缶詰で一杯(赤貝とサバ)
この前クジラを全種類目の前に並べて食べたいという話を書いた。 しかし、いざそれを実行するとなると、一体幾らぐらい必要なのか検討もつかない。 だから夢なのである。
最近ぷちぐるの掲示板で、3種盛り(酒盗、チーズ、アボカド)の書き込みがあり、急に酒盗を食べたくなった。 スーパーに買出しに行き、缶詰コーナーへ向かう。 ちなみに酒盗を食べる際は、東海林さだおさんによる旧友再開漬にしたほうが塩気も少なくなり、風味も増す。
桃屋の酒盗を買い物カゴに入れて、さて次は精肉コーナーへ向かおうとしていたところ、「赤貝の缶詰」が目に飛び込んできた。 「赤貝の缶詰特売! 1缶89円!!」と、黄色くて細長い紙にデカデカと赤いマジックで書かれているものだから、イヤでも目につくわけだ。 なんだか懐かしいようなそうでないような気がして、一缶カゴに入れる。 やけに甘ったるくて、シコシコとした食感の、赤貝とはいうものの、おたくは本当は何者? というような貝の姿が思い出される。 ビールのつまみになるかもしれん。
さばの水煮を発見する。 そのとなりには、サバの味噌煮の缶詰が積まれている。 うーん、どちらにしようか・・・・。 サバ関係には見た瞬間に購入を決意させる何かがある。 味噌煮、といきたいところだが、あのやけに柔らかくて噛むとホロホロ崩れおちる「骨」を楽しむとするならば、やはり水煮か。 いやでも・・・。
ホワイトアスパラガスの缶詰も地味にウマイんだよね。 アンチョビもハズせないな。 出たーっ、サンマの蒲焼缶詰。 これはイッとかないといけないでしょう。 あ、そうそう、シーチキンにマヨネーズを入れて、手巻き寿司を子供に作ってあげよう。 まてよ、缶詰というものはそもそも保存食であるわけだから、この際まとめ買いしておくというテもあるな。 というように、缶詰でカゴが一杯になってしまった。
サバの味噌煮と、赤貝の缶詰をテーブルに置き、キンキンに冷えたビールを冷蔵庫から取り出す。
サバの味噌煮をパカッと開ける。 「おぉー、こういうものだったっけなー」というのが第一声である。さらに赤貝の缶詰を開けようとプルトップを探すが、ない。 サバは引っ張って簡単に開けることができたが、赤貝はそういうわけにはいかないのだ。 赤貝の缶詰は古いタイプの缶詰なのである。 缶切りで周囲をキコキコとやらなければ開かないのである。
そもそも缶切りなんてあったっけ? 家中探してようやく見つけ出したのがビクトリノックスのスイスチャンプであった。
三十数種類ある機能のうちに、たしか缶切りがあったはずである。 ほらね、あった。 早速赤貝の缶詰にそれをあてがい、キコキコと押し進む。 ギザギザと、蓋が切り取られていく。 この際、蓋の全てを切り離さずに、若干本体とつなげておいて、ハシを突っ込んで食うのが美味い食い方のような気がする。 これはカップラーメンを食べる際もそう思える。
赤貝もサバの味噌煮も想像通りの味がしてしみじみウマカッタ。 ビールにも・・・・・合う。