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2019/04/08 酒肴

【華漣】我が人生最高の牡蠣は小長井にあった【かれん】

長崎小長井の牡蠣「華漣(かれん)」

肉と殻の間にスキマがない。 開いた牡蠣の、中びっしりに、身が詰まっている。

かぶりつくと、塩気の少ないクリーミーなタイプの牡蠣である。 ワインを一口飲んで咀嚼していると、旨味がどんどん膨らんでくる。

こんな生牡蠣は食べた事がない。

しばらく味の余韻を楽しんだ後、ワインで舌をすすいでからもう一つに手を出した。

今度はナイフで小さめに切って少しずつ味わう事にした。 何しろ、ずっと食べていたい味だから、一瞬で胃袋に収めてしまうのがもったいなかったのだ。

それを見ていた友人は「ケチな事すんなよ、牡蠣ってこう、ガッと一気に口中へ滑りこませるものだろうに」と言った。

だがその意見に、私は一切耳を貸さなかった。

できればひとりでこの店に来たかった。 この牡蠣と対峙して納得するまでじっくり時間をかけて食べ進み、ワインを楽しみたかった。

この牡蠣を前にして、雑談やBGMなど不要である。 レモンすら雑味に感じてしまうエレガントな磯香。

感動している姿を見た店主はすんなり牡蠣の正体を明かしてくれた。 だがその情報すら本当はこちらが聞いてくるまで教えてほしくはなかった。

できれば謎の牡蠣のまま店を後にし、幾日かこの牡蠣について思いを巡らせ、また味を思い出してこの店に来たかった。

知らないほうがよかった、まさかこれが長崎の牡蠣だなんて。 地元に住んでいながら、この究極の牡蠣を知らなかったなんて食に携わる人間として強く反省せねばならない。

小長井の華漣(かれん)という牡蠣だった。

これまで何千殻も生牡蠣を食べてきたが、これより上はないと断言できる。 あまりにも圧倒的に美味しすぎて、このテキストを呼んだ人にも食べてもらいたくない。

だからこのエントリは見なかった事にしていただきたい。

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