檀はじまる
早いもので、完本 檀流クッキングの再現を始めて一年が過ぎた。 そしてようやく今日、幻のレシピ全62品の再現を終えた。 この五月、時間に余裕があったので積極的に檀流レシピに取り組んだ所、久しぶりに感じた檀さんの息吹に改めて、感動した。
未収だったお題は64品。 うちアラブの肉団子と、そばパンに関しては2コンテンツに分かれて記されているから計62品のレシピ群である。
ちなみに「番外」として、佐藤春夫先生由来の檀家の定番「ビーツのサラダ」が記載されていたが、これは私の立ち入る事のできる領域ではないので再現は行っていない。 ちなみに太郎さんはこのサラダに関し、
チチのエッセイには一切書かれていないことは、未だに謎である。
と記されている。 実際作って食べてみたところ、洗練された味がした。
さて、今回の全62品の中でどれが印象的だったのかを考えてみると・・・まずアミにダイコンのトロリ煮。 「想像してたんと違う」とつい箸を落としてしまうほどの驚異的な調和で、1たす1が2でなく百となっている素晴らしい出会いモノ。
牛アバラの韓国煮の、水を加えずフタを閉めて煮る方法は、余計な味の流出を防ぐ優れた調理法である。 鶏でも十分活用できる技。
いわば米無しパエリアのツァルツェラは、活用できる場面が多い。 皿に取り分けた後、ご飯を混ぜたら簡式パエリアにもできるから、酒飲みでない人にも食してもらえるのが嬉しい。
というように、良い所を挙げればキリがないのが檀流なのである。 一方、今回の品々を見ていて時折感じられたのが、熱の弱い檀さんだ。 あえてどの項目だとは言わないが、ちょっと書くのがメンドウになっているのかな、というような、やや無理矢理感の垣間見える部分を感じた。
時折分量を記されている部分もあり、それも何というかこう、檀さんの御意思ではないような気も、文面から感じとれた。
さておき、新たに62品に及ぶ檀流が世に出た事は大きい。 よくぞ出版してくれたと、各方面ご尽力された方々に感謝を申し上げたい。 さらに完本の出版を教えてくださった益田 実さんにも、改めてお礼申し上げます。
「実はもう二百品の未収があった!」
という事が仮にあったとしても、死ぬまでついていきますからね檀さん(笑)。