずいぶん早く着いてしまったので、手持無沙汰にブラブラしてみたら、昼間の街は新鮮で良い。 普段神田をうろつくのはもちろん夜、飲み歩いている時しかない。
この辺は昨日、二軒目を探している時に通った所だ。 ガード下の立ち食い焼肉屋だったかな…やけに和気藹々としている店で、肉をつまんでいる最中に他の客が注文した酒が届いたら皆で乾杯をせねばならないルールだそうで慌てて口中軽ヤケドした次第。
というようにブラブラ歩いていると、いつしか見知らぬあたりまで散策してしまったのだ。 突如乱立しはじめた書店群に何事かと思いきや、ここがかの古書店街なのかとヒザを打つ。
立派なビルで、歴史書を専門に扱う店。 小ぢんまりした昭和の漂う入りやすい店。 大小様々な書店がズラリと並ぶ様は、一種独特の光景であり、さぞ外国人ウケするだろうなと思いきや、珍しく歩いているのは日本人ばかりだった。
地図を手に入れたので、シラミツブシに店を回っていたら、時間がアッという間に過ぎていて慌てた。 そこでじっくり回るのはまた別の機会として、面白そうな店情報をBOOK TOWN じんぼうで調べながら探索する事にした。
特にツボだったのは「鳥海書房」。 動植物に関する書籍に強いとあったが店前のカゴに山積みされていたのは食に関する本ばかり。 時間が迫ってきたので足早に選び抜き、15冊を買う事にした。
店内にガラッと入ると古本の匂いがプーンとしてきて妙な気分になってくる。 レジ前にも食関連の本がズラリと並んでおり、背表紙を見れば名前は知っているが実物を見るのは初めての名著まで、いくぶん高価ではあるが取り揃えられている。
約8キロもの古本を両手に提げて歩いてきた私を見て、氏は埴輪のように目と口を丸くしたまま、しばらく立ちつくしていた。