バーテンでしょう?
えー横浜に行っておりました。
待ち合わない人
古い知人がおりまして、会う時は「7時に東口で」みたいに約束をするんですけど、いっつも何らかの緊急事態が起きてしまい待ち合えないんです氏は。 こちらからすると、ワザと事を起こしているのではなかろうか、という緊急発生率であります。
こないだは「某集まりがあるからオイも参加しない?」と誘われ、時間があったから乗ったまではよかったのですが、またいつものように
「8時に西口で。 たしか駅前にある星ナントカという酒場だけど、一緒に向かえば問題ないね」
という約束をしましてね。 そして予想通り、8時をすぎても現れませんでした氏は。 そこで電話をしましたら、電波の届かない何とかで、つながらないですねまったく。
西口に仁王立ちしていたら、フと目の前のビルに「星云々」といういかにも的な酒場の看板が出ておりまして、もしやあそこが今日の場所では? と歩いてみたんです。
のれんをくぐり、店員に「某氏で8時ころ予約入ってません?」と聞けば無いと言います。 もう知らんがな、と店を出ようとしたところで現れたのが氏でありまして。
なんでも電話を会社に忘れてしまったとかで。 「よく店の場所わかったねー」と悪びれる様子もありません。 でもなんか憎めない男なんですよねジッサイ。
バーテンでしょう?
横浜で、楽しみにしていたバーがありまして。 知人が「良い店らしいよ」と言ってたので向かったんです。
外観も内装も実にシックです。 壁面には某著名人の描いたイラストがさりげなく飾ってありまして。
「何にします?」
と聞かれたから「ウイスキーで」とバーテンに答えました。
その注文が口火となり以降怒涛の質問開始です。
「この店はじめてですよね?」
はい。
「誰かに聞かれたんですか?」
はい。
「誰ですか?」
それはちょっと、
「お寿司屋さんでしょう?」
違います。
「横浜の人ですか?」
違います。
「バーテンでしょう?」
違います。
「バーテンでしょう?」
違います。
以降バーテンだと疑われながら静かに飲みました。 初めての客にここまで聞きますかねフツーという感想です。 知人の方が「私の名前を出せばアーとなるよ」と言ってたならまだしもですね。
ここまで聞かれたら、仮に自分の情報をさらけ出したいと思っていたとしても、逆に石のように押し黙ってしまう性分なんです。
結局名刺交換をしたところで落ち着きました。 鮨屋と思ったのは「手がそれっぽいから」だそうで、バーテンだと思ったのは「えらく手元を凝視されたから」だそうです。
素性が知れたのをキッカケに、今度はバーテン自身がアレコレ語り出しましてね。 ヤレ銀座で修業したのだとか、あの地域ではこの店がオススメ等、バーの名刺を十枚ほど頂いちゃいました。
酒は三杯飲みました、ええ美味しかったですよ。
ところでこのキッチンバサミ、メチャ使えますよ。