ありそでないもの:なさそであるもの
ピザを作ろうと、スーパーの店内を回り材料を収集している時が楽しい。
ウロつくほど、色んなピザのイメージが浮かんでくる。 最初は無難にマルゲリータを作るつもりで、マッシュルームとピーマンを野菜売り場でカゴに入れ、次はハムコーナーへと向かっている途中でブルーチーズが目についた。
所狭しとまばらに散らばる青々としたカビを見て、どことなしか青紫蘇を連想されたので「シソピザ」も良いかもしれんと再度野菜売り場に戻り、青ジソをカゴに追加した。
缶詰売場でトマト缶を二つカゴに入れたら、その脇に「一緒に使え」と言わんばかりにサラミが干し柿のように連なって吊るされていた。
やたらと安い。
安すぎて、警戒心を覚える程安い。 その理由はさておき、万が一美味しくなかったら、辛味効かせて炒めたりして味をごまかし、酒の肴にすればよかろうと2、3本カゴに入れた。
帰宅して早速ピザ作りに取り組んだ。 安サラミを開けてみたら、割としっかりしたフィルムに巻かれてある。 それを目を凝らし取り除こうとツメを立てるが、なかなかガンコではがれない。
ムキになってやっていると、肉そのものがはがれついてきた。 イラッとしてそのまま肉片をつまんでみたら、フィルムはいずこへ…溶けてなくなってしまった。
「これって食べて良いほうのヤツだったの?」
という疑念を抱きながらのピザ作りに、このサラミの登場する出番はなかった。
分厚い本を読んでいて、ピョロンと長い栞紐がついていない時がある。
それは特に翻訳本に多いという印象がある。 これだけ厚い本を一気読みできるワケないのだから、せめて栞紐くらい織り込んであるよね、とページの中ほどを開いてヒモの存在を確認してみるも、何度めくってみても、その存在を確認できないから「チェッ」と仕方なしに読み進み、いざ中身の本質、つまりページ中頃まできたところで、
事前にあれほど探してみても付いていないハズだった栞紐が、ペッタンコになった状態で「ヒョロッ」っと出てきたりする事がたまにある。
書籍にとって「何ページ以上の本には栞紐を付けなければならない」というルールでも作ってくれたら良いと思う。 そして表紙の隅にでも「栞紐付」と記してくれたら、なんならこの際ピクトグラムでもこしらえてくれたら良いと思っている。