うなぎのカブト

小雨したたる思い出横丁を、外国人観光客の間を縫ってたどり着いたのが、カブトだった。 うなぎ一筋68年まっしぐらな大衆酒場である。
夕刻早い時間だったので席につけたのが幸い。 座るやいなや「どうします、一通りいきます?」とカウンター越しに声をかけられたので、そうした。
思い出横丁とは
新宿西口にある飲み屋街で、終戦直後より現代まで、戸板一枚で区切られた店が連なる酒飲み泣かせなストリートである。 公式サイト:新宿西口思い出横丁
一通りとは
カブト謹製、うなぎの串焼きを全7種つまむ事のできるセットである。 一通りにするとお得になるのか否かは知らんが、せっかくうなぎの店に入ったんだもの、一通りしかない。
うなぎの串焼き
出てきた順番通りに記すとこうなる。

蒸したウナギの頭。 まずはこれで小ビールをガブリと。

生から焼いたうなぎの頭。 5分と経たずに出てきたもので、すかさずキンミヤ焼酎をロックでお願いするも、ストレートしかないとの事でそうする。 とここで「酒はひとり三杯まで」との張り紙が目に入り、ガブ飲みしたい所をややペースをゆるめつつ、一杯目ビールにした事を後悔した。

うなぎのシッポ、つまり長いヒレを串に巻いて焼いたもの。 となりに常連らしき人が座り、慣れた手つきでパパパと注文をした。 以降酒場的会話で盛り上がり、話題になったのは何故か大甚だった。

うなぎの肝焼き。 最後の一杯に酒白鶴を注文。 まだ串は出るハズなのに、この一杯で持つのだろうか果たして。

最後、待ち焦がれた蒲焼きの登場。 がしかし酒はもう僅かばかりだったからいっそ、一気に飲み干し蒲焼きを平らげ店を後にした。
そう、こうやってチャチャッと飲むから旨い店なのだ。 そういえば隣客にこの横丁にある、看板の出ていないモツ焼きの旨い店があるという話を最後まで聞きそびれてしまった。