サザエ談~サザエはこうすると殻からスルリ取り出しやすい
それは年末、雪まじりの小雨降る中、逃げるように酒場の暖簾をくぐった時の事でした。 七輪でキノコを焼いてつまんでいたんです。 すると突如、となりに座る初老の男性が話しかけてきましてね。
越中さん(仮名 以下K):「寒いねー」
オイ(以下O):「ですねー」
K:「それ何焼いて食べてんの?」
O:「エリンギです」
K:「旨そうだねー。 同じように七輪でね、トリガイ焼いても旨いんだなぁ・・・レモンをジュッと絞ってね」
O:「聞いてるだけでヨダレでます」
K:「あのねえ、サザエのつぼ焼きってあるでしょ。 あれってツルンとシッポまで出てくる時と、身の部分だけしかとれない時があるでしょう」
O:「ままありますね。 あのキモがまた、酒飲みとしてはハズせないんですよね、ホロ苦しくて」
K:「そのとおり!」
K:「じゃあ、どうやったらサザエのシッポも、全部中身をひっぱり出せるか方法知ってる?」
O:「ぞんじません」
K:「フフフ。 ところで大黒屋のお箸はすごいよ・・・亀有にあるんだけどね、使いやすくてね、今度行ってみなよ」
O:「はあ(早くサザエの話をくれ)」
K:「こないだテレビ見てたらさあ、千と千尋をやっててね、CMで『冬もジブリ』って言ってたけどアレたしか、『夏もジブリ』とも言ってんだよね。 年中じゃねえかと」
O:「確かに(サザエはどうした)」
K:「でサザエはね、みんな焼き網の上にフタを上にして乗せて、いきなり焼くんだけどね、これがイケねえです」
O:「ほぉ!」
K:「まずねえ、サザエはフタを下にして焼くんです。 下にして30秒焼いたら、今度は上にして、すかさず醤油をたらしてグツグツ煮たら、良いワケよ。 そしたらシッポまでツルン! とはずれる」
O:「なるほどー! やってみます。 ところでやっぱり、炭にも何かこだわりがあるんでしょうか?」
K:「炭の事はわからねえ(悔)」
K:「今何呑んでんの?」
O:「山ねこのロックです」
K:「俺も焼酎好きなんだけど、ロックだと呑めすぎるでしょう」
O:「たしかに。 スルスル入っちゃいます」
K:「焼酎何本あっても足りないものワタシ。 だからいつもね、前割りにしてんの」
O:「あー、例の黒じょかを用いるワケですか?」
K:「ううん、徳利トックリ。 中へね、焼酎を7、水を3入れて前日から準備しておくの。 これを湯煎して、41、2度になったところで引き上げて、クイと飲るワケよ」
O:「薫りますなあ!」
K:「そのとおり!」
O:「やはり日本酒にも何かこだわりがあるんでしょうか?」
K:「日本酒の事はわからねえ(悔)」
後日早速サザエを試したところ、30個すべての全摘出に成功。 越中さんに感謝いたします。