酒場にまつわる「盛」もんだい

「酒屋」直営の「酒場」に行ってきました。
旨い酒にありつけそうな、思わずガッツポーズしたくなる、何ともソソル字面です。
のれんをくぐればオカミと板さんが「いらっしゃい」とにこやかに迎えてくれましてね、これは雰囲気もステキである、とついこちらも顔がほころびまして。
早速エビスの生を注文し、出されたモズクをつまんでおりましたら、まれに見ぬ大きさのグラスが出てまいりまして大酒飲みのワタシは飲む前から頬が紅潮したのでした。
グラスをつかみ、グビ・ガビ・グビと三回ノドを鳴らした所で声をかけてきたのはオカミさんです。
「ウチの店、ローストビーフが名物なのですが、いかがでしょう?」

ビールはもちろん各種酒に合う佳肴じゃないですか、注文しないテはありません。 是非お願いいたします! するとオカミは続けて、こう切り出しました。
「ウチのローストビーフ、結構ボリュームありますが、大盛りにしておきますか?」
ボリュームある一皿を大盛りにしたらどうなるんでしょう・・・一瞬答えに困りましたが、目の前にある各種大皿料理も楽しみたいので「普通でお願いします」と伝えたんです。
すると、
「普通ですと大体二人でつまんで丁度良いくらいなのですが、大盛りにしておきますか?」
と再度大盛りを促されましてね。
そりゃワタシ体は大きいですけど、そんなガツガツ食べるように見えたのでしょうか・・・わかりましたでは大盛りで。
ええ、美味しかったですよ名物だけに。
でも予想通り、ひとりでつまめる量ではありませんでしたね。 顔を上げれば目の前には白髪を丁寧にまとめ上げたオカミさんがニコニコ微笑んでるんですもの、ガンバって完食しましたよ。

日本酒の盛り
さて、酒場における「盛り問題」なのですが、何がハラタつかといったら、酒の盛り方でーあります。
日本酒を注文したらよくあるのが、グラスをマスの中に置き、そこへトクトク酒を注いで、グラスはおろか、マスへもややあふれさせるアノやり方でありますが、何なんでしょうアレは。
一体誰がどこではじめ、全国に普及していったのでしょうか。 ちなみにあの注ぎ方の事をもっきりと呼ぶそうです。
グラスからあふれ出るほど注ぎますウチ、キップがイーんですウチ。
というアッピールなのでしょうか。 ここで「どのくらいマス内にあふれさせるか」問題も生じるのでありますけど、そんなことやるぐらいなら、是非グラス自体を大きくし、並々注いでくれたら良いのです。

第一酒蔵が丹念に醸した酒に大して何か失礼だと思うんですよね。 それにお店自身も洗い物がマスの分増えますし。
焼酎ロックの盛り
続いて焼酎にまいります。
かれこれ十数年にわたり酒場めぐりをしてきましたが、忘れもしない2015年11月29日(日)と、2016年02月27日(土)、立て続けに不思議な焼酎ロックに出会いましてね。 まずは次の画像をご覧ください。

これ、飲み干した後撮影したんじゃありませんよ。 焼酎ロックを注文し、手元に届いた瞬間を激写したものです。 バカバカしくて撮るのもどうかとは思いましたが記念にパチリといきました。
そうです、グラスに氷はありますが、液体の姿がありませんよね。 一瞬思考停止した後、グラスを持ち上げてみたら、底から5ミリの所でゆらめいておりました焼酎が。
飲んでも 舐めても氷の味しかしませんねまったく。 一体どういう事なのでしょう。 レア酒である耶馬美人だからこの盛りだったのでしょうか?
一瞬で舐め干して、このグラスを持ってきた店員の後姿が消えないうちに呼び戻しまして、
「バカにしてんのかー何なんだこの焼酎ロックはー!」と噴火したいところをおさえて、今度は並銘柄のロックを注文してみて検証しよう、と思ったのですが、何かシラけて止めました。 「スミマセン何でもないです」
倍の値段つけて良いからフツーに注げよ、という話ですあるんですねこんな店。 これが昨年末の話です。
人生またとない良い経験だったと思ってたんです。 ところがまた遭遇しましてね、「空ロック」にフフフ。 何かの試練なのかもしれません。 それではご覧ください。

これぞ明るい農村一杯750円ロックの雄姿です・・・入ってますこれ?
入店してコートをかけてもらい席に着き、メニューを開いてまっ先に焼酎を注文し、突出しの出てくる前に出されたのがコレです。 「人生で二度も出会うとは」といぶかしげに鑑賞した後一気に舐め干し、そのまま店を出ました二千円です。
焼酎ロックはこうあるべし
良店はおしなべて、ロックの盛りも豪快なんですけどね、見てくださいこの盛りを。

ともあれ、ほとんど入ってないちゅうのは止めてほしいものです酒飲みに来てるんですしね。 乾杯!

まだまだ燗酒の愛しい季節です。