子供たちよ!
次女
一歳半検診へ。 歯科検診や身長、体重を計ったり、育児相談などもある。 ブロックをうずたかく積み上げて先生にほめられると、臆することなくドヤガオでキメるところがいかにも次女らしい。
次男
サンタさんにもらったプラレールに熱中し、毎日コースを変えて走らせていたところ、やがてレールの上を走らせることがイヤになってきて、自由気ままに、トーマスとパーシーを部屋の中で走らせるようになった。
その光景を眺めていると、ちゃんとストーリーがあるようで、力尽きたトーマスをパーシーが後ろから押して助けたり、時にはバトルさせたりしている。 クライマックスでは、フェバリットコレクションの恐竜たちが登場する。 もはやプラレールではない。
寒い寒いお休みの日の朝、家にいるとじっとしてDVDを見てばかりなので、思い切って公園に出かけた。
遊具には霜がおりていてジットリと濡れている。 次男は寒すぎて固まったまま動けない。 まずは体を温めるためにグランドを一周走り、それから大好きなブランコに乗ることにした。 だが、ブランコの座面は霜のおかげで濡れているのでそのまま座ることはできない。 タオルは持ってきていないし・・・しょうがないからパタゴニアの袖で霜をふき取った。
おのおのブランコをゆらしていると、時折ゆれ方がピッタリ同調することがある。 次男はこれにツボったらしく、一生懸命タイミングを合わせようとするが、意識すると合わなくなるものだ。 無心になれ、オマエの好きなブルース・リーの言葉を思い出せ「ドンシンク、フィール」だ。
それにしても今日はいっこうに日が昇ってこない。 公園で遊んでいるのは我等二人のみであり、はた目からすると、寒そう極まりない光景だと思う。 なかなか体が温まらず、次男はハナをたれはじめた。
その時、山の右肩から日が差しはじめた。 見ているうちに、どんどん日が昇る。 これで少しは次男もアクティブになることだろう。 だがこのブランコのある場所まで日が差すには、もう少し時間を要すると思われる。 一旦ブランコをおりて、背後の日なたになっている場所へ走った。
お日様はありがたい。 こんなに寒いのに、日が当たった部分はすぐにポカポカとしてくる。 我等はネコの額ほどの日なたに立ち、お日様を見上げている。 次男のハナタレ顔がほころんできた。
手がかじけていたのでお日様にむけてかざした。 指の間から差しこむ日はどんどん高くなってゆく。
「霜がおりている日は暖かくなる日だ」と婆ちゃんが昔言っていたような気がする。 この日はその通りになり、結局昼前まで二人で走り回って遊んだ。
後日、家族で動物園に出かけた。 その日も本当に寒かった。 いっこうに日が差す気配のない状況で、次男はみんなに「手をパーにしてこーしてごらん、そしたらお日様が出てくるけん」と言った。 はじめは何のことだかわからなかったが、あの寒い日の公園での出来事を覚えていたのだろう。 そして次男は、「空に手をかざすと、お日様は昇ってきてくれるものだ」と解釈し、信じているのだ。 この技をウチの子供たちは「ひがあたるまでぱー」と命名し、普及活動に努めている様子。
長男
みるみるうちに大きくなり、足のサイズはほぼカミさんと同じ。 スニーカーを共有しようと思えば可能だ。
体は大きくなってもまだまだ小学2年であり、時折カミさんに甘えたいこともあるようだ。 風呂あがりにめん棒で耳をコチョコチョ掃除していた長男は、「今カミさんはフリー状態」であることに気づき、とっさにひざに寝転がった。 カミさんにコチョッてもらいたいのだった。
「一番上だし、いつもガマンしているからね」とカミさんは甘えさせたがその光景が可笑しいのなんの。 何せ、甘えるには成長しすぎたのだ。 カミさんの体のサイズでは、もはや長男をかかえることができない。 見ていると、どっちが親なのか一瞬わからなくなるぐらいだ。
ある日、どうしたことか、長男以外の子供たちはいっせいに、普段よりも早く寝てしまった。 世界地図パズルに熱中していた長男はそれに気づき、とっさにカミさんの元へ走った。 そしてしめたっ、とばかりにカミさんを独占し、寝てしまった。 寝顔の幸せそうなことといったらもう。
長女
将来は「洋服屋さんになる」と一点張りだったのに近頃は「料理屋さんなる」と断言する時もあるほどの料理好きになってしまった。 よい相棒である。
家族みんなで行楽地に出かける際は水筒に緑茶を入れたり、おにぎり作りを手伝ってくれたりする。
子供たちの好きなおにぎりはトロロ昆布をまぶしつけた通称「もしゃもしゃおにぎり」と、梅干ペーストとオカカを混ぜてご飯でくるみ、それに海苔を一面に貼り付けた「真っ黒けっけおにぎり」だ。 今日はトロロを切らしていたので、真っ黒オンリーでいくことにした。
まずはじめに濃い塩水を作り、それで手を濡らし、炊きたてのご飯をムンズとつかみ、中に梅を入れて握りこむ。 炊き立てだから熱々なので、長女はこの作業をできない。 だから、海苔をオイに渡してもらう役割をお願いした。
あまりにもごはんが熱いものだから、握りながら「アチ、アチッ!」と踊っていたら、その光景がツボらしく、ケタケタと笑う。 だが決して笑い事ではない。 試しに炊きたてのご飯でおにぎりを作ってみてください。
「はい、海苔ちょうだい」というと、テーブルの上にある海苔箱から一枚引っ張り出してきて持ってきてくれる。 これで全体をくるんでから重箱へつめる。 何せ、口が6つもあるものだから、10個やそこらのおにぎりでは事足りない。 今日は三段お重をフル活用して20個の真っ黒を作る予定である。 次々に握り、海苔でくるんでいく。
長女は次第に要領を得て、海苔を一枚ずつではなく、二枚いっぺんにもってくる作戦を思いついた。 これによりテーブルとキッチンを往復する回数が減る。 そうこうしているうちに、今度は海苔の箱自体をこちらに持ってきておけば、いちいちテーブルまで走る必要がないことに、ついに気づいてしまった。
「そうそう、自分でクフウしてどうやったら楽に作業できるかを考えるることが大事なんです」と頭をなでであげたかったが、手のひらはおにぎりなのでそれができず、甲でなでようとしたが、サッとよけられた。
たぶん長男にこの役割をまかせたら、握り終わるまでの間ずっと、一枚ずつ海苔を手に持ち走りまくっていたことだろう。
休日、近所の子供たちが遊びに来ることがある。 昼ごはんにトマトソースのスパゲッティを食べさせると「うまいうまい」と大喜びするが、おにぎりも根強い人気だ。 売ってるおにぎりに形は似ていても全然味が違うからねえ。 最近は家でおにぎりを作ってもらい、弁当箱に入れて持参する子も現れた。
寝る前に『味覚極楽』を読んでいたら、増上寺大僧正、道重信教の話に当たった。 旅行の際はたいてい海苔巻きを持っていくそうで、作り方はこうある。
- ご飯を夜のうちに炊いておく。
- 酢を煮込んで冷やし、ご飯に混ぜる。
- 沢庵の中身を細長く切り、かんぴょう巻きのように入れて巻く。
普段沢庵を食べる習慣はないが、たまたま頂いたものがあったので作ってみた。 旨いもまずいもない、まんまの味がする。
いちいち海苔巻きにするのが面倒なときは、ご飯の中に刻んだ沢庵と、炙った海苔を粉にして混ぜ、大きな握り飯にするそうだ。
やはりこちらのほうがしっくりくる。 何でもおにぎりにしてしまえば旨くなる。
そういえば「好きなおむすびの具は何ですか?」という投票を開催しておりました。 お好みの具へ是非ご一票を。